• 携帯電話からもゲンダイネットをお楽しみいただけます!
    http://k-tai.gendai.net/

トップ > 政治・社会 > 鳩山首相は誰にハメられたのか

鳩山首相は誰にハメられたのか

【政治・経済】

2010年04月27日 掲載

沖縄9万人集会の異常

●県外移転をよかれと口走っただけなのにいまやターゲットにされるオカシサ
 沖縄で開かれた「基地反対」9万人集会は、タイミングからいって、さながら「鳩山首相に対する糾弾集会」だった。それを見ていて、素朴な疑問が湧いてきた。鳩山首相が「沖縄の基地拡大」とでも言ったのならともかく、「国外・県外移転を目指す」と、県民サイドに立って主張しただけなのに、なぜ糾弾されなければいけないのか。どこにボタンのかけ違いがあったのか。
 普天間の県外移転は、民主党マニフェストに明記されていない。もともとは、そのくらい小さい問題だった。
「始まりは昨年7月です。総選挙の応援で沖縄を訪問した当時の鳩山代表が『政権交代の集い』で、民主党沖縄ビジョンとして『(普天間基地の移転問題では)国外移転を目指していく』と語ったのがきっかけです。ただ、この発言は、周到に計画された上で乗せられた節もあるのです。直前に『基地問題について触れてもらえれば、県民の共感を得ることができます』と入れ知恵した県議会関係者がいる。その背後には、民主党と対立していた保守系議員や自民党国防族の影がチラつくのです」(事情通)
 鳩山のことだ。「総選挙のためにちょっとリップサービスを」と言われれば、断る人ではない。軽い気持ちで応じたのだろう。
 だが、前出の保守系議員が「将来の火ダネをつくれた」とほくそ笑んだように、この発言が鳩山首相の命取りになっていく。民主党関係者が言う。
「普天間の県外移設は、民主党の正式な公約ではないし、与党3党の政策合意事項でもなかった。しかし、政権交代直後の9月から、福島社民党党首の期待発言や、米政府高官の困難発言が新聞に出るようになった。そのたびに鳩山首相はコメントを求められ、それが大きく新聞に載る展開です。それで自分の発言に縛られていったのです。背後に自民党国防族とメディアの結託があったのかどうかは知りませんが、鳩山潰しの意図的なシナリオがあったのは間違いないでしょう」
 ただ、気になるのは、この一両日の鳩山首相の自信に満ちた「県内移転否定」発言。もしかしたら、策略に乗せられたフリをしながら、沖縄県民を立ち上がらせ、最後は国外移転に持っていくシナリオにも見えてくる。
(取材協力=ルポライター・横田由美子)
~2010年04月27日以前の記事~