【コラム】対米外交で実感する韓国の地位向上(下)

 ワシントンの在米韓国大使館関係者は、以前よりはるかに忙しくなった。過去には韓米同盟に関することだけを扱っていればよかったが、米国と協議する案件の範囲がグローバルに拡大したからだ。大使館関係者は「ある会議で米政府機関に出向くと、七つか八つの課の職員が説明を行うために出席しており驚いた。最近は国務省以外の官庁の職員からもお呼びが掛かることが多くなった」と話した。昨年12月には外交通商部の李容濬(イ・ヨンジュン)次官補が国務省、国防総省、財務省、国家安全保障会議(NSC)の次官、次官補クラスとわずか1日で次々と会い、帰国したことがあった。

 このように、韓国の地位が向上していることを多方面で確認できることは喜ばしく、望ましいことだ。しかし、韓国がこうした現象にごう慢になり、先進国入りしたかのように振舞ってはならない。

 韓国がにわかに注目を浴びている背景には、韓国の国力が向上したという点もあるが、そこには米国が果たした役割も少なくない。米国の積極的な推薦でG20首脳会議、核安全保障サミットの誘致に相次いで成功し、注目された側面があるからだ。また、日本で鳩山内閣発足後に日米関係が悪化し、米国が戦略的に韓国に配慮していることも無視できない。

 われわれが感じる韓国の地位向上を正確に定義するならば、これまで国際社会の後部座席でメモを取っていた国が発言権を持ち始めたにすぎない。韓国はやっと一人当たり国民総生産(GDP)が2万ドルに届く水準だ。

 国家全体が謙虚な姿勢で実力を高め、国際社会のために奉仕するというイメージを持ってもらいたい。やっと訪れたこの機会に大騒ぎせず、一方で適切に生かしていけば、5年後、10年後に韓国の真の地位が確立されるだろう。

ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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