【社説】資金を抱え込む大企業、積極的に投資を

 サムスン電子の今年1-3月期の営業利益が、過去最大の4兆3000億ウォン(約3640億円)に達したという。半導体部門は世界経済の回復やスマートフォン(PDA〈携帯情報端末〉の機能が付いた携帯電話)、3D(3次元)テレビなど新たな情報技術(IT)機器の出現で需要が急増し、2兆ウォン(約1700億円)以上の営業利益をたたき出した。

 現代自動車は同期の純利益が1兆1272億ウォン(約955億円)に達し、四半期ごとの純利益では初めて1兆ウォン(約847億円)を突破した。現代重工業は世界的な造船不況の中でも、8809億ウォン(約747億円)という過去最大の営業利益を出した。LG化学、LGディスプレー、起亜自動車、大韓航空、ハイニックス半導体、サムスン電気なども、同期間に驚くほどの業績を記録している。

 米国、日本、中国の企業もITや金融を中心に業績が大きく改善した。ギリシャなど一部欧州諸国の財政危機という不安要素はあるが、世界経済全体が急速に回復しているのは間違いない。国際通貨基金(IMF)は最近、今年の世界経済の成長率予測を3.9%から4.2%へと上方修正した。

 景気の回復により、今年2月と3月の民間企業就業者は1年前に比べて14万人-19万人も増えた。企業がついに新規採用に乗り出したのだ。しかし、昨年1年間の民間部門での雇用は、26万4000人も減少している。これを回復させるには、さらに多くの雇用を確保しなければならない。失業者は今も100万人を上回っている。

 雇用問題は企業の投資意欲に左右される。単に足りない人員を埋め合わせるだけでなく、積極的な新規投資を行い、新たな雇用を生み出さねばならない。大手企業は昨年、ウォン安効果などにより過去最大の業績を記録したが、景気の先行きが不透明だとして、新規の投資は先送りした。製造業分野の設備投資だけをみると、昨年は15%のも減少を記録した。その一方で、韓国10大グループが確保している現金は、ここ1年間に19%も増加し、昨年末の時点で52兆ウォン(約4兆4100億円)を突破している。

 昨年の時点での韓国企業保有の建物、生産設備、車両などの平均使用年数は7.9年で、2000年の3.9年に比べると4年も長くなった。それに伴い、設備の老朽化率も2000年の35.5%から、昨年は56%へと一気に上昇した。生産設備の使用期間が予想寿命の半分を超えているということだ。そのため、このままでは設備の老朽化により生産性が低下する危険性がある。世界経済は回復基調にあり、手元には資金も豊富にあるため、今や設備を入れ替えるべきだ。企業自らが積極的な意志と行動を示さねばならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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