【コラム】竜山区の豪華庁舎、できるものなら没収を(下)

 しかし、こうした説明にも、住民の怒りは全く収まらない。地方自治体の公務員は新庁舎を建設するたびに、「住民の自尊心を込め、地元のシンボルとして建てた」と話す。また、「すばらしい庁舎は住民全員のもの」とも主張する。

 だが、果たして住民もそのように考えているだろうか。住民は庁舎を「自分たちのもの」とは考えていない。「自分たちが汗水流して働き、支払った血税で、公務員が働く場所が便利で豪華になった」としか思っていない。住民のこうした考えを推し量ることができない公務員の頭の中には、今も「公務員は住民・国民の上に立つ主人」という古い意識が潜在しているようだ。竜山区の豪華庁舎に対し、昨年から多くの批判の声が寄せられたのにもかかわらず、何の変更もなく完工したのを見ると、「おまえらがいくら騒いでも、わが道を行く」という公務員の固執した考え方が垣間見える。

 竜山区新庁舎は、大統領・首相・長官らが世宗路の政府中央庁舎と政府果川庁舎を行き来し、交通量が多いことで知られる道路のそばに建つ。識者や多くのソウル市民がほぼ毎日目にする場所に建てられたという点で、郊外の城南市新庁舎や竜仁市新庁舎(共に京畿道)とは少し事情が違う。どんな形であれ、何らかの変化が起こらない限り、この建物は「ソウル市民の怒りの根源」であり続けると同時に、「全公務員が大勢の市民から声高にののしられる頭痛の種」にならざるを得ない。

 昨年末、李明博(イ・ミョンバク)大統領は、「地方自治体の新庁舎を改修してでもエネルギー効率を高めよ」と指示したが、ほぼ4カ月たった今も、竜山区新庁舎には何の変化も起こってない。法律的に可能ならば、「この建物を見せしめに没収し、100%住民のための空間に作り替え、中で働く公務員たちを追い出すことができたら」と思う。公務員たちが外のテントで働き、それを全国民が目にすれば、韓国で今後、永久に豪華庁舎が建つことはないだろう。

パク・ジュンヒョン社会部次長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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