新日本プロレス STRONG STYLE SYMPHONY
NEW JAPAN SPIRIT 1999

武藤 フライを“プロレス”で下す


フライに必殺のドラゴンスクリューを浴びせる武藤(下)
 IWGPヘビー級王者武藤敬司(36)が、プロレスの王道を死守した。挑戦者の格闘家ドン・フライ(33)のケンカファイトにプロレス技で真っ向から対抗。最後は12分16秒、腕ひしぎ逆十字固めで2度目の防衛に成功した。IWGPタッグは佐々木健介(32)越中詩郎(40)組が初防衛。IWGPジュニア・タッグでは獣神サンダー・ライガー、ザ・グレート・サスケ(29)組が新王者となった。

「大仁田ファン引きつけた」

武藤敬司インタビュー(要リアルプレイヤー)

 IWGPヘビー級選手権 フライの左腕がギシギシとうなる。ついに腕ひしぎ逆十字固めでギブアップを奪った。これが武藤だ。これがプロレスだ。最後までプロレスにこだわった。「オレがメーンでプロレスの面白さを見せてやる」という公約を見事に実行。ここ数年で、ベストバウトともいえる試合だった。


フライを腕ひしぎ逆十字で下した武藤(上)
 開始ゴング後、いきなり急襲を仕掛けた。ドロップキックからボディープレス、月面水爆、アキレスけん固めの速攻。フライの必殺パンチを顔面に何発も浴びながら耐えた。ドラゴンスクリュー3連発から足4の字固め。2度の裸絞めを振りほどくと、首投げから頭突き6連発。最後は柔道のキャリアを生かした関節技。12分16秒、プロレスの世界をたっぷり演出した。


防衛に成功した武藤はベルトにキスしてポーズ
 「今日は満足だ。実感として、大仁田のファンも少しは引きつけたかなという手ごたえがある」と言い切った。武藤の敵はフライだけではない。1月4日、東京ドームでノートンからタイトルを奪ったが、大仁田―健介、橋本―小川戦に注目をさらわれた。「オレはファンに判定負けしたんだ」と悔やんだ武藤は、プロレスの正道を守ることに全力を傾注。この日のファンの大半は蝶野―大仁田戦よりメーンを評価した。武藤は防衛以上に「ファンの判定勝ち」を喜んだ。

 試合後、蝶野とフライが結託した。それでも意に介さない。「敵は多い方が刺激があっていい。揺さぶるなら揺さぶれ。こっちはデンと構えていたい」。その心境を問われ「アイ・アム・チャンピオン」の言葉で結んだ。「プレッシャーを楽しみたい」とも。デスマッチで始まった動乱のドームを鮮やかに締めた武藤には、真打ちの貫録が満ちあふれていた。【織田健途】

フライに睡眠妨害の電話

 武藤に敗れたフライは「新日本の策略だ」とぶちまけた。フライによると「きのうの夜、寝付いた時と真夜中に新日本の人間から電話があった。全く眠ることができずに試合できる状態じゃなかった」という。それだけに、この敗戦に納得いかないのも当然。「きょうは相手のルール。今度はノールールで、いつどこでも対戦してやる」とほえていた。


健介・越中が天龍・藤波に引退勧告

佐々木健介インタビュー(要リアルプレイヤー)


越中(上)が藤波にパワーボムを浴びせフォールに持ち込んだ
 IWGPタッグ選手権 佐々木、越中のIWGPタッグ王者組が、昭和世代に引導を渡した。天龍、藤波の「ダブル・ドラゴン」の勢いにてこずったが最後は越中が藤波を17分35秒、エビ固めで仕留め、初防衛に成功した。


健介は試合後、天龍・藤波に引退勧告を思わせる発言をした
 佐々木は勝利後「2人は今日の試合で(限界を)感じたはず」と世代交代を宣言した。5分すぎ、天龍の水平チョップを耐えた。グーパンチを何発も浴びると、逆に強烈な水平チョップを連打してみせた。はっきりと言わなかったが「長州さんが、力を残して引退した。2人にもそれを分かってほしい」と“引退勧告”した。

 佐々木、越中は8日の調印式に所用で現れなかった天龍組に怒っていた。佐々木は調印式で「おれが(ジャパン・プロ時代に)見ていた天龍さん、(新日本に入ったころの)藤波さんに戻ってくれ」というつもりだった。怒りをすべてぶつけた。相手の2人とタッグを組んだ経験のある越中も、ヒップアタック連発でアグレッシブに攻めた。最後は藤波をパワーボム2連発で沈めた。難敵を下して、3月に奪取した王座を死守。平成維震軍解散で誕生した越中と佐々木の政権は、予想以上に強固だ。


金本が逆転で初防衛

金本浩二インタビュー(要リアルプレイヤー)

 IWGPジュニアヘビー級選手権 金本が大谷を下し、IWGPジュニア王座初防衛に成功した。内側じん帯を損傷している右足、さらに左足と徹底的に下半身を攻められながら、猛虎原爆から月面水爆へとつないで逆転勝ちした。「どうしてもきょうはムーンサルトで勝ちたかった」。3月20日名古屋でのタッグで、大谷に放った月面水爆でじん帯を痛めていた。その雪辱を同じ技に込めて、初防衛に成功した。次期シリーズは、ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア。
(写真=ライバル大谷を下した金本は晴れやかな表情で質問に応える)


ライガー・サスケ組王座奪取

 IWGPジュニアタッグ選手権 ライガー、サスケのジュニア頂点組が、実力を発揮した。カシン、ワグナーの王者組に絶妙な連携で応戦。15分55秒にライガーがワグナーを雪崩式ブレーンバスターからの体固めで仕留めた。Jカップ、IWGPジュニア王座をかけてしのぎを削ってきた2人は、互いの動きを知り尽くしている。最後は、サスケが場外でカシンにケブラーダでKO。そのすきにライガーが警戒していたワグナーに掌打を決め、さらにコーナー上からブレーンバスターでたたき落とした。2人は昨年から同盟を結んで、息はぴったり。年上のライガーは「サスケは今、ヒールをやったり(団体分裂などで)以前よりも打たれ強い」と逆境続きだったパートナーを褒めた。
(写真=王座奪取に成功したライガー(右)とサスケ)


7+1試合 全試合結果大仁田 蝶野と爆裂ドロー6万観衆しびれた
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