出てきたバンゴヤンに対し、狙い澄ました左ストレートがヒット。ダウンを奪い、休まずに左右のラッシュで仕留めた。5回TKOで初防衛から4連続KO防衛。日本人世界王者として歴代最高記録となり「本当にうれしい。これからのボクシング人生を、毎日を大切に歩んでいきたい」と言葉をかみしめる。
勝利の直後だ。赤コーナーによじ登り、胸を張って腕組み。誇らしげに何度もうなずいた視線の先には、29日に39度5分の高熱を出し、テレビ観戦している4歳の長女がいた。リング上のインタビューで「パパ勝ったよー。風邪が治ったら公園行こうな」。優しい笑顔で声を掛けた。
今回は体幹を鍛えるトレーニングを重点的に積み、仕上がりは「最高潮」と宣言するほどだった。「精神的には毎試合、毎試合強くなっているし、技術面も完ぺきになっている。目指すは世界の西岡です」。苦労を乗り越えて充実期を迎えた33歳。心も体もまだまだ若い。
西岡利晃
「思い通りの展開だった。(初防衛戦から)4連続KOは本当に考えていなくて、結果的に圧勝でよかった。目指すは世界の西岡。世界中のだれもが知っているスーパーチャンピオンになりたい」
バンゴヤン
「まだやれると思ったので残念。(西岡のパンチは)想像以上に右も左も強く、どうすることもできなかった」
西岡 利晃(にしおか・としあき)
小学生でボクシングを始め、94年12月プロデビュー。08年9月に5度目の世界挑戦でWBCスーパーバンタム級の王座獲得。昨年5月、メキシコでジョニー・ゴンサレスを3回TKOで下し、日本人王者として24年ぶりの海外防衛に成功した。スピードが武器の左ボクサーファイター。戦績は43戦36勝(23KO)4敗3分け。33歳。兵庫県出身