【社説】韓中首脳会談を見守る韓国国民

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は30日、上海で中国の胡錦濤国家主席と首脳会談を行う。

 韓中首脳会談の日程が発表される前日の24日、韓国軍は哨戒艦「天安」の船首を海面に引き揚げ、京畿道平沢の第2艦隊司令部に移送した。船尾は今月15日にすでに引き揚げられている。事故調査団は25日、船首を肉眼で分析した結果、水中で魚雷や機雷などの爆発物が船体と接触せずに爆発した可能性が高いとの見解を示した。

 西海(黄海)は韓国、北朝鮮、中国の船舶が行き交う海だが、事故が発生した海域を往来するのは韓国と北朝鮮の船しかない。「天安」が魚雷か機雷により爆沈されたとすれば、犯人像が絞られたというよりは、犯人が決定的になったに等しい。事故調査団の任務はそうした判断に加え、さまざまな化学的、機械的証拠による裏付けで、世界が認めざるを得ない結果を発表することだ。

 韓国政府の任務はそこから始まる。まず、29日に予定されている「天安」事故による犠牲者の葬儀を行い、国民一人一人が彼らの犠牲を無駄にしないことを誓うことだ。その上で、韓国の領海で、韓国の艦船を爆破し、多くの韓国軍兵士の命を奪った勢力を、可能な限りの手段を用いて懲らしめなければならない。

 30日に行われる韓中首脳会談は、政府の二つ目の使命と関係がある。中朝関係に精通したファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党書記は最近、「天安の沈没原因調査に中国を参加させ、北朝鮮が仕掛けた犯行の実体を示すことで、中国が北朝鮮を支持または支援しない名分を積み上げるべきだ」と指摘した。「天安」沈没事故の原因究明に対する国際的な客観性を確保し、犯人に実効的な制裁を加えるためには、中国の参加が必要不可欠とされる。

 北朝鮮はエネルギー、食糧など戦略物資の供給と貿易の80%以上を中国に依存している。このため、「天安」沈没の主犯が北朝鮮だという事実が明確になれば、どんな制裁を行うにせよ、中国が同調しなければ実効性を確保できない。国際的な制裁も、国連安全保障理事会の常任理事国である中国が拒否権を行使すれば実現しない。

 中国は「天安」沈没事故について、これまで沈黙を守ってきた。22日に外交部報道官が記者の質問に答える形で初めて事故について言及した際も、「不幸な事故」だと述べるにとどまった。しかし、「天安」沈没事故は中国にとっても無関係の問題ではない。中国の物流の相当量が西海を通過する。それだけでなく、事実上世界2位の経済大国になった中国の国家的利害は、海の安全通航と直結している。今後「天安」沈没事故のような新手の海上テロが世界の海を脅かすことになれば、中国経済は米国とともに大きな被害を受けることになる。

 李大統領は今回の胡主席との会談で、韓中両国に共通する利害について説明するとともに、海の安全通航を確保するため、中国が「天安」沈没事故について、世界をリードする国として、客観的な姿勢を取るように説得すベきだ。5000万人の韓国国民が今回の首脳会談を見守っていると同時に、われわれが心に描く中国像は、今後100年の両国関係を左右することになるだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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