東区で04年10月、改修工事中のコンクリート製のり面が崩落し、作業員2人が下敷きになって死亡したのは安全措置を怠ったためとして、遺族らが工事を発注した広島市と建設会社などに計約8000万円の損害賠償を求めた控訴審の判決が23日、広島高裁であった。窪田正彦裁判長は市の責任を認めなかった一審判決を破棄し、市と会社が連帯して遺族らに約7500万円を支払うよう命じた。
判決によると、04年10月、市が発注した東区の老人ホーム東側のり面の改修工事で、壁崩落の安全対策がとられなかったため、崩れてきた壁の下敷きになった当時52歳と53歳の作業員が死亡した。
09年3月の一審判決は、会社側のみ責任を認めたが、窪田裁判長は「工事方法を巡る事前協議で、市の担当者も参加し了承を与えていた。工事の中止を命じるべき注意義務があった」と市の責任を認定した。
秋葉忠利・広島市長は「判決内容を十分に検討した上で対応したい」とコメントを発表した。【中里顕】
毎日新聞 2010年4月24日 地方版