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そんな死人の写真がとりたいのだろうか……携帯カメラが泣いている

2010年04月28日14時00分 / 提供:ガジェット通信

ガジェット通信
そんな死人の写真がとりたいのだろうか……携帯カメラが泣いている

とっさの時の衝動、そんな感覚はありえないと思いながらも、現場に直面したら自分はどうするのだろうと自問してしまいました。今回はみやびさんのブログ『Amazonの悪魔』からご寄稿いただきました。

そんな死人の写真がとりたいのだろうか……携帯カメラが泣いている
昨日の朝のことです。ゴミを出してから出社しようと(生活感あふれる話だ)、いつもより2本ほど遅い電車に乗るつもりで家を出ました。家中にビールの缶とかがちらばってて、とても危険だったもので(^^; 嫌ですね、独り者はどうしてもちらかしてしまって。

最寄の駅前についた時のこと。ちょうど駅のエスカレーターが見えて、「今日はずるしてエスカレーターで登っちゃおうかなぁ(普段はダイエットのためなるべく階段を使用)」なんて思った瞬間。

視界の隅で何かがくず折れるのが見えました。「あれ?」と思ってみれば……人が倒れている

とっさに周りを見渡したのですが、だれも駆け寄らない。悲鳴をあげてる女性は何人もいるのですが、叫んでるだけで近づかない。男性もそんな感じ。まぁ、そりゃそうです。とっさにすぐ動けるものではなく、私も一瞬硬直してました。

(だれもいかないのかよ……よし)躊躇(ちゅうちょ)の後に一歩踏み出した時、ひとりの若者(20代中盤ぐらいでしょうか。雰囲気は大卒2年目ぐらいのサラリーマンといった感じのさわやかな印象の男性)が駆け寄るのが見えました。私も足を早めます。

崩れ落ちたのは、一昔前のチーマーというか、カラーの方というか、ヒップホップ系の格好で、耳にピアス、首からは金のネックレス。体格もまぁ、太めで私からすると親近感がわく、そんな方。
目は焦点があっていないというか、白目というか、一目で「おかしい」とわかる感じ。

ともかく急いで呼吸を確認……「ない」。一緒に駆け寄った若者に脈をとってもらい、私は心臓音を確認……「やばい、ないよ」。彼の胸につけた私の耳には鼓動を感じられません。

幼いころ、私の周りには消防士のお兄さん達がたくさんいて、いつも遊んでもらってました。そのころおもしろ半分に様々な救命方法を習っています。まぁ、うろ覚えでは仕方ないのですが、先日友人なんかと冗談半分にやり方をGoogleで検索して実際に練習していたのが幸いしました。

「私が心臓マッサージをやります」そう告げると、うなずいた若者が黙って気道を確保します。人工呼吸をしようとしてるのがわかりました。こっちは頭が真っ白気味ですが、出来ることがあるならやらないと。ともかく、力をかけすぎないように心臓マッサージ。ドン!ドン!ドン!といった感じ。力を入れすぎると骨が折れることもあるそうなのですが、いまいち加減がわからない。「一秒よりやや早めぐらいの感覚でやるといいよ」子供のころのお兄さん達の声を思い出します。ともかく、やるしかない。私のタイミングに合わせて人工呼吸も始まりました。息さえしてくれれば、心臓が動いてくれれば……夢中で続けるマッサージ。

その時、妙な音が聞こえてきて、周りを見回しました。心臓マッサージをする私の目に入ってきたのは……携帯を構えて写真を撮るOLや学生さんの姿。

「ピロリン」「カシャッ」様々な音が聞こえてきます。
とっさに動けないのも仕方ない。やり方がわからないなら、手伝えないのも仕方ない。私だってとっさに動けていなかった。けれど「それはないだろう」と。「何やってるんだよ」と。

「動けるのなら、いいからAED探してこい!」叫びたくなりました。
何人かの人が「AEDありませんかー!」と叫んでる声は聞こえていました。最寄の駅にあるはず。そう思ってもこっちは人と話す余裕がありません。ただひたすら、リズムを刻んで心臓を押します。ある程度やっては人工呼吸に合わせて定期的に心臓音を確認、どれだけそんな事をしていたか。AEDが来る前に、変化が起こりました。

「ぶるっ」一瞬の身震いのあと、自発呼吸が。心臓も動き始めました。

たぶん、実際にやってたのはそれほど長い時間ではないのでしょうが、思わずスーツのまま地べたにペタリ。そのすぐ後に、人をかきわけてくる白衣が見えました。救急車の到着です。「後は専門家に任せられる」そう思ったら、力ががっくり抜けました。けれど、野次馬が邪魔で、すぐによってきてくれません。聞こえるのはまたしてもシャッター音。

「時間を多少間違えていて遅刻寸前かも」なんて友人とメールしていた朝。それがなんでこうなっちゃうのだろうか……。

ともかく救急隊員に事情を説明しました。倒れてからおそらく1分していないタイミングで心臓マッサージと人工呼吸を開始したこと。さっき自発呼吸と確かな心音を確認したこと。

それらを告げて、時間を確認すると……「あ」遅刻確定。一緒に人工呼吸していた青年も携帯で時間を確認して、「やばっ」という表情に。思わず顔を見合わせてしまいました。倒れた人が救急車に運ばれ、姿が見えなくなった瞬間、私とその若者はそろって走ってました、駅に向かって。

ともかく上司に電話。朝礼直前、まずい。急ぎメールだけ打って、ホームに滑り込んできた電車に乗ります。そんなに時間がたっていない気がしたのですが、そもそも時間ぎりぎりの電車で行くつもりだったのを忘れていました。一緒に人工呼吸等してた彼も、別の車両に飛び乗ったのが見えました。

いつもの日常に戻ったのは、たぶんそのタイミング。私もようやく落ち着きを取り戻しはじめます。混雑する電車の中ですし詰めになりながら、呼吸を整えます。

そして、冷静になった頭に浮かんだのは、さっきの携帯のカメラ音。そして周りで聞こえていた声。

「ミクシィにさぁ」
「今ね、すっごいことがねぇ」
「死んじゃってるかも〜怖いねぇ〜」

あの時は夢中で、聞こえていても、何も感じなかった声が頭の中で再生されます。断片的ですが、結構きちんと覚えてました。電車の中で、落ち着きを取り戻しながら、ものすごく悲しい気分に。

あのとき、私が心臓マッサージをしていた人はある意味「死んでいた」わけです。少なくともあの瞬間は。彼女達は死体をパシャパシャと撮ってるわけで。しかも、下手すればミクシィとかにアップしようと考えてるわけですよ。いかにもかわいそうな表情を顔に張り付かせて。

お前らそんなに死体の写真好きかと。

携帯のカメラ機能が泣いてしまいますよ。報道カメラマンでもないんだから。そんなさも悲しそうな表情でやってることは……なんだろう、うまく言葉に出来ないな。偽善者じゃないけど、なんだろうな。

その悲しそうな顔の裏には、奇妙な優越感があるような気がしました。自分には関係ない風景。所詮(しょせん)他人。だから、死んでも「かわいそう」なだけ。だから写真をとってもOK。かわいそうな人の、かわいそうな姿をカメラにとらえる。
 
なんだか、悔しいやら、悲しいやら。もっとも、そんな気持ちになった時にはもう電車の中。ため息をつくことしか出来ません。

落ち着いて時計を見れば、「あ、遅刻の理由」の一言が口からこぼれます。「心臓マッサージしてたら遅刻しました」普通に上司に報告したら、まず信じてくれないです。

「下手な言い訳すんなよ、寝坊だろ?」そう言われると思ってました。転職したばかりなので、あと半年は有給すらない身。「ここで遅刻は査定にひびくなぁ」そんな下世話なこともちょっとは考えました。

けど、まぁともかく、命を助けることはできたのだからいいか、と。無責任ですけれど。後遺症が出るかもしれないし、あとあと大変かもしれないけれど、生きていられる方がよっぽどいいよな、そう思いました。本人からすれば別の意見があるかもですが、死んじゃってたらそもそも意見も言えないでしょうしね。

会社に出社して。先日の人事変更で直接上司となったばかりの部長に報告したところ。

「お疲れ様でした。大変でしたねぇ」とねぎらいの言葉。

涙が出そうになりました。こっちも中途入社で、まだコミュニケーションがちゃんととれてないと思っていた上司のその言葉で、自分がクタクタだったことを思い出します。思わず足ががくっとなりかけて。

それからちょっと遅れて、いつもお世話になっている部長が見えたので改めて報告(朝、遅れますとメールしたのはこの部長)。

「朝から何やってるんだよ(笑)。まぁ、お前さんらしいな。ともかくお疲れ!」笑ってほめてくれました。

「ああ、転職してよかったな、上司に恵まれてるな」そんな風に思えて。いや、仕事はそろそろ地獄の片鱗(へんりん)が見え始めてるんですけれどね(苦笑)。

私ならそういうこともあるだろう、そんな風に思ったらしいのですが。だとすると私は普段この上司にどんな目で見られてるのか、ちょっと気にはなるんですけれど。疑われなかっただけでも、かなりうれしいです。

朝からバタバタ。まさかゴミを出すために時間をずらしたら、こんな事態になるとは。人生いろいろあるものです。

なんにしろ、彼が助かったのならいいのかな。ちゃんと無事かどうかはわからないけれど。おいしいモノひとつ食べられなくなるのは、ちょっと悲しいですからねぇ。

見た感じ、夜遊びから帰ってきた若い人っぽかったので、もしかしたら、『お酒』+『徹夜』+『たばこ』のコンボだったのかな。そりゃ心臓も悲鳴をあげるでしょう。私の心臓だって、うーん、少しは健康に気を使わないと。

ともかく、大変な朝でした。夜になって強く心に残っていたのは、倒れた人のこと、自分の行動はあれでよかったのか。こんな事書いててなんですけれど、私が言える立場だろうか、そんな思いもあって。

でも、脳裏にはあの時の光景がはっきりと残っています。ただ野次馬としてむらがりながら、かわいそうかわいそうと言いながら、携帯で写真を撮ってる人達の姿。携帯のシャッター音。そんなに死体の写真が撮りたいのかよ。その携帯、そんなことのために買ったのかよ。そんな風にも思えて。そんな使い方をされたら、道具だって悲しいと思うんですけれど。

自分がいつどんな目にあうかわからないのに。同じ目にあって、果たして「かわいそう」ですませられるのか。ちょっといろいろ考えさせれました。

まぁ、私個人としては、ともかくあの人が回復してくれればな、それが一番気がかり。もしまた、同じようなことが起きれば、やっぱり飛び込んでしまうでしょうから。せめて応急処置の勉強ぐらい、もう少しまじめにやっとこうかな、そう思うのです。

昔からの友人から「なんでお前さんはいろんな目にあいまくるんだ?」と聞かれましたが。たぶん、理由は「自分から飛び込んじゃうから」です。

今回の件もそう。見て見ぬふりなら、何もない。遅刻もしないし、平穏な一日だったでしょう。でも、そこで飛び込んじゃうのが、私らしさなのかな、とも思うので。やっぱり今後もいろいろあるんじゃないかな。あんまりいい思いはしたことないですけど、損ばっかりでも。まぁ、何もしないよりはして後悔することにしてますし。また同じような状況になったら、やっぱり飛び込んで何かしようとするでしょうね(^^;

執筆: この記事はみやびさんのブログ『Amazonの悪魔』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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