きょうのコラム「時鐘」 2010年4月29日

 還暦を過ぎてから出席する同窓会で、うんざりするのは、孫と年金と病気の話に終始することである

青春を懐かしみ現況を伝えあい明日を語るどころではない。が、考えて見れば老後の「幸せ」は、先の三つに尽きるのかもしれない。孫に明日の命を託し、健康な今を喜び、生活を支える資金を確かめる

内閣府が国民の「幸福度」を調査した。前政権との一線を画す施策の材料にするという。「とても幸せ」が10点で「とても不幸」を0点とした調査は30代が幸福度のピークで、年とともに下がっている。年とともに「不幸」になるとは、老後が怖いということだ

幸不幸はあざなえる縄の如し。絶対権力者と言われた小沢さんは政治家として「とても幸せ」だったに違いないが、起訴相当とされて「とても不幸」になった。お金持ちの恵まれた家庭に育って首相になれた鳩山さんも、今は幸せなのか

だれしも幸不幸の季節がある。人それぞれの価値観がある。計り難いものを計るのである。老後の不安を取り除く政治の役割は大きいが、政治の現状を見れば、国民に「幸せか」と聞くまでもなかろう。