岡田監督後任にブッフバルト氏急浮上！

２００６年１２月、優勝を決めた試合で勇退した浦和・ブッフバルト監督

　南アフリカＷ杯（６月１１日～７月１１日）終了後の次期日本代表監督として、元浦和監督のギド・ブッフバルト氏（４９）＝ドイツ＝が急浮上していることが２７日、分かった。現役時代には西ドイツ代表ＤＦとして１９９０年イタリアＷ杯優勝に貢献。指導者としては０６年に浦和を初のリーグ優勝に導いた。ブッフバルト氏はこの日、「日本代表監督に興味がある」と明言。今週中にドイツで日本サッカー協会の犬飼基昭会長（６７）と直接会談を持つ。

　日本代表の岡田武史監督（５３）の後任に、熱きゲルマン魂が急浮上した。複数の関係者によると、日本サッカー協会サイドが次期監督の有力候補としてブッフバルト氏をリストアップしていることが分かった。同氏もこの日、ドイツ南部シュツットガルト郊外で取材に応じ「日本代表監督という仕事に興味はある。具体的な話はないが、（日本協会会長の）犬飼さんとは頻繁にコンタクトはとっている」と明かした。

　２０１８、２２年Ｗ杯日本招致委員長を兼任する犬飼会長は、招致活動のため、この日までブラジルに滞在。２８日にフランスへ移動し、３０日にドイツへ入る。ブッフバルト氏によると、今週中、遅くとも週明けにドイツ国内で昨年９月以来となる直接会談を持つ。日本代表監督就任がテーマとなる可能性は大きい。

　代表監督人事の最大のキーマンである犬飼会長とブッフバルト氏は絶大な信頼関係で結ばれている。犬飼会長が浦和社長を務めていた０４年、現役時代の９４～９７年に浦和で活躍した世界的ＤＦに監督就任を直接要請した。

　ブッフバルト氏は、それまで監督経験がなかったが、カリスマ性を武器に攻撃サッカーと勝者のメンタリティーを注入。かつてリーグ屈指の弱小クラブを常勝軍団にまで押し上げた。０６年シーズン後、家庭の事情で退任するまでリーグ初優勝や天皇杯連覇などタイトルを浦和にもたらした。

　日本代表ＤＦ田中マルクス闘莉王（２９）＝名古屋＝、同ＭＦ長谷部誠（２６）＝ヴォルフスブルク＝らを育てたブッフバルト氏の日本への愛情は深い。すでに０８年９月に浦和のアジア・チャンピオンズリーグ（ＡＣＬ）クウェート遠征をアドバイザーとして視察した際に「日本代表監督候補に自分の名前が挙がるというのは名誉なこと」と語っていた。なでしこジャパンＭＦ安藤梢（２７）のドイツ女子リーグ・デュイスブルク移籍の橋渡し役になるなど、現在も陰ながら日本サッカー界の強化に貢献している。

　現役時代の１９９０年イタリアＷ杯決勝戦ではアルゼンチン代表の天才マラドーナ（現監督）を完封し、西ドイツに３度目の優勝をもたらした。このドイツの偉人が、南アフリカＷ杯の結果次第では没落危機の日本サッカー界を救う切り札になるかもしれない。

　◆ギド・ブッフバルト　１９６１年１月２４日、ドイツ・ベルリン出身。４９歳。８３年、ＤＦとしてシュツットガルトでデビュー。９３―９４年シーズンまで同クラブ一筋に過ごし、リーグ優勝２回。８４年、西ドイツで代表デビュー。９０年のイタリアＷ杯優勝に貢献するなど代表国際Ａマッチ出場７６試合で４得点。９４年からは４年間、浦和に所属して１２７試合に出場した。その後ドイツ２部カールスルーエで２シーズンを過ごし、９９年限りで引退。２００４年から浦和監督を務め、同年第２ステージ優勝、０６年優勝。０５、０６年度には天皇杯を制した。０７年６月から１１月までドイツ２部アーヘンで指揮を執った。

　◆２０１４年Ｗ杯ブラジル大会　１９５０年大会以来、６４年ぶりに当地で開催。６月１３日開幕、７月１３日の決勝戦まで１か月にわたって開催される。ブラジリア、リオデジャネイロ、サンパウロ、ベロオリゾンテ、クイアバ、クリチバ、フォルタレザ、マナウス、ナタール、ポルトアレグレ、レシフェ、サルバドルの１２都市で行われる。

　◆日本とドイツサッカー　１９６０年、東京五輪へ向けての代表強化の指導者として、デットマール・クラマー氏を招へい。６４年の大会後に帰国するが、その４年後の６８年、教え子の長沼監督、釜本、杉山らがメキシコ五輪で銅メダルを獲得。「日本サッカー育ての父」と言われる。９２年には、古河電工のコーチだった岡田現日本代表監督が、指導者留学で渡独。Ｊリーグ創設にあたっては、川淵チェアマン（当時）が、３０年前に見て感銘したというスポーツシューレ（サッカークラブが中心となった総合スポーツセンター）を理想に掲げた。