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クローズアップ2010:鳩山内閣支持率急落 不信の矛先、首相に

 毎日新聞が17、18の両日に行った全国世論調査で内閣支持率が33%へ急落し、鳩山由紀夫首相が急速に民意の支持を失っている現状を浮き彫りにした。米軍普天間飛行場の移設問題などの迷走により、政治不信の矛先は鳩山首相に向かい、支持率下落の主要因が「政治とカネ」問題や強権的な政治手法で批判を集める小沢一郎・民主党幹事長から、指導力不足を露呈した首相の資質問題に移りつつある。夏の参院選で単独過半数を目指してきた民主党の政権戦略は見直しを余儀なくされている。【中村篤志、中田卓二】

 ◇参院選へ戦略崩れ

 平野博文官房長官は18日、毎日新聞の世論調査結果について「支持率下落は真摯(しんし)に受け止める」としながらも、普天間移設問題に関しては「5月末に結論を出すので首相退陣という話ではない」と強調。松野頼久官房副長官は「マニフェストは着実に実施しているが、うまく国民に伝わっていない」と分析した。

 普天間移設問題は昨夏の衆院選で党代表だった鳩山首相が「最低でも県外」と訴えたことで、鳩山政権の重要課題に浮上した。「5月末決着」を公約したのも首相自身。移設先を巡る調整が難航するなか、首相は「覚悟を決めて臨んでいる」などと繰り返し、進退論にまで発展しかねない事態を招いた。

 長引く混乱が政権にもたらした代償は計り知れない。何より鳩山首相の統治能力に疑問符がつき、支持率下落に伴い閣僚への「抑え」が利かなくなった。高速道路の新料金制度や独立行政法人改革など政権の看板政策で、各閣僚から異論が続出。収拾がつかない現状に官邸内でも「首相の自爆」(首相周辺)とのため息がもれる。

 政権のたがも緩み始めている。4月13日の閣僚懇。ライターの火遊びによる火災防止策に話題が移ると、閣僚の一人は「大人の火遊びはどうなんだ」とつぶやいた。知人女性に議員宿舎のカードキーを貸与していたことが報道された中井洽国家公安委員長への皮肉だ。

 民意の「鳩山離れ」に政府・民主党は有効な手だてを見いだせないでいる。普天間移設問題の決着に失敗すれば、さらに支持率が低下するのは必至。参院選前に「政治とカネ」問題で小沢幹事長、普天間問題で平野氏が引責辞任する政権浮揚策も取りざたされてきたが、夏に改選期を迎える参院議員は「もう小沢さんの辞任だけでは済まない。鳩山、小沢セットで辞めてもらわないとだめだ」と悲観的だ。

 しかし、「ポスト鳩山」を検討しようにも、政権発足から1年足らずで首相を交代させれば、毎年のように首相・総裁を代え続けた自民党の二の舞いになる。民主党内の「親小沢」系と「非小沢」系の双方から支持を得られる有力候補もなかなか見当たらないのが現状だ。小沢氏主導の党運営を巡る党内の綱引きはなおくすぶっており、後継次第では再燃しかねない。政府・民主党は八方ふさがりのまま、参院選に突入しようとしている。

 ◇舛添新党、期待低く

 党勢が低迷する自民党にあって谷垣禎一総裁ら執行部への批判を続ける舛添要一前厚生労働相。世論調査で舛添氏について聞いたところ「離党して新党を結成すべきだ」との回答は20%にとどまり、「自民党総裁を目指すべきだ」が44%だった。自民党に残って党再生に努力するよう求める声が強いことを示す調査結果だが、「舛添氏には期待していない」も35%あった。

 自民支持層に限ると、舛添氏が「総裁を目指すべきだ」との回答は56%にはね上がる。若手議員の一人は「参院選前に舛添氏を総裁か幹事長にするぐらいでなければだめ」と反転攻勢を舛添氏に託す。舛添氏も取材に対し「政策と体制を刷新すれば政党支持なし層を取れる」と総裁への意欲を隠さない。だが、新党結成をちらつかせる手法で存在感を高めながら、あいまいな態度で状況を見極める姿勢が党内の反感を買い、「次の一手」は縛られつつある。

 そんな舛添氏が注目を集める現状は、民主党を離れた層を取り込めず、参院選への展望が開けない自民党の苦境も示している。調査結果を受け、谷垣氏は「与党がこれだけふがいないのに十分な受け皿になっていない」と率直に認めた。

 自民党内では「ここで総裁を代えたら批判される」という谷垣氏への消極的支持が大勢だが、低迷から脱するため大島理森幹事長以下の幹部交代を求める動きが再燃する気配もある。参院選前に鳩山首相や小沢幹事長が辞任する事態になれば、自民党も谷垣体制そのものの刷新を迫られる可能性もあり、党幹部は「民主党の出方次第だ」と含みを残す。

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 ◇世論調査の質問と回答◇

 ◆鳩山内閣を支持しますか。

                    全体  前回  男性 女性

支持する                33 (43) 34 32

支持しない               52 (45) 53 51

関心がない               15 (11) 12 17

 ◇<「支持する」と答えた方に>支持する理由は何ですか。

民主党の首相だから           14  (7) 18 10

指導力に期待できる            1  (1)  1  2

政策に期待できる            18 (17) 20 17

政治のあり方が変わりそうだから     66 (73) 61 70

 ◇<「支持しない」と答えた方に>支持しない理由は何ですか。

民主党の首相だから            2  (3)  2  2

指導力に期待できない          40 (36) 42 39

政策に期待できない           35 (33) 34 36

政治のあり方が変わりそうにない     22 (28) 21 23

 ◆どの政党を支持していますか。

民主党                 23 (28) 26 21

自民党                 14 (16) 15 14

公明党                  3  (4)  2  4

共産党                  3  (2)  3  2

社民党                  1  (2)  1  1

国民新党                 0  (1)  0  -

みんなの党                8  (7)  9  7

たちあがれ日本              1       1  2

改革クラブ                -  (-)  -  -

新党日本                 0  (-)  0  0

その他の政党               1  (0)  1  1

支持政党はない             45 (40) 41 48

 ◆米軍普天間飛行場の移設問題で、鳩山首相は5月末までの決着を明言しています。5月末までに決着できなかった場合、鳩山首相は退陣すべきだと思いますか。

退陣すべきだ              53      54 52

退陣する必要はない           45      45 46

 ◆自民党を離党した与謝野馨さんたちが無所属の平沼赳夫さんと新党「たちあがれ日本」を結成しました。この新党に期待しますか。

期待する                21      19 22

期待しない               78      80 77

 ◆自民党では、舛添前厚生労働相が、谷垣総裁ら党執行部への批判を続けています。舛添氏はどうすべきだと思いますか。

離党して新党を結成すべきだ       20      18 22

自民党総裁を目指すべきだ        44      45 43

舛添氏には期待していない        35      35 34

 ◆政府は、ゆうちょ銀行に預金できる限度額を現在の1000万円から2000万円に引き上げる郵政改革案をまとめました。「預金者にとって便利になる」との声がある一方で「民間の金融機関にお金が集まらなくなる」という批判もあります。政府の郵政改革案に賛成ですか。

賛成                  33      33 34

反対                  64      64 64

 ◆参院選後、民主党単独の政権ができることが望ましいと思いますか。

民主党単独政権が望ましい        23 (21) 26 20

社民党、国民新党との連立政権が望ましい 19 (25) 18 20

他の政党との連立が望ましい       53 (46) 51 54

 ◆参院選が今行われるとして、あなたは比例代表でどの政党、あるいはどの政党の候補者に投票しますか。

民主党                 29 (31) 32 26

自民党                 21 (22) 20 23

公明党                  4  (5)  3  5

共産党                  5  (3)  5  4

社民党                  2  (3)  1  2

国民新党                 0  (1)  1  0

みんなの党               12 (12) 13 11

たちあがれ日本              3       3  2

改革クラブ                0  (-)  0  -

新党日本                 0  (0)  0  1

その他の政党              17 (12) 17 18

 (注)数字は%、小数点以下を四捨五入。0は0.5%未満、-は回答なし。無回答は省略。カッコ内の数字は前回3月13、14日の調査結果。

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 ◇調査の方法

 17、18日の2日間、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDS法で調査。有権者のいる1535世帯から、1044人の回答を得た。回答率は68%。

毎日新聞 2010年4月19日 東京朝刊

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