長谷川、調整余裕！異例、計量前に柔道観戦！

メキシコのリポーターから取材を受ける長谷川

　◆報知新聞社後援　ワールドプレミアムボクシング　ダブル世界戦　▽ＷＢＣ世界バンタム級　長谷川穂積─フェルナンド・モンティエル（３０日、東京・日本武道館）　Ｖ１０王者・長谷川穂積が、大和魂でバンタム級頂上決戦を制する。２８日に都内でダブル世界戦の会見と調印式が行われ、長谷川が２９日の計量直前に同じ日本武道館で行われる柔道全日本選手権を観戦することが判明。異例の行動は好調な調整の表れで、メキシコで絶大な人気を誇る３階級王者モンティエルとの世紀の一戦へ士気を高めていく。Ｖ４を目指す王者・西岡利晃は“３Ｄ”攻撃で無敗挑戦者を封じる。

　緊張感に満ちた会見でも、ほどよく力が抜けていた。「スピードは自分が上だと思うけど、後は似たようなもんじゃないですか」。長谷川が自身の優れた点を述べると、３階級王者は「俺はこれまでの挑戦者とは全く違う」と怒りを込めて反撃。すると、メキシコの英雄の気合をかわすように「判定でもいいです」と言い放ってみせた。

　心身ともに余裕がある。「体調が良かったら見に行こうと思っています」。決戦前日の２９日は午後２時の計量まで接骨師の妹・瑠璃さん（２２）と柔道観戦にあてることを明かした。集中力も途切れるもっとも苦しい時間。異種格闘技観戦は趣味のひとつだが、これまでなら考えられなかった過ごし方だ。

　原点回帰の思いがある。４月の日本武道館は、０５年にウィラポンから王座を奪った時と同じ状況。Ｖ１１戦のカードが決まり、山下正人会長（４７）から「（昔と同じ）雑草魂で戦おう」と言われ、妻・泰子さん（３０）からも同じ言葉をかけられた。体重無差別で、真の柔道日本一を決める戦いを生観戦し、柔道家から大和魂を注入されるとともに、無名からはい上がった当時のスピリットも思い起こすつもりだ。

　国と国の誇りをかけた頂上決戦だ。この日はボクシング大国のメキシコのメディアから「最強の評価を受けるモンティエルにどう勝つのか」と聞かれ、「強い選手に勝つのがボクサーをやる意味。より頭のいい方が勝つ」と返した。最後の練習で体重はリミットで「やりきった」と長谷川。日本のエースに君臨する男は、王者の中の王者へとステップを上がろうとしている。