福岡県後期高齢者医療広域連合の設立に絡む汚職事件で、贈賄罪で起訴された同県添田町長の山本文男被告(84)のリコール(解職請求)に反対する文書を町長の後援会側が町内のほぼ全世帯に郵送した。あて名に町が管理する住民基本台帳情報が使われた疑いがあるとして、町議3人が30日、町個人情報保護条例に基づき、不正利用の停止を求める請求書を町に提出した。町は不正利用の有無を調べ、30日以内に回答する。
町議はいずれも、リコールへの署名を集めている「山本町長をリコールする会」の副代表。3人によると、文書はA3判1枚で、リコール反対を呼び掛ける内容。封筒に入れて4月24日から町民宅に届き始めた。差出人は「山本後援会」と「ほんとうに添田町を考える会」の連名になっている。
住基台帳でしか分からない世帯主あてに郵送されたほか、通常は氏名の漢字に「数」や「寿」を使う人に、戸籍上の「數」や「壽」の字で送付。さらに「浩」と間違って「活」と戸籍登録した人にも、「活」の字で届くなど不自然な点が多いという。町議の1人、松本雄二さんは「消去法で考えれば、住基台帳しかない」と主張している。
これに対して山本後援会幹部は「約4千通を送ったが、過去に実施した数千人分の署名や電話帳を使った。不正は全くない」と反論。寺西明男副町長も「不正は見つかっていない」としている。
町議3人はこの日、不正の有無を調査するため、地方自治法に基づく百条委員会を設置する臨時議会の招集も求めた。20日以内に招集される。
=2010/05/01付 西日本新聞朝刊=