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【ドラニュース】


落合監督「もっとギラギラしろ」

2010年4月28日 紙面から

中日−巨人 1回表に3点を失い、ベンチで舌を出す朝倉=ナゴヤドームで(小嶋明彦撮影)

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 巨人の背中が遠ざかっていく。27日、中日が今季初めて、本拠地ナゴヤドームに宿敵を迎えての対決は、先発の朝倉健太投手(28)が5回までに7点を失いKO、打線も沈黙して完敗した。これで巨人は貯金10、中日はわずか1で、ゲーム差は4・5。まだシーズン序盤とはいえ、これ以上離されるわけにはいかない。残る2試合、勝つしかない。

 宿敵に完敗。いいところなく、やられた。この日ばかりは落合監督のカミナリが落ちても仕方がない。そんな惨敗。なのに、指揮官にはうっすらと笑みがあった。

 「もう少しギラギラしたものがあってもいいけどな。勝ってる、負けてる、じゃなく」

 負けたのだから、物足りなさはもちろんある。といって、舌鋒(ぜっぽう)鋭く敗因を突くこともない。歯がゆさより、冷静さが強く漂った。

 「まだ30試合もいっていない。(チーム状態は)ずっと底を走ってきて、それでここにいる。まあ、そのうち良くなるだろうけど、それがいつになるかは分からない」

 強がるワケでもなく淡々と、シンプルに現状を説明していった。

 「普通なら借金10くらいはいっていても不思議じゃない。それでもこういう戦いをやっている。それなりに力があるということ」

 貯金は「1」となった。きょう28日も連敗すれば、4月2日から抱えてきた貯金が消滅してしまう。そんな一面は危機感にはならない。もっと目を凝らし、見てきたのがチームの素顔。勝敗に左右されない現状だ。

 ここまでの28試合の総得点は「111」。総失点は「125」。そこで生まれるチームの“マイナス”は「14」にもなる。単純計算すれば、大きく負け越してもおかしくない。なのに現実は貯金「1」。要領良く、うまく星を拾っていることの表れだ。

 今年の“大人”の戦いぶりを指揮官は「それなりに力がある」と、評価する。だからこそ残念だったのが朝倉だ。

 「良けりゃ勝てる、悪けりゃ勝てない、では何ともならない。悪いときにどうやって抑えるかだ。もう何年やってる? 10年たってるんだから」

 すでにこの世界で10年間を過ごしたのが朝倉だ。表も裏も知っている。だからこそ、調子が悪くても何とかしてほしかった。救いのないKO降板ではなく、それなりの姿を見たかった。

 期待するからこそ、だ。落合監督はまだ誰のことも「エース」と認めていない。ハードルは高いが、無理な設定ではない。道中にいる男がいる。ゴールまで行ける可能性はある。その1人が朝倉ということだろう。

 「そういう称号を持って辞めるのか、みんなにつくり上げられたものの中で辞めるのか。やるのは選手だ。どういうかたちで受け止めているのかは分からないけど」

 一般論を中心に語りながらも、就任から求め続けているのが真の「エース」の台頭だ。川上(現ブレーブス)ですら、落合監督は「エースとは思っていない」という。

 ちやほやされ、持ち上げられて手にするものではない。「勝ち取らなきゃいけない。誰も助けてはくれない」。周りが何と言おうと揺るがない。朝倉に限らず、一人前の集合体になってほしい。指揮官の目はずっと先を見ている。ゴールはまだ遠い。この黒星を糧(かて)にする。 (生駒泰大)

 

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