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 信頼できる営業、相談したくなる営業は、お客様にとってもありがたい存在だ。そのための努力もしているだろう。

 しかし、信頼される、相談されたくなるための努力の前に、お客様から、「まあ、つきやってあげてもいいよ」と最低限のハードルを越える努力をしているだろうか。

 これがなければ、それ以上の努力は、所詮は、空回りに終わる。では、その「最低限」とは、何かを考えてみようと思う。

1.こちらの話しを聞いてくれない営業は、お断りだ!

 先日、Twitterで、システム部門の方から、こんなつぶやきを頂いた。「ソリューションと称していろいろと売込みには来るんだけど、自分達の話しばかりして、こちらの話しをぜんぜん聞いてくれないんです(怒)」。

 人は、自分の話しを聞いて欲しい、伝えたい、ましてや営業である以上、自分の商品を説明することが仕事だ。話したいことが山ほどある。その欲求のはけ口に、お客様を使っている。

 彼等の目的は、売込みではない。お客様に伺って、話しをした。ただそれだけが、目的である。そんな彼等の「営業ノルマ」達成のために、あなたはつき合わされているだけである。

 本当に売り込みたければ、お客様の聞きたい事を伝えるべきであり、自分の伝えたいことには、口をつぐむべきである。だって、そうじゃないですか、聞きたくもない話しなんか、話されても苦痛なだけですから。

 お客様の聞きたい事を知るためには、お客様に教えてもらわなくてはなりません。お客様に、いろいろと話していただくことが先に来なければおかしい。

 聞くより話すことのほうが、普通は気持ちいいものです。お客様に気持ちよくなってもらおうとすれば、相手に話してもらうきっかけや話題を提供することではないですか。そんなことも考えられず、自分だけが気持ちよくなっている。おかしな話です。

 まずは、お客様の現状や課題を、お客様に話していただく。その心がけとテクニックを持たない営業は、お断りだ!

2.常識を知らない営業は、お断りだ!

 「うちもそろそろクラウドを本格的に使っていこうと思うんですよ。」

 そんな、お客様の話を聞いて、「なるほど、G-mailですか・・・?」程度のことしか、返せない営業は、即座にお引取り願おうではないか。

 SaaS、PaaS、IaaSの区別もできず、クラウドと仮想化の違いが分らないとすれば、彼は、なんの助けにもならない。

 仮想化についても同じ話。サーバーの仮想化は、思い浮かんでも、仮想化には、デスクトップの仮想化、アプリケーションの仮想化、ストレージの仮想化、ネットワークの仮想化などがある。いったい、お客様は、どの話しをしようとしているのか、区別がつかないような営業は、役に立たない。

 国際会計基準の話題になり、「それは、会計システムの問題ですね。」と自信を持って話をするとすれば、もはや、その営業は、御社に悪意を持っているとしか考えられない。

 お客様の話を聞くとは、お客様の話を整理整頓し、その本質を見出すことである。そんな、営業として、持つべき常識をわきまえない営業は、お断わりだ!

3.資料の汚い営業は、お断わりだ!

 中堅製造業のシステム部長から、「A社(SIer)からもらったシステム構成なんだけど、これどう思う?」と相談を受けた。私は、それを見て驚愕した。

 EXCELの資料にシステム構成が、一覧となっている。しかし、どういうわけだか、フォントに明朝とゴシックが混在している。しかも、合計金額の欄を赤い色で塗りつぶしており、数字が良く分らない。

 補足説明が、下に書かれているのだが、右端が文字の途中で切れていている。その文章も冗長で、小説でも書いているのかといいたくなる内容だ。

 たぶんシステム部長は、内容を見て欲しかったのだろうが、その前に生理的に受け付けなかった。

 フォントの混在は、自分の作った内容と、Webからコピペした内容が混在していたからだろう。
 合計が、赤になっていたのは、「安いですよ!」を強調したいためだろうが、そもそも赤を数字に使えば、「マイナス」や「赤字」といったネガティブな印象を与える。
 途中で切れていたのも、ディスプレイ上では収まっていたが、印刷したら切れちゃったの類だろう。
 補足説明の文言が小説調で冗長なのは、相手にわかってほしいではなく、言うべき事を伝えなければという、こちらの都合にすぎない。

 私は、部長に申し上げた。「これ、ダメですね。こちらに分ってもらおう、判断を楽にしてあげようという思いやりがありませんよ。こんな会社と付き合っても、苦労するだけですから。」彼も苦笑いしながら同意した。

 美しい資料とは、アニメやイラストに凝ったビジュアル重視の資料を言っているのではない。お客様がその資料を見て判断が楽にできるようにとの配慮。生理的な拒絶反応を感じさせない思いやり。そんなセンスを感じられる資料のことである。

 内容が整理されていて簡潔明瞭、直ぐに要点が分る。縦横、左右がそろっている。フォントの種類やサイズに統一されたルールがある。順序がロジカルで、こちらが知りたい順番に構成されている・・・つまり、相手の思考のプロセスや要望をちゃんと考えて作られているかどうかである。

 そんな、思いやりの片鱗を感じさせない資料を、躊躇なく持ってくる営業は、お断わりだ!

4.自分勝手な解釈を押し付ける営業は、お断わりだ!

 最近、永田町では、こんなジョークがささやかれているらしい。

“普天間問題で、5月の決着が困難となった鳩山首相がひと言、「わたくしは、今年の5月とは、一度も申し上げておりません!」”

 お客様の課題や要望を聞いてはくれたものの、自分達にできないとなると、なんとか自分達ができることの範囲に収めようとする。そのため、こちらの要望を都合のいいように解釈し、「御社のご要望にあわせました」と自信たっぷりに説明に来る。こういう相手は、怒りを越えて、もはやあきらめの境地である。

 某国の宰相が、「私は、愚かな首相かもしれませんが・・・」と言ったにもかかわらず、愚かではなく、愚直と後で言い換えても、だれもそんな言葉には騙されない。

 こんなテクニックを労して、仮に相手をその気にさせることができても、そのシステムが動き出せば、必ず問題が生じる。一時的な売上にはなっても、お客様との信頼関係を築くことはできず、リピートはありえない。

 そんな、自分勝手な解釈を押し付ける営業は、お断わりだ!

5.こちらの言いなりになる営業は、お断わりだ!

 何でも直ぐにやってくれる営業はありがたい。しかし、主体性もなく、こちらから言われたことしかできなければ、音声入力機能を使って、WEBから注文することと、大差はない。そんな営業の人件費が、請求金額にのっかっていると思うだけで、ぞっとする。

 こちらが何を必要としているのか、先回りして欲しい。こちらの知らない事を教えて欲しい、整理がつかない課題を整理整頓して欲しい。

 だから、営業の存在価値がある。そんな当たり前を自分の仕事と考えていない営業は、出入り禁止だ!

 
■ 情報システム部門の方へのご提案

 来社した営業が、上記いずれかに該当すると感じた場合、最後にこういう話をしてください。

 「今日は、本当に有難うございました。参考になりました。ところで、もしよろしければ、私たちの考えている事を分り易く整理したホームページがあるので、一度見ておいていただけますか。お役に立つと思いますよ。」と申し上げて、このホームページのURLを書いたメモを渡してあげてください。あまりにもこの手の営業が多い場合には、名刺サイズの紙に印刷して持ち歩きましょう。

 それで、心を入れ替えてくれたら、御社は大いにメリットを享受できますよね。しかし、それができなければ、もう二度と来ることはないでしょうから、無駄な時間を使わなくてすむようになりますよ。

■ 心当たりのある営業の方へのご提案

 「やばい・・・」と気付かれた方は、まずは、望みがあります。ではどうすればいいのか・・・

 こちらをご覧ください

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こんな営業は、お断りだ!

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