殺人事件などの時効を廃止することを柱とする法案が27日、国会で可決・成立しました。そして夕方、異例のスピードで施行されました。
「起立多数、よって本案は可決しました」(衆議院本会議)
法案が可決・成立した瞬間、遺族は手を取り合い涙を流しました。時効廃止を訴えるため犯罪被害者の家族が立ち上げた「宙の会」が見守る中、27日、刑法と刑事訴訟法の改正法が成立しました。
改正された法律は、「人を死なせた事件」が対象で、最高刑が死刑の殺人や強盗殺人などについて25年となっている時効を撤廃。また、最高刑が無期懲役以下の罪については、時効までの期間を原則2倍にするものとなっています。また、施行された時点で時効が成立していない、過去の未解決事件についても適用されます。
10年前、東京都世田谷で宮沢みきおさん一家4人が殺害された事件。妻・泰子さんの姉・入江杏さんは・・・。
「率直にうれしい気持ちはあるが、時効撤廃が目標ではなく、早期解決が目標。一刻も早く解決してほしい」(妹を殺害された入江 杏さん)
法律の公布・施行までは1週間程度かかるのが通常です。しかし・・・
「きょう中にでも施行することができますように指示をして、督促させていただいています」(千葉景子法相)
なぜ、改正法の施行を急いだのでしょうか。1995年に岡山県倉敷市で起きた放火殺人事件。住宅は全焼し、焼け跡から夫婦の遺体が見つかりました。事件は28日午前0時に時効を迎える予定でした。このため、改正法を異例の即日施行にしたのです。その結果、この事件の時効は廃止されました。
警視庁の若松捜査一課長は、「時間切れがなくなったからのんびりやるということはない。“逃げ得”を許さないという気持ちで、1人でも多く犯人を捕まえたい」としています。(27日23:13)