偽ブランド品製造現場の実態とは(上)

 海外の有名ブランドの商標を無断で使用し、約5万点の偽ブランド品を製造・販売していたグループが摘発され、警察が商品を押収した。この事件は、同種の商標法違反事件としては韓国で最大規模となった(連合ニュース4月13日付)。

 今月7日午後2時10分、釜山市東区水晶洞の閑静な住宅街。釜山地方警察庁外事捜査隊の捜査員6人が、3階建ての建物を急襲した。1階と地下1階にある計30坪(約99平方メートル)余りの作業場では、従業員6人が一生懸命に何かを作っていた。

 それはルイ・ヴィトンの財布のコピー品だった。一人は、革の表面にルイ・ヴィトンのマークが刻まれた銅板を取り付けていた。中央のテーブルには、数百個の完成品が山積みにされていた。

 この建物に隣接した小さな倉庫のドアを開けると、驚くべき光景が広がっていた。シャネル、エルメス、グッチなど有名ブランドのハンドバッグや財布が入ったビニール袋が、10坪(約33平方メートル)ほどの狭い空間を埋め尽くしていた。有名ブランドのコピー品はあちこちで見つかった。ここから2キロ離れた住宅街の倉庫2カ所からも、有名ブランドの商標を付けたハンドバッグや財布が次々と見つかった。これらの製品のうち、本物は一つもなかった。警察がこの日押収した偽ブランド品は、計5万840点に上った。

 ルイ・ヴィトンの財布8600個とハンドバッグ6000個、エルメスの財布2000個、シャネルの財布1000個とハンドバッグ400個など、押収された偽ブランド品の量は5トントラック2台分に達した。これほど大量の偽ブランド品が押収されたのは初めてだ。これをすべて本物だと仮定すれば、金額は550億ウォン(約46億5500万円)に上るという。

 偽ブランド品の製造・販売総責任者のO容疑者(44)と、技術責任者のA容疑者(43)が秘密の作業場を設けたのは、昨年8月のことだった。O容疑者は約10年前から、釜山市一帯で偽ブランド品を扱ってきた常習犯で、商標法違反罪の前科3犯だった。

 また、A容疑者は偽ブランド品製造の「達人」として知られていた。18歳のときから、ソウルの東大門・南大門・九老など、革製品や生地を扱う市場を渡り歩いてきたという。警察の調べに対し、A容疑者は「自分の実力は、ルイ・ヴィトン本社の技術者やデザイナーに比べても引けを取らないほどだ」と主張した。

釜山市内の秘密の倉庫では、完成した偽ブランド品が袋に入れられ、所狭しと並べられていた。/写真提供=釜山地方警察庁

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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