【社説】出口戦略を先延ばしする理由はない

 今年第1四半期(1-3月)の韓国の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比7.8%を記録した。2002年第4四半期以来、7年3カ月ぶりの高成長だ。製造業生産は20.0%、民間消費は6.2%、設備投資は28.8%、輸出は21.3%ぞれぞれ伸び、ほぼすべての分野が好調を示した。韓国銀行は「韓国経済が長期成長基調に近づいた」と評価した。危機が終わり、経済の流れが正常軌道に乗ったことを示している。

 経済が正常レベルを取り戻した以上、非常時に取られた措置を見直し、利上げ、財政支出縮小を含む出口戦略を本格的に実行すべき時が来た。先週末に開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、「各国がそれぞれの状況に合った出口戦略を準備すべきだ」と宣言した。国・地域別に景気回復ペースが異なるため、政策対応もそれぞれの道を歩もうと合意した格好だ。

 まず、金利を引き上げなければならない。韓銀は基準金利を1年2カ月にわたり過去最低の年2%に据え置いている。このままでは物価が上昇し、不動産など資産バブルが生じる危険のみが高まる。国際通貨基金(IMF)と韓国開発研究院(KDI)もこうした理由から、段階的な利上げの必要性を強調している。

 G20議長国として、国際協調体制に反してはならないという政治論理は、これ以上利上げを先延ばしにする理由にはならない。既にオーストラリアが昨年10月から5回にわたり利上げを行い、インド、マレーシア、イスラエル、ノルウェーも利上げに踏み切った。カナダ、ブラジルも利上げが秒読み段階に入っている。

 財政支出の縮小も必要だ。財政支出は金融危機のショックの中で、福祉部門や大型国策事業を通じ、いい加減に執行された側面がある。それにより、公共部門の負債が急速に膨らんだにもかかわらず、政府は今も巨大開発プロジェクトの推進にこだわっている。経済サイクルが正常化した状態で、「親庶民」を掲げ、ばらまき式で財政支出を増やすのは危険だ。

 特に警戒すべきことは、資産市場のバブルだ。既に株式市場が過熱している。韓国の経済回復を確信した外国人投資家がドル資金を続々持ち込み、韓国の資産市場で投資を増やしている。こうした資金が実体投資に結び付かなければ、遠からずバブル崩壊のショックが生じる。

 無論、出口戦略で経済に衝撃を与えることがあってはならない。金融危機という緊急事態では迅速な対策が必要だが、出口戦略は副作用を考慮し、徐々に移行することが求められる。既にウォン相場が急騰し、輸出企業には少なからぬ負担となっている。出口戦略を行動に移す際には事前に市場にシグナルを送り、適用期間を設けるべきだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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