福岡市の博多湾で同市博多区堅粕（かたかす）、会社員、諸賀（もろが）礼子さん（３２）の切断遺体が相次いで見つかった事件で、諸賀さんの腕時計を県内の質店で換金した男（３２）＝事件とは別の窃盗容疑で逮捕＝が「時計は拾った」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。諸賀さんの事件については「知らない」と関与を否定しているという。福岡県警は、男の供述の裏付けを急ぎ、事件との関連を慎重に調べている。

　逮捕されたのは同市中央区在住のアルバイトの男。逮捕容疑は市内の勤務先から液晶テレビを盗んだとしている。

　男は諸賀さんが行方不明になった３月５日以降、県内の質店で、諸賀さんが所持していたギリシャの有名ブランド製腕時計を換金したとされる。

　諸賀さんの遺体は３月１５日に同市西区の能古島に下腹部が漂着して以降、４月１５日までに同市中央区の福岡競艇場や須崎ふ頭で両腕や胴体、頭部が相次いで見つかった。両足と着衣、アクセサリーなどは見つかっていない。

　諸賀さんは３月５日、勤務先を退社後、連絡が取れなくなり、親族が７日に県警に届け出た。県警が調べたところ、室内に財布やバッグが残され、窓ガラスが内側から割れていた。室内では血液反応が検出されておらず、県警は何者かが諸賀さんを連れ去り、他の場所で殺害して遺棄したとみている。