【社説】軍は「天安」事故で臨戦体制の覚悟を見せたか(下)
安全保障では、一度の失敗は国家を取り返しの付かない災難へと追い込む。国家安全保障のこうした不可逆性があるため、米軍のマッカーサー将軍はかつて、戦闘に敗北した部隊は許されても、警戒に失敗した部隊は許されないと述べている。果たして韓国軍の指揮系統が昨年の西海(黄海)での軍事衝突以降、報復を公言してきた北朝鮮の不審な動きに万全の警戒を維持してきたか、検証する必要がある。国防は、数十年に一度の突発事態にも機械的に迅速かつ機敏な対応を取ることが肝要だ。そのためにはあらゆる形態やレベルの軍事挑発もすべて想定し、軍と安全保障にかかわる者が緊張を持続しつつ、絶えず反復訓練を行い、敵にいかなるすきも見せないことが求められる。
特定部隊の失敗経験を軍全体が共有し、失敗が繰り返されないように対策と知恵を絞り、訓練を繰り返す軍隊は強くなる。これに対し、引責を恐れ、個別部隊の失敗経験を隠す軍は、弱点が拡大し、やがて大失敗を犯すというのが、洋の東西を問わない】教訓だ。太平洋戦争で米軍はガダルカナル島での序盤戦で海兵部隊が犯した失敗を軍全体が検討課題とし、新たな戦闘方式を開発した。それが奏功し、戦争が中盤を迎えると、個別部隊から大部隊に至るまで戦略で日本軍を圧倒した。ところが、日本軍は一線部隊の失敗を隠し、上部には偽装報告を続け、欠点を補完する契機を逃し、連戦連敗の窮地に追い込まれた。
監査とは本来、責任追及と弱点の補完を目標とする。しかし、今回の監査は軍の欠点を補完することが主体で、責任追及は二の次だ。今は「天安」爆沈の原因究明段階であり、遠からず韓国と韓国軍がそれを土台に対応策を立て、実行する時がやって来る。準戦時状態ともいえる現状では、監査自体が異例だ。従って、監査は迅速で慎重であることが求められ、国民の疑問に答える一方で、軍事機密の流出には特に留意しなければならない。
監査のスピードアップを図るためには、責任が明白な者に対する局所的な人事刷新を行うことも一つの方法だ。軍の機密保持を図るため、軍元老にアドバイスを求めることも考えられる。改めて強調するが、国民は韓国軍が今回の事態を契機として、より強い軍隊、軍律が厳しい国民の軍隊として飛躍することを信じ、期待を寄せている。軍は国民のそうした期待に応える責任がある。
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