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ドイツ 育成システムに活路

2010年4月24日11時18分

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写真:キルベルクのセンターで練習する子ども。コーチから「インサイドを使って」と声をかけられる=ドイツ・キルベルク、小田写すキルベルクのセンターで練習する子ども。コーチから「インサイドを使って」と声をかけられる=ドイツ・キルベルク、小田写す

 W杯で過去3度(いずれも西ドイツ時代)の優勝を誇りながら、1990年を最後に頂点から遠ざかっているドイツがここ数年、育成に力を入れ、成果を上げている。年代別の欧州選手権では21歳以下と17歳以下で09年に優勝し、19歳以下も08年に制覇した。ドイツ協会とリーグ(ブンデスリーガ)の取り組みを見てきた。

 ドイツ金融の中心、フランクフルトから北に約40キロのキルベルク。民家もまばらな小さな町のグラウンドに夕方5時前になると、11、12歳の約30人が集まってきた。「アマチュアクラブのユース年代の大会で、スカウトしてきた選手です」と協会の育成コーディネーター、ストラック氏。

 協会は02年から、能力がありながらプロクラブの下部組織のスカウト網に引っかからなかった子どもを育成するシステムを始めた。きっかけは98年W杯で準々決勝敗退、00年欧州選手権は予選リーグで敗退したことにある。

 育成システムは国内約360カ所の「センター」が拠点。年間予算を2千万ユーロ(約24億8千万円)も投じているのは協会が育成を重視する表れだ。施設は既存のものを使い、協会の担当者が地域の大会をくまなく回り、11〜14歳までの子どもをスカウトする。練習は週1回、各センターで定められたプログラムで指導する。コーチのほとんどは別の職業を持つ人たちだ。センターにはプロのスカウトが訪れ、有望選手を引き抜く。

 キルベルクでは約60人が所属。グラウンドは人工芝だ。協会は管理の難しい天然芝から、人工芝への変更を促している。

 「代表の若い選手たちはこのシステムを通過してきた」と協会のユース部門トップのバルッタ氏。3月3日のアルゼンチン戦で代表デビューした20歳のクロース(レーバークーゼン)はこのシステムから育った選手だという。アルゼンチン戦にはクロース以外にもエジル(ブレーメン)ら、21歳以下の選手が4人招集された。若手への取り組みが結果として表れてきている。

 協会とは別に、ブンデスリーガでも独自の取り組みが行われている。それはプロクラブの下部組織の格付け。ホテルやレストランのように星をつけて表す。最高で星三つ。最低は星ゼロとなる。施設やコーチの質、どれだけの選手が下部組織からトップチームに昇格できたかなど、約350項目が調査対象になる。

 星の数に応じて、補助金が渡される仕組みだ。原資は欧州サッカー連盟から分配されるテレビ放映権料で、年間約400万ユーロ(約4億9600万円)。三つ星クラブには25万ユーロ(約3100万円)を渡す。この金額で、下部組織運営費の4分の1を補える。

 「星の数は選手獲得の利点となる。星を得るために競争が生まれる」とリーグでこのシステムを担当するヘロニムス氏は言う。07年に最初の格付けを行い、1、2部の36クラブ中8クラブが三つ星だった。(小田邦彦)

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