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いま 街路樹がトラブルに

まちに緑を←→木は問題児

 市道の街路樹が丸刈りに――。市中心部の山高通りが5月31日、中程にある橋を挟んで真っ二つに景観を分けた。「新緑の並木」と「丸裸の並木」だ。木陰のない通りに点在するベンチに座り手はなく、登下校で行き交う子どもたちには夏の日差しが容赦なく降り注ぐ。いったいなぜ、このようなことが起こってしまうのだろうか…。

 小・中・高生の通学路として毎日多くの子どもが往来し、夏の昼下がりには木陰の散歩を楽しむ人も少なくないコミュニティー道路「山高通り」。この市道は、錦川から山高側が東糸米、県道・宮野大歳線側は中・下清水と異なる町内をまたいでおり、先日、山高側のケヤキ並木だけばっさりと枝が切り落とされた。
 これは、東糸米町内会が先月、市役所を訪れて枝刈りを強く要望したため。沿道には住宅が立ち並んでおり、茂った葉が道路標識やカーブミラーを隠す、街灯を覆い込んで通りを暗くする、伸びた枝が電線に接触している、毛虫が付いて落ちてくる、落ち葉掃除が大変−−といった苦情が相次いだからだ。中には、成長した街路樹の根が下水管に入り込んで詰まらせるといった深刻な被害も。町内会で話し合った上での決断だ。
 一方、青々とした並木がまぶしい中・下清水内。街路樹に関する苦情はほとんど出ていない。市が行っていた街路樹周囲への除草剤散布をやめさせようと、5年がかりで山高通り全並木の根元に松葉ボタンを植えたという1人の女性は「立派に育ったケヤキ並木は、夏には涼しい木陰をプレゼントしてくれるし、秋の紅葉もきれい。掃除は大変でも、木が葉を落とすのは当たり前のこと。あそこまで枝を落とすのなら、いっそのこと根元から切ってしまうべき。努力なしに環境美化はできない」と話している。
 市道を管理する市土木課は「街中に木陰をつくる街路樹は、街の景観や環境の面でも欠かせない。ひと昔前までは近隣住民の落ち葉掃きも当たり前だった。そのままの姿を極力生かしたい」と話しながらも「ここは歩道が狭く住宅も密集しているので、ケヤキのように萌芽力が強く大きくなる樹木はふさわしくなかったのかもしれない。強い要望があれば、伐採もいたしかたない」と苦渋の表情を浮かべる。
 都市化によって失われた緑を取り戻そうと、40年ほど前から積極的に植えられてきた街路樹。大事な緑ではあるが、大木に成長した今、各地でトラブルを引き起こしていることも確か。計画段階では予期しなかった問題が、ここにきて浮き彫りになったという例だろう。とはいえ、すっかり景観になじみ、愛着もある街路樹。被害が深刻な場合は撤去や低木への植え替えを考えるべきだろうが、落ち葉掃除や手入れを近隣の学校や会社にも手伝ってもらう、ボランティアの協力を得る、かさばるゴミに出さなくても済むよう落ち葉回収場所を作ってたい肥化・再利用するなどの工夫も必要ではないか。