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JPCCN関西の 大阪発アースデイアピール
投稿者:JPCCN関西 神戸事業区 西宮CIT-2さん 2005/04/27 00:06 MLNo.4 [メール表示]
日本二槽式洗濯機学会 代表幹事の井田です。
JPCCN関西の 大阪発アースデイアピールの全文を以下に公開いたします。
(アピール文 ここより)
「便利そうな生活」が、愚民化させているという現実…
これは、あなただけの問題ではありません。
次世代を担うこどもたちに不幸な思いをさせないためにも、真剣に考えてください。
あなたが何気なくしているその生活行為、よく考えてみてください。
では、もしあなたが40年くらい前に同じ年齢で生活していたとすれば、今のあな
たをみてどのように感じるでしょうか。
ちょうどその頃、洗濯機といえば、二槽式洗濯機が登場し始めるころでした。ま
だ粉石けんがよく使われていた頃、これまでは手洗いだった石けん洗濯が、二槽
式洗濯機でできるようになると、これまで愛用してきた石けんの確かな洗浄力が
機械で得られるようになり、家事を助けてくれる機械のほんとうの意味での便利
さというものを実感したものでした。石けんできちんと洗濯をするために、当時
の人々はいろいろと知恵を絞り、確実に家事をこなし、何の不便もなく、快適な
生活を送っていました。このようなときに合成洗剤という一大脅威が身近な生活
環境を汚染するようになると、これまで石けんで豊かな生活を送ってきた市民
は、身近な問題として強い問題意識を抱き、積極的に市民運動に取り組んだもの
です。
全自動洗濯機と合成洗剤が当たり前のように普及している現代、洗濯もボタンひ
とつでできるようになりました。でも、そのことは、生活で知恵を絞り考えると
いうことに対する必要意識から遠ざけ、生活技術を劇的に低下させました。今日
に至っては、正しい洗濯のしかたさえわからない人も珍しくはない、というよ
り、そのような人のほうが多いくらいになっていますから、これは大変なことです。
全自動洗濯機が普及すると、40年くらい前では考えられないような「洗濯の失
敗」が日常茶飯事になっているということです。臭い洗濯物に黒かび汚れ、溶け
残りの洗剤カスまみれの洗濯物など、40年前のあなたであれば、横着の成果に、
きっと苦笑いしているに違いありません。これがほんとうに便利な生活なので
しょうか。
40年くらい前になく、今日の生活をほんとうの意味で豊かにしている技術といえ
ば、多いようで、よく考えてみればそれほど多くないことに気づくでしょう。そ
の数少ないものの一例としては、インターネットをはじめとするIT技術があるで
しょう。インターネットはこれまでは紙と時間を使っていた遠隔地コミュニケー
ションを紙を使うことなくすばやく、かつ積極的に行うことを可能にしました。
これがインターネットのほんとうにすばらしい点の一つであり、市民活動に新し
い翼を与えてくれました。しかし、このインターネットも使いようで、使い方に
よっては、愚民化するためのツールにもなり得るのです。
この他にもあります。殺菌剤入りの薬用石けん、髪の色を思いのままに変える毛
染め剤、不快に感じる害虫を退治する合成殺虫剤、外観を繕った外材合板だらけ
の室内空間など、これらは今日のあなたをどのように豊かにしてくれるでしょう
か。40年前のあなたには、どのように映るでしょうか。
このことはほぼ断言できます。おとなもこどもも、現代人は数十年前の同世代の
人と比べると、「考えて生活する」という感覚を失うことで、生活技術は低下
し、感性も失い、確実に愚民化しています。
生活の進歩、これは他人任せでは決してあり得ません。生活の豊かさ、これは必
ずしもお金や最新技術がもたらすものではありません。市民自らが知恵を絞り、
生活活動を通じて学習することによってこそ、進歩というものがあるのであり、
お金では買えない豊かさも創造できるのです。そして、便利な何かがあれば、そ
れを見かけで判断したり、横着をするために使うのではなく、これがどのように
役立つのかを考えたうえで適切に利用するということが欠かせません。
これからのわたしたちが心得るべきこと、それは、「生活を考える」習慣の復活
です。今日のように生活に化学物質が増えた状況にあっては、市民が化学的考え
方を身につけることなくしては、化学物質によってもたらされる不安が解消でき
ない状況であるといえます。そして、化学的考え方を身につけ、化学の目を持て
ば、今日の社会がいかに説明不足でわかりにくいかに気づくはずです。まずわた
したちの世代が「生活を物質で考える」という習慣を身につければ、明日を担う
こどもたちには、明るい未来を約束することができます。しかし、今日の状況を
放置したのでは、残念ながらこどもたちの明るい未来は保証できないでしょう。
例えば、おとなたちが押し付けた環境がこどもたちを苦しめる化学物質過敏症は
現実のものとなっています。あなたにも、あなたのこどもにも、決して無関係で
はない問題です。
こどもたちの未来は、まずあなた自身が、わたしたちの生活のあり方をどのよう
にするかにかかっているのです。
JPCCN関西は、生活を考えるための化学の学習活動を生活に直結した生涯学習と
して位置づけ、市民活動としてのケミカルリスクコミュニケーションを推進して
まいります。例えば、生活からの無駄な化学物質を排除とスマートなオルタナ
ティブ・チョイスの普及推進を図ることにより、無駄に環境負荷を増大している
とされる化学物質の使用・排出量を削減につなげていき、わたしたちの経世代的
な生活環境の健全化とかけがえのない地球の自然保護を目指していくという取り
組み。これが、JPCCN関西の提案する、エコ&スマートライフです。
(アピール文 ここまで)
日本二槽式洗濯機学会 代表幹事
農学博士 井田 裕之