失業率が高止まりする中、連合などが主催するメーデー集会が29日、全国各地で開かれた。昨年9月の政権交代後、初のメーデー。九州の各会場では、参加者から「政治とカネ」をめぐる問題などに追われ、デフレ不況や雇用問題への効果的な対策を打ち出せない鳩山内閣に、不満や不安の声が上がった。対する自民党も離党者続出の状況。間近に迫る夏の参院選を前に、支持政党が見つからないことへのいら立ちも聞かれた。
「暮らし向きは良くならない。母子家庭で2人の娘がおり、不安が尽きない」。大分市であった連合大分の集会に初参加した派遣社員女性(41)は、政治への強い不満を口にした。
連合佐賀の集会参加のパルプ・紙製造業、横尾弘之さん(45)=佐賀市=も「普天間飛行場の移設問題や政治とカネばかり。雇用政策が見えない」と浮かない表情。福岡県田川市の会場では、ガラス瓶メーカー勤務の二場和樹さん(41)=福岡県田川市=が「会社はどん底を脱した感じがあるが、政権交代の実感はない。自民党時代から何も良くなっていない」と話した。
共同通信社の世論調査では、内閣支持率は20・7%と前回から12・3ポイントも急落。それを裏付けるように各会場では景気、雇用対策に厳しい言葉が並んだ。ただ、参院選への態度は割れた。
福岡市であった連合福岡の集会に参加した食品メーカーの北原慎太郎さん(24)=福岡市早良区=は「民主党の政策は現実味が薄い」と、自民党支持を明言。同じ会場にいた同市南区の主婦小林奈央さん(36)は「政権交代からまだ8カ月。様子を見たい」。佐賀市の会場では、運送会社勤務の古賀淳子さん(55)が「鳩山内閣は期待外れだが、自民党政権にも戻ってほしくない。どこに投票してよいか分からない」と吐露した。
一方、アルバイトをしながら通信制大学で学ぶ滝沢太さん(35)=福岡県志免町=はフリーターユニオン福岡が福岡市内で開いた集会に参加。「政権交代はかすかな希望。現段階で恩恵はないが、労働者派遣法改正の動きを見守る」と話した。
=2010/04/30付 西日本新聞朝刊=