西岡に新たな勲章！ＪＢＣ特製トロフィー…Ｖ４戦で贈呈

挑戦者のバンゴヤン（右）とファイティングポーズをとる西岡利晃

　◆報知新聞社後援　ワールドプレミアムボクシング　ダブル世界戦　▽ＷＢＣ世界スーパーバンタム級　西岡利光─バルウェグ・バンゴヤン（３０日、東京・日本武道館）　王者・西岡利晃が新たな勲章を授かり、Ｖ４戦へ弾みを付ける。昨年５月のメキシコでのＶ２戦で、日本人選手として２４年ぶりの海外防衛に成功した功績をたたえ、日本ボクシングコミッション（ＪＢＣ）から特製トロフィーが贈呈されることが２７日、分かった。トロフィーは東京芸術大の宮田亮平学長（６４）が制作。防衛戦のリング上で手渡される。この日はダブル世界戦の予備検診が都内で行われ、好調な状態をアピールした。

　西岡は充実の表情だった。予備検診の会場で初対面した１０歳下の挑戦者・バンゴヤンの印象を「思ったより体は小さい」と語った。検診で挑戦者よりリーチが５センチ長いことが判明し「（リーチ差を）有効に使って戦いたい」と意気込んだ。

　さらに奮起しそうな朗報が届いた。昨年５月のＶ２戦、敵地メキシコでジョニー・ゴンザレスに打ち勝った快挙をたたえ、ＪＢＣから「コミッショナー特別功労賞」の記念品でトロフィーが贈られることが決定した。

　制作したのは国内の芸術系大学の最高峰、東京芸術大の宮田学長。金属工芸の分野で評価が高く、また、故郷の新潟近海に生息するイルカを題材とした作品を好む。トロフィーは高さ６５センチのアルミ合金製で、モチーフの２頭のイルカが先端に金ぱくであしらったグラブを付け、天に飛び上がる姿を表現した。

　宮田学長は「最近にない傑作。西岡選手の強さとボクシングの美しさがイルカとかぶる」と独特の言い回しで制作意図を明かした。Ｖ２戦直後にＪＢＣの林有厚コミッショナー（８０）が友人で同大前学長の画家、故・平山郁夫氏を頼り、同学長が制作を快諾した。

　スケッチは何度も描き直したが、昨年１０月のＶ３戦を観戦し「西岡選手の試合はもの作りと一緒。１つの作品で周囲の愛に支えられていると感じた」とイメージが固まった。

ＪＢＣが西岡に贈呈するトロフィー

　構想、制作１１か月の力作は２７日に、同大を訪れたＪＢＣの安河内剛事務局長に引き渡された。試合前に贈呈される見通しだが、ＪＢＣでは初のケースという。宮田学長は今回も観戦予定だ。

　３日後に迫った本番へ王者は「現状のコンディションは最高潮」と目を見開いた。芸術にもなった数々のＫＯ劇。自らの拳で匠の技を見せる。

　◆モンティエル友好的掛け合い　○…予備検診ではモンティエルと「グッドファイト」と掛け合う友好ムード。昨年９月に日本で会って以来の再会に長谷川は「印象は変わらない。（相手は）リラックスしていますね」と挑発は一切しなかった。５．２センチ身長が下回ったモンティエルは体重について「服を着て５７キロ」と告白。リミットまで約３キロあるが「食事をきちんと取っているんだ。問題ない」と余裕を見せていた。

　◆宮田　亮平（みやた・りょうへい）１９４５年６月８日、新潟県佐渡市生まれ。６４歳。７０年に東京芸術大学美術学部工芸科卒業後、大学にとどまり、９７年に同大教授、０５年に同大学長に就任。金属工芸が専門でイルカを題材とした作品が多い。過去に「二紀展」や「日展」特選などを受賞。今年３月から大相撲の横綱審議委員を務めている。