消えた「追い越し車線」(上)

深夜はバスやトラックが追い越し車線を「占領」

先月21日午前、京釜高速道路の懐徳ジャンクション付近で追い越し車線を走行する車。/写真=シン・ヒョンジョン記者
 先月21日午前11時ごろ、京釜高速道路の下り・懐徳ジャンクション付近の第1車線ではバスや乗用車が連なって走行していた。しかも走行する車両の半分以上が第1車線を走行していた。休日は、バス専用レーン制によって漢南大橋の南側から新灘津インターチェンジまでの第1車線はバスのみが利用可能で、それ以外はすべての車両が追い越す時のみ利用できる。新灘津インターチェンジ付近に設置された「専用レーン終点」の案内表示板には、「第1車線は追い越し専用車線、第2車線は乗用車、バス、第3車線は大型貨物自動車」と表示されているが、このルールを守っている車はほとんどなかった。さらにそれを取り締まる警察も見当たらなかった。

 一部の乗用車は第1・2車線を並んで走る高速バスに進路を妨害されたため、右側の追い越し車線に車線変更し追い越そうとした。こうした事故寸前の危険な状況が何度か目撃された。指定の第3車線を走行する大型貨物自動車とタンクローリーが、パッシングして警笛を鳴らすと慌てて第2車線に戻る乗用車もあった。

 錦江サービスエリアで会った観光バス運転手のイさん(46)は、「専用レーンが終わると第1車線が追い越し車線になるのは分かっているが、到着時間を守るためには仕方がない」と話した。イさんはまた、「第2車線を走行し、追い越すたび車線変更するよりも第1車線を走った方がむしろ安全」とも語った。

 第1車線が追い越し車線で、車種別に指定車線の制度が施行されている状況を熟知していないドライバーや制度を誤って認知しているドライバーも少なくない。普段から、よく高速道路を利用するというチェさん(38)は、「主に第1車線を走っているがこれまでに取り締まりを受けたことは一度もない。数年前に指定車線の制度が廃止されたはずでは?」と反問した。

 深夜の時間帯の第1車線は追い越し車線ではなく大型車の専用レーンといっても過言ではなかった。先月19日の夜、ソウルを出発したD社の深夜高速バスは、京釜-栄洞-中部内陸高速道路を経て釜山に到着するまで、第2車線を4-5回走行したのを除き、ずっと第1車線を走行していた。第1車線を走行する4-5トンの宅配トラックは、前方を走行する乗用車にパッシングして車線変更させ、その後ずっと第1車線を走行した。

 現行の道路交通法では高速道路の場合、左端の車線を追い越し車線として規定し、最高制限速度を考慮し車種別に走行車線を指定している。例えば、片側4車線の高速道路の場合、追い越し車線の第1車線は、追い越す場合を除いては走行してはならない。第2車線は、乗用車と小型・中型ワゴン車、1.5トン以下の貨物自動車が走行可能だ。第3車線は、大型自動車と1.5トンを超える貨物自動車、第4車線は特殊自動車と建設機械の走行車線に指定している。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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