達人が語るラーメンの未来
プロフィール
中村紘
1943年生まれ。「雪印」「日本ペプシコーラ」を経て、「セブン-イレブン・ジャパン」では中枢部に勤務し、持ち前の企画力と統率力をフルに発揮する。1987年に独立し、町田市・成瀬に「大文字」をオープン。「味噌らーめん」や「カレーつけ麺」で絶大な人気を誇る。2002年には2号店を横浜市・藤が丘に開店。現在、「日本ラーメン協会」副理事長。

●幸せなサラリーマン生活

_             中村さんが「セブン-イレブン・ジャパン」の創業メンバーだったことは、ラーメンフリークには周知の事実ですが。

中村:高校を出て、最初に就職したのは「雪印」。2年ほど勤めた後に、資金を貯めて大学に行き、卒業してから今度は「日本ペプシコーラ」に入ったんだ。この2つの会社では、本当に勉強になった。「雪印」では、200時間残業とかしながら、北海道から出てきて死にものぐるいで働く人たちから、いろんなことを学んだし、「ペプシ」では最大手の「コカコーラ」に対抗するため、営業として必死に働いた。おかげでサラリーマンとしての地力は、随分ついたと思うよ。

「セブン-イレブン」創業時は、コンビニなる業態そのものが疑問視されたと思うんですが。

中村:そうだね。でもその分、守りに入らず常に挑戦する仕事環境だった。この時期に、戦後日本経済のトップクラスの人達と仕事が出来たのは本当に幸せだったよ。

●幸せなサラリーマン生活

サラリーマンを辞めて大文字を立ち上げたのは?

中村:44歳の時かな。

サラリーマンとしてはこれから経営陣に食い込む時期ですよね。

中村:最初は「絶対辞めさせない」とも言われた(笑)。大勢引きつれて、競合相手に行くと思われたんだね。でも、元々女房には50歳までには会社を辞めて、好きな蕎麦かラーメンをやりたいと話していたしね。

ラーメン店を始める時にお手本にした店とか目指した味は?

中村:ラーメンは好きでいろいろ食べていたけど、そういうのは無かったね。

大文字の味は確かにあまり似たラーメンが無いですが、インテリアもオリジナリティが高いですよね。一つひとつ異なる丼とか、飾ってある絵や書とか。

中村:絵画は昔から好きだったから、このお店もギャラリーとして、展示会なんかも出来るように作ったんだ。実際、展示会もやったよ。絵が売れたラーメン店はうちくらいかも知れないよ(笑)。
    


●自分の個性を掘り下げないと


_ 「大文字」は創業時期からすると”96年組(麺屋武蔵・青葉・くじら軒)”などと同じく、今のラーメンの個性化・多様化を支えた一軒ですよね。その前もビジネスマンとして、チャレンジャーだった中村さんから見て、今のラーメン業界はどう見えますか?

中村:まず大前提として、ラーメンの一番の魅力は「制約が少ない」ということだと思う。自由闊達にして自由奔放。つまり、それだけさまざまな個性があるべきなんだね。店主1人1人が、自分の目指すラーメンを掘り下げて行けばいいんであって、自分と考えが違うものを「ダメだ、邪道だ」と否定すべきじゃない。

確かに。

中村:絵画でも古典派もあればゴッホのような印象派もあり、またそれとは別に水墨画のような物もある。古典派が集まって新鋭を否定するような事は、ラーメンの持つ世界を壊してしまうよ。

なるほど。


中村:ただその上で敢えて言うと、今は結果を早急に求めすぎる人が多いように思うよ。その為に流行りの味や、濃くてインパクトのある分かりやすい味に走る。自分の味をじっくり追求し、個性を作り上げないと、例え売れても底が浅いものにしかならないのに。

マスコミやインターネットの情報消費の速さもあり、私も耳が痛いです。

中村:基本的にはニーズのある物を提供するのは悪いことではない。でもコンビニでは一部の定番を除いて、商品が棚にある期間はすごく短いし、年間何千アイテムも廃棄されているんだよ。目先のニーズばかり追わず、自分の個性をしっかり確立していくべきだね。

ありがとうございました。
(インタビュアー:北島秀一)
  


中村紘氏の、ここに書ききれないウラ話はこちらから読めるよ!

_ 大文字
最寄駅: 藤が丘(東急田園都市線)
住所: 神奈川県横浜市青葉区もえぎ野17-7
電話: 045-973-3680
営業時間: 11:00~15:00、17:30~20:00、土日11:00~20:00
定休日: 火曜・第3水曜日

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