釜山で今、「野球熱」生かしたマーケティングが盛ん(下)

 これは、ロッテの選手たちの成績によって組まれる基金で、ロッテの本拠地で試合が行われる度に、また、チョ・ジョンフン投手が1勝を挙げれば50万ウォン(約4万2000円)、李大浩選手が本塁打を打てば20万ウォン(約1万6800円)、ホン・ソンフン選手が二塁打を放てば20万ウォンがそれぞれ積み立てられる。釜山銀行は同日、1000人の役員が試合を観戦し、熱い歓声を送った。

 このほか、今月28日にオープンする「未来2貯蓄銀行釜山支店」は、「わたしたちは、釜山の野球チームを応援する心で、企業を応援します」というキャッチフレーズを掲げている。

 こうした「野球人気」の活用は、何も企業や飲食店に限ったことではない。今年6月2日に統一地方選挙という大型イベントを控えている選挙管理委員会もその一つだ。今年の地方選挙は、一人当たり8票も投票しなければならない複雑な選挙となるだけに、投票率を少しでも高めるため、「野球ブーム」に便乗しようというわけだ。釜山市選管委は今年1月中旬、「スポーツ広報団(コンミョンイ野球団:「公平で透明な」にちなんだネーミング)」を立ち上げた。

 これについて、釜山市選管委のパク・ヨンヒョン広報課長は「釜山で野球は、映画『アバター』やドラマ『アイリス』と同じくらい大きな影響力がある」とした上で、「釜山市民を虜にしている野球を通じて選挙にも関心を持ってもらい、投票に参加してもらうことが一番の目的」と話した。「コンミョンイ野球団」は創設後、これまで地域の野球同好会と10回対戦し、6月2日の地方選挙への参加を呼び掛けた。

 しかし、これは「ウォーミングアップ」にすぎない。野球ブームがさらにヒートアップする5月半ばには、社稷野球場で「投票参加、公平で透明な選挙」をスローガンに大々的な広報活動に乗り出す計画だ。釜山市選管委のチョ・ビョンヒョン委員長が5月21日、ロッテ・ジャイアンツの試合で始球式に参加するのを皮切りに、ロッテの本拠地での5試合に「コンミョンイ野球団」が応援団として駆け付け、市民との応援を通じて「投票率アップ」を図る。

 また、釜山市選管委側は「釜山の公職選挙の歴代投票率は、野球に例えるならば9回裏2死満塁で負けている状況で、全国でも最低水準にとどまっている。今回、コンミョンイ野球団が“野球マーケティング”を通じて逆転満塁ホームランを放ち、こうした状況を一掃することで、全国でも最高の投票率を誇れる地域になることを目指す」と話した。

釜山市選管委が今年1月19日、6・2地方選挙の広報活動に向け「コンミョンイ野球団」を創設した。

朴柱栄(パク・ジュヨン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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