しかし、立て看板の効果はいまひとつだ。桜が見ごろを迎えた4月上旬。週末に花を楽しもうと訪れた男性会社員(29)は「居心地が悪く、歩くのが嫌になった」と話す。
周辺の道は散歩する人や外国人観光客で大変なにぎわいだった。その後ろでランナーが足踏みしながら舌打ちをした。ある観光客は不意に後方から近づいてきた走者に驚き、飛びのいたという。
皇居の周りは四季折々の植物に彩られる散歩コースとして知られている。オフィス街や繁華街に近いため、観光客、親子連れ、車いすの人などが気軽に訪れる憩いの場だ。そしてランナーにとっても好条件がそろっている。
「信号に邪魔されずにアップダウンのある道が1周5キロも続く。自然が多くてすばらしい」(日本在住のドイツ人女性)。もともとランニングを楽しむ人はいたが、ブームに乗って走者の集団が押し寄せ、皇居周回コースは、全国のランナーのあこがれの場所となった。平日夜は仕事帰りの会社員が、休日は愛好家のチームが団体で走り、不定期の大会も開かれる。
4500人走る
周辺ではシャワーやロッカーを備えた専用施設が次々オープンしている。2月に開業した「アディダス ランベース」(東京都千代田区)の利用者は1日平均100人。千代田区の調べでは、混雑する水曜日の午後6~9時ごろに4500人もの人が走っていたこともあるという。
「わざわざ遠方から来る人が増え、10年前とは明らかに層が変わった」(千代田区の観光協会)。周辺のホテルはビジネスチャンスを生かそうと宿泊プランを打ち出す。ホテルニューオータニが1月に売り出した専用施設の利用券と朝食をセットにしたプランは2万円から(1室2人利用の場合)で、これまでの利用者は100人。半数が日本人だ。
皇居周辺だけではなく、住宅地などでも苦情が出始めている。東京都内の林試の森公園では車いすの人や親子連れが多く「ランナーを避けきれない。注意してほしい」「夜、ランナーの声がうるさい」という声が住民からあがった。
放置しておいては、事故やランニング禁止といった事態を招きかねない。そこで自主的なマナー作りに着手する動きが出てきた。
専用施設のランナーズステーション(東京都千代田区)では「皇居では、反時計回りに走るのが主流。平日の夜や、土日の日中は、集団逆走をやめましょう」といったルールを提案する。ランニングチーム「club MY☆STAR」代表の岩本能史さんは「自分たち“高速ランナー”は人を追い抜くときは必ず、『抜きます』と声を掛けている」という。
もっとも、歩行者が横に並んで歩いたり、自転車を乱雑に駐輪したりして、無意識のうちに道幅を狭くしていることもある。互いに、譲り合いや気遣いが欠かせない。
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