酔っぱらって入った家にプロレスラーがいた！

忍び込んできた酔客を捕まえた鶴見は、犯行現場を指さしてうんざり顔

　プロレスラーの鶴見五郎（本名・田中隆雄＝６１）の神奈川県茅ケ崎市の自宅に、泥酔状態で侵入したとして、県警茅ケ崎署は２９日未明、横浜市南区の会社員・田村祐昭容疑者（４２）を住居侵入罪の現行犯逮捕した。鶴見と２５歳の長男が約３０メートル離れた路上で取り押さえた。田村容疑者は容疑を認めているが「なぜ侵入したのか覚えていない」などと話している。７０年代から国際プロレスなどで活躍してきた往年のプロレスラー宅であることも知らなかったようだ。

　酔客が忍び込んだその家は、はぐれ熊の異名をもつプロレスラーの自宅だった。２９日午前２時ごろ、眠りについたばかりの鶴見は「ガタン」という物音で目を覚ました。「誰だ」と言うと、そのまま立ち去る足音。鶴見より一足先に、ウエートリフティングで体を鍛えた２５歳の長男が、追跡した。

　男を確保したのは３０メートルほど離れた自宅裏手の路上。長男が男を押さえつけた後、鶴見が男の左手首をきめ、警察に通報した。猛者２人の前に身長１７０センチ程度でやせ形の田村容疑者は小声で「すみません、すみません」とだけつぶやいていたという。得意のバックドロップやスープレックスを繰り出すまでもなく、ヒール時代に必須アイテムだった竹刀も不要だった。

　茅ケ崎署の調べによると、田村容疑者の呼気から検出されたアルコール濃度は０・４５ミリグラム／ミリリットルで、酒気帯び運転基準の０・１５ミリグラム／ミリリットルをはるかに上回る濃度だった。自宅裏の工事中のブロック塀から侵入し、鍵のかかっていなかった窓を開け、部屋には入らずに立ち去った。田村容疑者は「会社の同僚とビール２杯、焼酎５、６杯を飲み、職場の駐車場にある車の中で寝ようと思っていた。なぜ侵入したのか分からない」などと供述しているという。翌朝まで茅ケ崎署の聴取に応じた鶴見は「眠い。えらい迷惑な話だよ」と苦笑いするばかりだった。

　国際プロレス解散後は、全日本リングにも上がり、タイガー・ジェット・シンや上田馬之助とともにヒールとしてにらみを利かせた鶴見は、還暦を超えた今も現役だ。

　２００８年１２月１８日に後楽園ホールで行われた「昭和プロレス」でグラン浜田と組んで、大仁田厚＆栗栖正伸組を破って以来、試合には出ていないが、今年７月２５日に予定されるＤＤＴ両国国技館大会にゲスト参戦する。サンダー杉山さん、剛竜馬さんら先に亡くなったライバルレスラーは多いが「まあ元気なところが見せられればね」。酔客では相手に不足だったようだ。