偽ブランド品製造現場の実態とは(下)

 A容疑者はこの1年間、「偽ブランド品工場」の工場長を務め、毎日数十個の偽ブランド品を作ってきた。警察がルイ・ヴィトンの関係者らを呼んで確認したところ、A容疑者が作った偽物は、「特A級とまではいかないものの、比較的品質が良く、A級に相当する」と評したという。

 「特A級」の偽ブランド品は、専門家でも真贋(しんがん)を見分けることが困難だが、「A級」の場合は、一般人には見分けがつかない程度だ。O容疑者らは、偽ブランド品を本物の価格の10%程度で秘密の販売業者に卸していた。

 本物が60万ウォン(約5万1000円)相当のルイ・ヴィトンの財布は、5万-6万ウォン(約4200-5100円)で卸していた。O容疑者らが偽造したブランド品の中には、本物の価格が1600万ウォン(約135万円)になるエルメスのハンドバッグもあったが、その材料費だけで7万-8万ウォン(約5900-6800円)かかるという。O容疑者らが偽ブランド品を卸した秘密の販売業者は、国際市場の近くにあった。

 主なターゲットは日本人の団体客だ。日本人観光客は、偽物だと知りながらも売り場を訪れるという。警察の関係者は、「O容疑者らが偽造した製品の評価が高いため、日本からも大量の注文が舞い込むほどだ」と語った。

 O容疑者らはまた、品不足に備えるため、中国製の偽ブランド品を大量に密輸していたことも分かった。中国製の偽ブランド品を、韓国製に見せかけようとしたのだ。中国の業者が、彼らの下請け業者になっていたというわけだ。

 O容疑者は、偽ブランド品の製造については認めたが、収入がいくらかについては口をつぐんだ。警察は、「品物を押収した当時、作業場の床に散らばっていた生地を取り払ったところ、1億ウォン(約847万円)相当の札束が出てきた。これだけの金を稼ぎながら、あのような場所に保管していたのが信じられない」と話した。

 警察は、国際市場の周辺で偽ブランド品が急に増えたとの情報を入手し、捜査に乗り出した。10日余りにわたって張り込みを続けた後、品物の供給の責任者を追跡し、住宅街の中にある秘密の作業場を摘発、主犯のO容疑者と技術者のA容疑者を逮捕するとともに、販売業者ら4人を書類送検した。

姜訓(カン・フン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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