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きょうの社説 2010年4月28日
◎小沢氏の起訴相当 「素朴な疑問」にこたえる判断
「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、嫌疑不十分で不起訴処分となった民主党の小沢
一郎幹事長について、検察審査会が「起訴相当」と議決したのは、国民の多くが、小沢幹事長の潔白を信用し難いと考えている証左だろう。不自然な土地購入の実態が明らかになっているのに、なぜ小沢幹事長がおとがめなしで済むのか、国民には分かりにくい。いわば市民感覚としての「素朴な疑問」が政界一の実力者の「政治とカネ」をめぐる事 件の深層に改めてスポットライトを当てた。東京地検特捜部はこの民意を重く受け止め、一度示した結論にこだわることなく、曇りのない目で再捜査に乗り出してほしい。 特捜部は今年2月、小沢幹事長の元秘書で陸山会の事務担当者だった石川知裕衆院議員 ら3人を同法違反罪で起訴する一方、小沢幹事長については不起訴とした。小沢幹事長が虚偽記載を具体的に指示し、了承した証拠が十分にそろわず、起訴しても有罪の立証が難しいと判断したからである。 しかし、これで小沢幹事長周辺の「政治とカネ」にまつわる疑惑が晴れたわけではなく 、不起訴後の世論調査でも「小沢幹事長の説明に納得できない」と答えた国民は87%に達していた。有権者の中から選ばれた11人の審査員が全員一致で示した起訴相当の議決は、公判維持が可能かどうかの特捜部の判断ではなく、公開の場で裁判所の判断を求めたいと考える国民の意思に合致しているといえよう。 とりわけ、▽土地購入の事実を隠ぺいするための執拗(しつよう)な偽装工作▽土地の 登記を翌年にずらした不自然さ▽小沢幹事長の指示なしに隠ぺい工作をする必要性の乏しさ▽「秘書に任せていた」と言えば、責任は問われなくて良いのか、などの指摘は、多くの国民が等しく抱いている疑問でもあろう。 小沢氏は議決が出る前日の会見で「1年間の強制捜査によって、結果として私は潔白を 証明してもらった。検察審査会もそのことを冷静に受け止めて判断いただければいい」と述べた。「不起訴相当」とするよう圧力を掛けたとも受け取れる発言であり、問題がある。権力者特有のおごりを感じる。
◎コマツ「理科教室」 広げたい企業の教育支援
コマツ小松工場の跡地に、理系の知識技能を小中学生に教える体験学習スペースを設け
ることが検討されているという。生徒らの「理科離れ」に歯止めをかけるため、企業と学校が協力して理科の実験教室などを開く試みが全国各地で行われるようになっており、「企業市民」の立場から社会貢献活動として教育支援に力を入れる企業もみられる。そのような取り組みが県内で広がる契機になることを、コマツの「理科教室」に期待したい。理科教育の振興は、科学技術立国を維持、発展させるため国全体で取り組むべき課題で ある。しかし、現実には財政難の影響を免れず、例えば、小学校の理科の授業をサポートする文部科学省の理科支援員等配置事業は昨年、事業仕分けの対象になり、今年度の予算が前年度の半分に減額されるという状況である。 このため、同事業のうち支援員の配置は県内でも継続されることになったが、大学研究 者や企業の技術者が学校に出向いて行う「特別授業」は廃止が決まった。政府や自治体の取り組みが財政の制約を受ける分、企業のCSR(社会的責任)活動に対する期待が一層高まっているといえる。 理科教育に企業の力を生かすことは、産業政策や職業教育政策としても重要であり、経 済産業省は文科省とは別に、企業の専門家らを小学校に派遣する教育支援事業を行っている。理科の学習と実社会のつながりを子どもたちに気づかせ、科学技術に対する興味、関心を引き出す狙いである。 企業が協力する授業の利点について、学校現場では「企業の人に来てもらうと、理科で 学ぶことが身の回りで役立っていることが、教員が言うよりもよく伝わる」と評価する声が聞かれる。コマツ小松工場跡地に設けられる体験学習スペースも、そのような教育効果のある活動が望まれる。 企業が理科教育に協力することは、地域のものづくり産業などを担う将来の人材育成に つながり、協力企業を含めて石川に生産拠点を持つコマツ自身のメリットにもなる地域貢献活動である。
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