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(行く末篇)[7]
参考之貳[9]
答:
デフレを解消するために、マイルドインフレを目指して主として金融緩和を行う施策。
答:
物価水準が全体として下がっていくこと。
答:
物価の下落にはスピードの差があるので、より早く価格が下落する財からより遅く価格が下落する財へと、世の中の資源が偏って配分されるから。 特に、価格が下落しない/しづらい(下方硬直性)財がある(賃金や負債など)ので、大きなゆがみが生じて経済がおかしくなる。
答:
必須の施策はインフレターゲットの設定と、長期国債(場合によっては外債も)の買い切りオペ。 状況が許せば、円安誘導や一定程度の財政支出などを組み合わせることも可。
答:
中央銀行(日本であれば日本銀行)が物価上昇率の目標(通常は上限と下限)を定め、目標を達成するために金融政策を行うこと。 通常、「目標を達成する」ことの信認を得るため、ターゲットゾーン内から逸脱した場合にはいつまでにターゲットゾーンに復帰するかという期限(現在の日本のようにそもそもターゲットゾーン外であれば、いつまでにターゲットゾーン内に物価上昇率を持っていくかという期限)と、期限内に目標を達成できない場合のペナルティ(例えば中央銀行総裁の更迭)が設定される。
答:
中央銀行が市場から長期国債を一定期間後に売り戻すという条件を付けずに買い取ること。
答:
開放経済(諸外国と自由に資金のやりとりができる国のこと)下では、財政政策の効果は金利や為替レートの変動により効果が減殺されるので、金融政策に比べればそもそも効果は薄い。 あえてデフレを悪化させる方向に政策運営するのはおろかなので緊縮財政はとるべきではないが、積極的に財政支出を拡大することは、今の日本の財政事情を考えれば労多くして功少なし。
答:
以下のような理由で市民権がなかなか得られないと考えられる。 さて、あなたの身近な反対派はどれに該当します?
デフレが問題といっても、自分は困ってませんが何か?
「確かにボーナスとか減ったけど、いろんなものが安くなってるからかえって暮らしやすいかも。 弟が就職浪人してるけど、親のすねかじりながらフリーターで何とかうまくやってるみたいだし」
やっぱインフレってまずいでしょ。それを人為的に起こすなんて論外。
「うちのばあさんは戦後インフレで大変だったって言うし、いまから思い出しても石油ショックの時は大混乱だったよなぁ・・・。 デフレっていってもたかが1%とか2%でしょ? そのためにわざわざインフレを起こすなんて、鶏を割くのに牛刀を用いるってことじゃない?」
偉い人がインフレターゲット(リフレ政策)なんて小手先のごまかしだって言ってるし。
「東大の松原先生とか、慶応の島田先生とか、あの小宮先生だって、みんなそう言ってるじゃない。 朝日新聞とか、ニュースステーションなんかでもそうだし。 えっ、学習院の岩田(規)先生? 聞いたことないなぁ・・・それに、学習院でしょ? 東大や慶応の先生のことひがんで言ってるんじゃないの? クルーグマン? わざとインフレを起こさせようなんて、ユダヤの陰謀じゃないの?」
認知的不協和はいやだぁっ!
「えっ、単に金融緩和すればいいの? それじゃ今まで私は無知で愚かでだまされてたっていうのか? いや、違う。 これまでだって、自分なりにいろいろ考えてきたんだ。 間違ってるはずがない。 リフレ政策なんてごまかしにきまってる」
身近な事例から常識的に考えました。
「日産もゴーン社長の下で思い切ったリストラで復活したじゃないか。 日本経済だって、思い切ったリストラをしないと復活できないはずだ」
だってもうかるんだもーん。
「危機だ、もう日本はダメだっていってるほうが講演や執筆依頼がおおいんだよね。 『リフレで日本復活』なんてことになったらおまんまの食い上げさ」
カタルシスがない。
「デフレ不況って大恐慌以来なんでしょ? 第二次世界大戦で脱出とか、そういったものすごい何かで劇的に脱出するっていうのじゃないとしっくりこないなぁ」
(2003-04-27記)
(2003-05-05レイアウト変更、問1-5に対する答を改訂、問1-8を追加)
答:
ただし、2、3については、通貨供給量を適正に保つことにより中和することが可能(日本では第2次オイルショックがインフレにつながらなかったのは、当時の日銀の金融政策が適切だったため)。
答:
購入するものの価格だけが下がるのであれば、それはデフレ=「全体として下がっていくこと」ではない。 デフレの場合、生産者として販売するものの価格もあわせて下がり、所得水準が下がっていくのだからいいこととは言えない。
答:
リストラで解雇された人や、就職難でプー太郎をしている人の給料がなくなっているので、国民全体の所得は下がっている。
答:
雇用契約が相対的に長期契約であり、また労働組合などにより給与の引き下げや解雇は自由に行えないので、企業の売り上げが減少するほどには人件費が減少せず、企業の業績は悪化する。
また、金利はマイナスとならない(マイナス金利で預金したり貸し付けたりするよりは現金で持っていた方が得だから)ので、デフレにより企業売り上げが減少する場合、債務者にとって実質的な債務負担が重くなる(ので、現に借金を抱えている企業が苦しくなるのみならず、借金をして事業を拡大しようと考える人間がいなくなる)。
答:
バブルをつぶすために過剰に金融を引き締め、以後十分な金融緩和を行っていないから。
答:
答:
資源配分に偏りが生じるほどのインフレは悪いと言えるが、経験則上だいたい年10%以上のインフレとならない限りそのような偏りは生じない。 年数%のインフレであれば、賃金の上昇や金利の上昇などで資源配分はスムーズに調整されるため、ほぼ問題はない。
答:
(2003-04-27記)
(2003-05-05レイアウト変更、問2-1に対する答を改訂)
答:
企業の設備投資や個人消費は、全体の傾向としては将来の物価上昇予測に基づき行われる(「今後インフレが進んで金利が上昇しそうだから今のうちに借金して投資をしよう」「もう少し待てば安くなりそうだから買うのはしばらく待とう」など)。 インフレターゲットは中央銀行が将来の物価上昇率に対してコミットするものなので、それを前提として各経済主体が行動することとなる。 デフレ下でマイルドインフレをターゲットとすれば、将来のインフレを予想した投資・消費が活性化されるため、自己実現的にマイルドインフレが達成される。
答:
物価上昇率を金融政策運営の基準としているという点からすれば、広い意味ではインフレターゲット。 ただし、ここで言っているのは、物価上昇率が継続的にマイナスであれば金融緩和を続けるということでしかなく、デフレをとめることを何ら意味していない(「物価上昇率が継続的にプラスとなるまで金融緩和を続けます」との方針を物価上昇率の上昇につなげるためには、
必要があるが、期限&コミットメントもなく、やっている金融緩和は所詮日銀当預のブタ積みに過ぎないので、極論を言えば永遠のデフレ&日銀当預の残高維持も許容される)ので、近い将来のインフレ期待が醸成されず、いわば欠陥品のインフレターゲット。
さらに言えば、物価指数の上方バイアスを考えれば、物価上昇率0%以上という目標は実質的にはデフレターゲット。 また、日銀にはゼロ金利政策解除の前科があるため、物価上昇率がプラスになりそうになったら予防的に金融引き締めを図るのではと「期待」されており、その意味でもデフレターゲットと言える。
答:
下限を下回ればなりふり構わず金融緩和、上限を上回ればなりふり構わず金融引き締めを行えば、各経済主体はターゲットレンジ内の物価上昇率となることを必ず期待する。 日銀が言っているのは、「なりふり構って」やり方を限定すれば手段がないということに過ぎない。
答:
問3-2と同じく、期限や達成できない場合のコミットがないので、欠陥品のインフレターゲット。 メドとなる物価上昇率が0%でない分、多少はましというに過ぎない。
答:
ある意味、リフレ派ほど日銀を信頼している人々はいない。 日銀がある程度は物価をコントロールできると信じているし、日銀は特定の方針に基づき一貫した政策運営を行うと信じているし、日銀は自ら行う政策について熱心に説明責任を果たすであろうことも信じている。 だって、金融政策の手法に自分で勝手にたがをはめた上で、物価上昇率0%を超えた場合には金融緩和をやめると目標を掲げ、結果として物価水準をデフレに据え置くという見事な金融政策運営を見せているのだから。
逆に言えば、日銀に対して課すべきインフレターゲットは、日銀が本気でマイルドインフレを目指すのだという、「意志についての信頼」を勝ち取るものでなくてはならない(そのためには、マイルドインフレにならなかったら日銀は困るのだという枠組みにする必要があるし、買いオペ等の行動で言行一致であることを示す必要がある)。
能力その他については、十分信頼してますから。
(2003-04-27記)
(2003-05-05レイアウト変更)
(2003-05-11問3-4を追加)
(2003-06-08問3-2に対する答を改訂、問3-5を追加)
答:
以下を総合的に勘案すると、長期国債が適当。
答:
各経済主体が中央銀行の金融政策の実行力を完全に信頼していれば、ターゲットの設定だけで効果があるが、「やるぞ、やるぞ」といっていながらやらなければオオカミ少年になるだけなので、一般には実際に行動に移す必要がある。 まして日銀には金融緩和に頑強に抵抗してきたという歴史があるので、実際にオペレーションを変化させなければ、金融緩和をターゲットに達するまで継続するとの信頼が得られない可能性が高い。
答:
問4-1の基準に当てはめると、市場規模が2兆円台と小さく1を満たさず、組成銘柄発行企業という特定主体に影響を与えるため2も満たさないので、長期国債に比べ問題。
答:
問4-1の基準に当てはめると、市場規模が1兆円足らずで1を満たさず、組成対象不動産という特定主体に影響を与えるため2も満たさないので、長期国債に比べ問題。
答:
問4-1の基準に当てはめると、市場規模は10兆円台後半で、1についてはETFやREITよりまし(ただし、日銀適格なものは1兆円足らずなので、対象を拡大する必要あり)だが、個別の企業の資金供給に直接影響を与えるという点で2について問題があり、長期国債に比べ不適当。 まして、ABS買取りの分だけ長期国債買取り額が減る/伸び悩むようなことがあれば問題。
長期国債買取りへの上積みとしてであれば許容し得る、というあたりが評価としては適当。
答:
バーナンキの背理法により、長期国債買い切りによる通貨流通量増加がインフレにつながることは証明されるが、実際には、それを織り込んで各経済主体が投資・消費を増加させるため、将来通貨流通量が増加するとの予測が主流となった段階で、現実の通貨流通量増加を待たずにインフレが発生=リフレとなる。
答:
「中央銀行がどれだけ国債を買ってもインフレが起きない」と仮定する。
この場合、すべての市中国債を買い取っても、更には政府が発行する新発国債をすべて引き受けてもインフレとならないため、財政支出をすべて中央銀行による国債購入代金でまかなうことができるので、無税での国家運営が可能となる。 しかし、無税国家が可能との結論は誤り。
従って、「中央銀行がどれだけ国債を買ってもインフレが起きない」との仮定は間違っていることとなり、中央銀行が市中の国債流通高をネットで減少させる規模で国債購入を継続する限り必ずインフレが発生することが証明される。
以上、バーナンキ・プリンストン大学教授(現FRB理事)がリフレ策の説明で用いたため、「バーナンキの背理法」と称される。
答:
国債を日銀が市中から吸い上げれば、国債の価格は上昇するため、国債の利回りは低下する。 銀行は、今の金利水準を前提として割に合うと判断した額の国債を保有しており、利回りが低下するにつれ、国債以外に資金を振り向けるようになる。
具体例を出せば、国債利回りが1%であれば、リスク調整後利回りが0.9%となる貸付け・証券には投資が行われないが、買いオペが進むことにより国債利回りが0.8%まで下がれば、これらに対する投資が行われることとなる。
なお、すべての国債以外の資産が0%未満のリスク調整後利回りとなるのであれば、いくら国債を日銀が買っても上記のような銀行の資産構成の組み替えは行われないが、
(2003-04-27記)
(2003-05-05レイアウト変更)
(2003-05-31問4-8追加)
答:
「骨太の方針」によると、構造改革とは効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門への資源の移動が構造改革であるとのことだが、スターリンのように強制的に部門移動をさせるわけにもいかないであろうから、移動が起きない原因があればそれを取り除くという政策をとることとなる。 もし規制などが原因でスムーズな移動が困難であることが問題であれば、成長部門では資源が過少な状態となっているはずなので、金利の上昇や失業率の減少などが見られなければならないはずだが、そうなってはいない。
他方、デフレによる(名目)需要の縮小のため、成長部門であっても資源の必要性に乏しい(現在持っている資源の活用で十分間に合う)ため移動が起きないと考えれば、金利や失業率の動向とも整合的であり、であればまずはデフレを解消し、成長部門が更に資源を必要とする状態となることによって、資源の移動(=構造改革)を促すこととなる。
従って、「構造改革なくして景気回復なし」ではなく、「デフレ解消による景気回復なくして構造改革なし」というのが正しい理解。
答:
インフレになればその分コストも上昇するので、インフレ率を上回る売り上げ増が達成できない企業は淘汰される。 そうした企業こそが「本来淘汰されるべき企業」。 他方、デフレでは下方硬直性によりコストが高止まるため、インフレ下では十分成長できる企業まで淘汰されることとなってしまうことが真の問題。
答:
「高コスト構造」が非製造業が製造業に比べコストが高いことを意味するのであれば、デフレの影響はどちらにも及ぶので是正されない。 日本が他国(例えば中国)に比べコストが高いことを意味するのであれば、デフレにより円高となるのでドルベースで見たコストは変わらず、是正されない。
答:
問5-2で見たように、本当に非効率な部門はデフレ・インフレに関係なく存続不可能となり、当該部門が抱えていた資源(労働者や不動産など)は放出される。 他方で、成長部門はデフレでは新たな資源を必要としないが、インフレでは新たな資源を必要とすることとなる。 従って、デフレ下では、非効率な部門から放出された資源が失業者や遊休不動産などの形でまったく活用されないまま放置されることとなるが、インフレ下ではそれらが成長部門へ移動し、有効に活用されていくこととなる。
さて、どちらが「構造改革」なのでしょう?
答:
問4-2や問4-6で見たように、金融緩和(長期国債買い切りによるベースマネーの増加)それ自体ではなく、金融緩和の継続による将来のインフレ期待が織り込まれることがデフレ脱出の主たる要因となる。 従って、増加したベースマネーを財源とした銀行からの資金供給が増加しなくても、各経済主体が投資や消費を活発化すれば(銀行借り入れの代わりに用いられる財源はデフレ下で企業・家計が貯め込んだ手持ち現金)デフレ脱出は可能であり、銀行貸出が増加するかどうかは問題ではない。
(2003-04-27記)
(2003-05-05レイアウト変更)
答:
物価が、ある通貨圏における財全体と通貨の交換比率である以上、十分な金融引き締めをすれば必ずインフレは止められる。 「自由な金融政策」、「固定的な為替レート」、「自由な資本移動」のすべてを同時に達成することはできないが、ブレトン・ウッズ体制崩壊後「固定的な為替レート」を各国中央銀行が追求する必要がなくなった結果、自由な金融政策によりここ20年程度はほぼインフレが絶滅している(為替をペッグしている国は自由な金融政策を行えないので当てはまらない)ことからも明らか。
加えて、リフレ策のパッケージにはインフレターゲットの設定が含まれており、ターゲットレンジの上限に近づいた場合には、各経済主体が将来の金融引き締めを織り込んで投資・消費を抑制することとなるため、リフレ策を採用していない場合に比べ、物価はより安定的に推移することとなると考えられる。
答:
スタグフレーション、つまり実質的な総生産=総所得=総需要の拡大を伴わないインフレは、
において発生し得るが、現在の日本における通貨供給増による物価上昇は、そうしたケースには該当せず、スタグフレーションが発生するおそれはほとんどない。
答:
資産価格は、理論的には当該資産が生み出す将来キャッシュフローの現在価値と等しいものであり、フローベースの物価上昇が実現した場合、その上昇率以上に資産価格は上昇するのは当然(将来の各期における物価上昇が累積的に影響するため)であり、単に物価上昇率以上に資産価格が上昇することをバブルと認識するのは誤り。
いわゆるバブルは、将来のキャッシュフロー上昇率がファンダメンタルズからの合理的推計値を超えた水準になると各経済主体が期待した結果生じる資産価格の過剰な上昇であるが、リフレ策においてインフレターゲットを設定することにより、将来キャッシュフローの過剰な上昇を各経済主体が期待する可能性は極めて低いものとなるので、バブルが発生するおそれはほとんどない。
答:
デフレは財に対する通貨価値の過剰な上昇であり、日本であれば円の価値が下がることによってデフレが解消することになるので、過剰な信認が適正なレベルに落ち着くことは当然に予想される。 日本は恒常的に大規模なプラスの貯蓄投資差額を抱えており、一定規模の対外投資が生ずることは不可避(国内民間部門の投資で吸収しきれない貯蓄は、政府部門の投資で吸収(=財政赤字に裏打ちされた民間部門から政府への財・サービスの移動)するか、海外部門に対する投資(=資本収支赤字に裏打ちされた国内部門から海外部門への財・サービスの移動)で吸収するよりほかない)。
いわゆるキャピタルフライトは、単なる資本収支赤字ではなく、固定為替相場制(=中央銀行が損だとわかっていてもレート維持のため売買に応じてくれる)を前提とした一方的な資本流出であり、変動為替相場制である円において生じることはあり得ない。
答:
運用資産の評価損が問題となるのは、資金運用利回りが低いレートで固定されている一方で資金調達コストが上昇し運用するだけ損が生じる場合に限られ、無利息で資金調達可能(輪転機を回して紙幣を刷ればよい)な日本銀行にとって問題とはなり得ない。 あえて言えば、インフレターゲットの上限に達して金融引き締めをする際、保有国債の売りオペを行えばキャピタルロスが発生し得ることが問題と言えるが、
答:
問6-5を見れば明らかだが、銀行における国債評価損が問題となり得るとすれば、金利上昇時に平均して預金より満期の長い国債を保有していており、運用金利は低いまま固定されている一方で調達金利が上昇する場合に限られる。 そのようなつたない運用を行っている銀行がつぶれたところで、デフレ脱出により経済が全体として安定化した場合には、貸出先の各企業の業績も好転し、保有株式の評価損や不良債権問題も解消しているはずなので、全体としての金融システムに危機が発生する可能性は低い。
答:
デフレにより物価が下落する一方で名目金利はマイナスとなれないため、実質金利が高止まっていることが短期金融市場が機能しなくなっている真の原因であり、デフレを解消しない限り短期金融市場の機能回復はあり得ない。
答:
フィッシャー方程式は完全雇用を前提としているが、現在の日本が完全雇用ではないことは明らかであり、従ってフィッシャー方程式は成立しないので効果がないというのは誤り(すなわち、物価上昇率の増加ほどには名目金利は上昇せず、実質金利の低下につながる)。
(2003-04-27記)
(2003-05-05レイアウト変更、問6-8を追加)
(2003-05-31問6-2に対する答を改訂、問6-4に対する答を改訂)
答:
主要な先進国で導入していないのは日本とアメリカだけ。
答:
「インフレターゲット」という金融政策手法が確立したのはごく最近のこと(各国における導入は1990年代以降)であるが、他方で(現在の日本を除き)最後の継続的デフレは大恐慌までさかのぼるため、デフレ下でインフレターゲットを導入した国がないのは当然。 類似例を挙げるとすれば、「インフレターゲット」に着目すれば、ニュージーランドにおいて、インフレターゲット導入後にデフレに陥りかけた際、果敢な金融緩和で食い止めたという事例がある。 他方、「デフレ」に着目すれば、大恐慌時代に、原始的なインフレターゲット政策とも言える物価水準目標政策がスウェーデンで導入されたという事例がある。
答:
FRBは雇用にも責任を持たされているので、多少のインフレを許容しつつ雇用の確保を図らなければならないことがあり得るため、インフレターゲットを導入していない。 にもかかわらず、「神業の使い手」グリーンスパン議長の引退後はインフレターゲットを導入すべきとの議論が行われており、仮にそれまで日銀がインフレターゲットを導入しなければ、主要な先進国で唯一の事例となる。
答:
問7-2にあるように、そもそも長期国債買い切りのような手法が必要とされる事態=デフレが近年では発生していないので、これまた当然の話。 なお、FRBのバーナンキ理事が、アメリカ経済がデフレに陥るおそれがある場合には、長期国債買い切りを含む非伝統的な金融政策を発動すると明言していることなどからして、仮に海外諸国が今の日本のような状態に立ち至れば、多くの国の中央銀行が「インフレターゲット+長期国債買い切り」といった金融政策を採用するものと予想される。
答:
「イギリス病」は頑強な労働組合や極めて大きな政府部門の存在により、非効率部門に多大な資源が高コストで固定化されていたことが原因であり、サッチャー流の構造改革は、労働組合の弱体化や政府部門の縮小により非効率部門から資源を流動化し、成長部門への投入を可能としたもの。 当時のイギリスが達成すべき目標は、問5-1で見た日本のそれと変わらなくとも、停滞の原因が異なっており、サッチャー流の構造改革は現在の日本に対する処方箋としては不適当である(規制緩和などによる公的部門の見直しが不要だと言うことではなく、ボトルネックを解消しなければダメだという趣旨なので、念のため)。
答:
積極的な金融緩和(ちなみにスウェーデン・韓国の両国ともインフレターゲットを導入したのは経済危機へ対応していた時期であるし、スウェーデンは対ECUの固定為替相場を放棄することにより金融政策の自由度を高めている)や、それによる為替レートの下落などによる実体経済の回復なくして、抜本的な不良債権処理は無理(実体経済が悪い以上、不良債権を処理しても処理しても新規発生が止まらない)。 貸出先の業績が片っ端から悪化しているときに、金融機関だけが健全になることはあり得ない。
(2003-04-27記)
(2003-05-05レイアウト変更)
答:
大恐慌当時、主要国は金輸出の解禁・金本位制への復帰(=固定為替相場制の導入)を行っていたが、各国とも、結局のところ金輸出の禁止→(自由な金融政策が可能となったことを受けての)大幅な金融緩和という過程を経て回復に向かっている。 このような金融政策の枠組みの大胆な変更を「レジーム転換」といい、近年の研究では、大恐慌脱出のキーポイントは、拡張的な財政政策でもなければ、なんと金融緩和それ自身でもなく、「レジーム転換」による各経済主体の行動パターンの変化であり、その結果、金融緩和の効果を先取りして物価水準や景気が回復したと考えられている。
答:
彼らのスタンスは、経済をあえて苦境に突き落とすことによって非効率部門を一掃し、そこから日本経済は新たに成長を始めるというもの。 しかし、苦境に突き落とされた経済の中で、失業率は増加、社会不安が広がる一方で、財閥などデフレに耐える経済力のある「持てる者」はカルテルなどを活用して生き残りを図り、経済の寡占度は上がっていく。
月並みな言葉だが、「地獄への道は、善意で敷き詰められて」いたのだ。
答:
軍部が力をつけたからこそ、高橋財政により始められた日銀による国債引受けが軍事費のファイナンスに濫用されインフレに陥ったのであり、因果関係が逆(高橋是清自身はインフレのリスクにも十分気を配り、過度の財政拡張には強硬に反対した)。 なぜ軍部が力をつけたかを考えると、農民をはじめとする多くの人々の経済困窮を招き、軍部の活動を喝采する下地の主たる要因の一つとなった井上財政の方がよほど罪深い。
答:
問8-1はもちろんアメリカにも妥当する話であり、金本位制からの離脱やFRBによる国債引受けといった「レジーム転換」によりアメリカ経済は苦境を一度は脱した。 その後、第二次世界大戦にいたるまで再度経済が落ち込んだのは、インフレを必要以上に恐れた金融引き締めが原因のいわば二次不況であり、大恐慌からの脱出それ自体はひとえにレジーム転換による。 金融引き締めがなければ戦争のはるか手前の時点で経済は継続的成長を達成していたであろうことは間違いない。
答:
当時のイギリスからはアメリカやオーストラリアなどの国々へ大量に移民が流出しており、その分だけ失業問題は深刻ではなかったし、企業の資金調達もエクイティ・ファイナンスが主流であり、実質債務負担の増加への耐性も大きかったため、大恐慌時や現在の日本に比べデフレの悪影響がでにくかったのは事実だ。
さて、19世紀デフレがどのように解消したかを見ると、それはなんと効率的な金の精錬法が発明され、金の産出量が増加したからである。 当時は金本位制であり、金の産出量の増加=通貨供給量の増加。 19世紀デフレ解消後の経済成長は、通貨供給量の増加によってもたらされたということになる。
逆に言えば、19世紀デフレ期に十分な通貨供給が行われ、そもそもデフレでない状態が続いていれば、より以上の経済成長が可能であったということになる。
答:
徳川幕府8代将軍吉宗の時代に、デフレによる経済停滞が生じた際、貨幣の金含有率を低下させて通貨供給量を拡大しデフレを脱したという故事がある(元文の貨幣改鋳)など、現代資本主義に限らずデフレはそれ自体問題であり、リフレ策により脱出すべきもの。
理屈を言えば、技術の進歩などにより生産性が向上した場合、最低でもそれに見合う通貨供給の増加がなければデフレとなるので、現金を退蔵する人間が報われ、リスクをとって何かにチャレンジしようとする人間(その心意気をアニマル・スピリット(byケインズ)と呼ぼうが、起業家精神(byシュンペーター)と呼ぼうが)が損をかぶる社会となってしまう。
そうした経済の方がよいという社会であれば、確かにデフレは問題となるまい。
(2003-04-27記)
(2003-05-05レイアウト変更)
(2003-05-31問8-1に対する答を改訂)
答:
過剰な円の信認を適正レベルに調整するという意味では問1-4にしめしたリフレ政策の必須パッケージと目的を同じくしており、後は技術的にどちらが適切かという問題。
長所は次のようなもの。
短所は次のようなもの。
答:
ベースマネーを増加させインフレ期待をもたらすという意味では問1-4にしめしたリフレ政策の必須パッケージと目的を同じくしており、後は技術的にどちらが適切かという問題。
長所は次のようなもの。
短所は次のようなもの。
答:
現金保有の機会費用を増加させるという意味では問1-4にしめしたリフレ政策の必須パッケージと目的を同じくしており、後は技術的にどちらが適切かという問題。
長所は、この説の論者によればマイルドインフレ達成時の日銀の国債保有に係る評価損の回避であるが、問6-5で示したように、日銀が評価損を抱えることはそもそも大した問題ではない。 他方で、短所としては次のようなものがある。
答:
財政支出拡大等の原資を通常の国債とすることを前提とすると(政府紙幣発行を原資とする場合については問9-2参照)、ドーマーの定理(国債発行の持続可能性について、税収が名目GDPに比例し、国債費が国債金利に比例するので、名目GDP成長率<国債金利の場合には、中長期的には国債発行は持続不可能であるとする定理)を考えれば、デフレギャップを埋め戻すほどの財政支出拡大等は財政破綻を招く危険性が大きく問題。 加えて、「政府の失敗」のリスクがある。
答:
どのような規制緩和がどれだけの需要を創出するか事前には予測困難であり、効果的な施策たり得るかが極めて不明確であることに加え、創出された需要が総需要の増加ではなく他の需要からの移動にとどまる可能性が高い(携帯電話がよく例に出されるが、携帯電話関連支出の増加分だけ他の支出を削っているのが実態)。 さらに、デフレが解消されるまでの間は投資が抑制されるため、仮に潜在的な需要が創出されたとしても、供給がそこに振り向けられず、結局は有効需要が増加しない可能性が高い。
答:
過剰供給の削減=失業者や設備廃棄の増加により、総所得が押し下げられることとなる。 短期での限界消費性向<長期での限界消費性向=1(短期では所得の増減ほどには消費が増減しない)であるため、そのうち総供給=総需要の均衡は達成されるが、その過程で相当程度経済規模が縮小することとなるため不適当。
(2003-05-05記)
答:
どのような方面に関心があるかに応じて、例えば次のような本がお薦め。
(補足)あわせて「参考之參:関連書籍案内」も参照ありたい。
答:
次のリンク集から当たってみること。
(2003-04-27記)
(2003-05-05「問10-x」へ番号変更、問10-1に対する答を追加、レイアウト変更)
(2003-06-08問10-2に対する答を追加)
(2003-12-11問10-1に補足を追加、問10-2に対する答を追加)
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