【コラム】小説『1Q84』と日本の極右(上)

 日本の作家・村上春樹の小説『1Q84』第3巻が、今月16日午前0時に日本で発売された。昨年日本で240万部も売れた『1Q84』第1巻、第2巻は、韓国でも翻訳出版され、直ちに100万部を突破するほど好評だった。「春樹シンドローム」の前に、玄界灘の境界など無意味だ。

 ジョージ・オーウェルの『1984』は、独裁者「ビッグ・ブラザー」の存在を浮き彫りにした。村上春樹の『1Q84』は、ビッグ・ブラザーのように国家を統治する巨大な権力とは異なる影の支配集団「リトル・ピープル」を登場させた。「リトル・ピープルは目に見えない存在よ。それが善きものなのか、悪(あ)しきものなのか、実体があるのかないのかすら、わたしたちは知ることができないけれど。でもそれは明らかにわたしたちの足元をじわじわとむしばんでる」

 リトル・ピープルの正体については、さまざまな解釈があるが、中でもキム・ホンジュン教授(大邱大社会学科)は、日本の国家主義に黙々と服従してきた大衆だと解釈した。

 「日本軍国主義とファシズムの真の主体は誰だったのか。それは、天皇やビッグ・ブラザーではなく、名もなく顔もない無数の日本国民、すなわちリトル・ピープルではなかったか」。日本社会で、集団から自由な個人の存在を探求してきた作家が、日本の大衆の全体主義を批判した、というわけだ。

 村上春樹より前、1950年代に小説『太陽の季節』で日本の新世代文学を代表する作家となったのが、石原慎太郎だ。ペンを捨てて久しい石原は、現在東京都知事を務めるとともに、「日本極右派の妄言メーカー」として活躍している。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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