Image1.gif (48355 バイト)  北朝鮮の人道支援を考えるつどい

   −北朝鮮・子どもたちの絵画展−

                     開催日時:1999年10月30、31日

 

京都集会の報告

さる10月30日・31日、京都市において、北朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパン(略称:ハンクネット・ジャパン)と京都集会実行委員会の主催による「北朝鮮の人道支援を考えるつどい」の集会を開催しました。

主催者として、北朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパンの竹本昇代表と京都集会実行委員長の殿平真(とのひら・まこと)さんから、なぜ人道支援に取り組むのかという問題提起と人道支援の必要性を訴えるあいさつがなされました。

その後、第一日目は、京都学生研修会館において、朝鮮戦争史に造詣の深い翻訳家の米津篤八(よねづ・とくや)さんを埼玉県からお招きし、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国情を正しく知るため、「朝鮮戦争の背景への新たな視点―冷戦思考を越えて」と題する講演をしていただきました。

第二日目は、京都府中小企業会館に会場を移し、広島で幅広い日本人市民に支えられて北朝鮮人道支援の活動に取り組まれている在日朝鮮人被爆者連絡協議会会長の李実根(り・しるぐん)さんをお招きして、「北朝鮮人道支援の実践活動から」と題する講演をしていただきました。

また、両日にわたって、今回の京都集会を後援していただいた在日韓国民主人権協議会の協力を得て、北朝鮮の子どもたちが描いた絵画や、食糧不足から栄養失調の状況にある子どもたちの写真をたくさん展示しました。参加者はそれらの絵画や写真を熱心に見入っていました。

両日をつうじて50数名の参加者がであり、活発な意見交換もあって、集会は成功裡に終わりました。

なお、両日とも、私たちの会の会員で、東京在住の文筆家・人材育成コンサルタントの辛淑玉(しん・すご)さんから会場へ届けられた連帯のメッセージを事務局メンバーが朗読しました。

 


<辛淑玉さんから、集会へ届けられたメッセージ>



あきらめや、見放しや、満足からは何もうまれない。

最後まであがく…。

どんな困難事でも、その小さなうごめきから世界が変わる。

私は、世の中のすべてを敵に回しても、国家を越え、国境を越え、

「命が大切」といえる友をもてたことを、誇りに思います。

人道支援…、人類が向かうべき道筋がそこにはあると確信しています。

 
北朝鮮人道支援ジャパン 辛淑玉

 

京都集会に参加された方々の声

<京都集会の様子>

 

k-s01.JPG (7077 バイト) 主催者としてあいさつする北朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパン代表竹本昇

「人道支援は、北朝鮮の体制が問われているのではない。日本のあり方、つまり子どもの死を前にして、私たち一人一人が人間としてどう生きるのかが問われている問題である」と参加者に訴えました。

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主催者として、あいさつする京都集会実行委員長の殿平真


「地球というのは、祖先から与えられたものではない。子孫から預かったものだ」というアフリカの諺を引き合いに出し、「北朝鮮で飢えに苦しんでいる子どもたちは、これからの未来を創り上げていく子孫であり、みすみす失われる命を無駄にさせてしまうことは、未来に対する罪である」という問題提起をしながら、集会参加者への参加のお礼と、協力を求めるあいさつがなされました。

 

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「北朝鮮の人道支援を考えるつどい」で講演する米津篤八さん


現在の朝鮮民主主義人民共和国を理解するには朝鮮戦争と、それに至る歴史と背景をよく知ることが重要だと問題提起され、北朝鮮が何を考えているのかよく解らないという印象を少しでも払拭することを講演の目的としたいと語られました。例えば、94年7月に金日成氏が死去したとき、マスコミで報道されたことは、北朝鮮が戦争を始めるとか、南進するとか、あるいは崩壊するとか、自滅するとか、内乱に向かう、金正日氏が自滅する、などなど、無責任な混乱イメージばかりだったが、そういった予測はどれも当たらなかった。

こうした予測のどこが間違っていたかといえば、この日本の現状をまるごと肯定して日本社会というレンズを通してのみ北朝鮮を観てしまうことに認識の歪みが生じる。相手のことを本当に理解するなら、自分たちのあり方を絶対視して相手を見下し、決めつけるのではなく、相手がいったいどんな経験をしてきたのか、そしてその経験を通して、どのような考え方に立っているのか、そういうことを内在的に理解していく努力が必要だと述べられ、朝鮮戦争について、年表や当時の新聞記事を資料に、私たちに解りやすく講演してくれました。

 

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「北朝鮮人道支援の実践報告から」と題して、広島での取り組みを講演された李実根さん


「いろいろ異なる考えもあり、私なりの考えを述べさせていただきく」と
前置きされながら、北朝鮮の体制を支持してくれというのではなく、飢えに直面している子どもたちを人道的な立場で支援していこうという考えは、主催者と同じだと連帯のあいさつをされたあと、李実根さんが、京都と非常に縁が深いことを披露。日本列島と朝鮮半島の関係、とくに朝鮮三国時代の「高句麗」「百済」「新羅」の文化が日本各地に地名や史跡の名称として、その足跡を残していることを説明されました。こうした朝鮮と日本の二千年に及ぶ友好の歴史が近代の植民地政策によって打ち砕かれたまま、日本は何の謝罪もせず、敵対関係を維持していることを改めて解説。それに、昨年の「テポドン発射実験」に対して、

日本ではものすごい「脅威」と宣伝されて、北朝鮮を敵視する風潮が高まったが、核兵器を積んだ沖縄のミサイルが常時、北朝鮮に向けられている事実を知れば、これまで、だれが、だれによってつねに脅威を受け続けてきたのかが明らかになるのではないかと主張され、「テポドン」に対する日本のかたよった認識を指摘しながら、むしろ友好関係を築くことの重要性を訴えられました。そして、食糧支援の広島での活動について、10名の事務局スタッフが毎月集まり、学習会を開き、僧侶やマスコミ関係者、教員など多彩なメンバーで支援の取り組みがなさ
れていることを披露され、最後に、共に、この活動を推し進めていきましょうと、力強く連帯の呼びかけをしていただきました。

 

k-s05.JPG (8900 バイト) 活発な意見交換をする参加者と、会場に展示された北朝鮮の子どもたちが描いた絵画と栄養失調にある子どもたちの状況を映し出す写真

 

HANKnet−Japan