JR東京駅のホームで09年3月、女性を突き落として電車に接触させけがをさせたとして殺人未遂罪などに問われた無職、太田周作被告(25)の控訴審判決で、東京高裁は26日、裁判員裁判で懲役9年とした東京地裁判決(09年11月)を支持し、被告側控訴を棄却した。精神鑑定で広汎性発達障害と診断された被告に対し、矢村宏裁判長は「(発達障害でも)ノーベル賞を取った人だっている。自信持っていいんだ」と説諭した。
判決は事件の動機を「就職活動がうまくいかず、母親から障害者として就職するよう言われ、プライドが許さないことから人を殺し死刑になろうと考えた」と認定。「物事へのこだわりや思い込みの激しさなど障害の影響があるように思えるが、大きな影響ではない」と完全責任能力を認め「責任能力が低下していた」とした弁護側の主張を退けた。
そのうえで、矢村裁判長は「発達障害は駄目じゃない。障害とうまく付き合う方法を考えて」などと述べた。「ノーベル賞」発言には、発達障害があったとされる物理学者、アインシュタインらが念頭にあったとみられる。【伊藤直孝】
毎日新聞 2010年4月26日 21時14分