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【社会】

苦情心配『新住民お断り』 板橋の事業者と住民

2010年4月27日 07時08分

まちづくりの規制を提案した東京都板橋区新河岸2丁目の工業地域。手前は新河岸川、奥は荒川=26日、本社ヘリ「あさづる」から(笠原和則撮影)

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 土地柄を理解しない新住民は“お断り”−。東京二十三区で有数の町工場が集まる板橋区新河岸二丁目の工業地域で、住民と事業者が大規模マンションの建設にストップをかける「まちづくり提案」を二十六日、区に提出した。「住」と「工」が共存する良好な関係を守る狙い。区は、都市計画に盛り込む方針で、実現すれば大規模マンションなどが建てられなくなる。 (社会部・岡村淳司)

 景観地区や住宅地で再開発に反対する例は多いが、工業地域で、住環境の改善や人口増による地域の活性化も期待できる再開発を規制するのは珍しい。

 同所は荒川沿いの約九・五ヘクタール。昭和三十年代から町工場が集まり始め、化学や印刷、機械金属加工の約百事業所が操業する。都市計画法上は工業地域に区分され、住宅も建設でき、現在は低層住宅が約三十戸、事業所兼住宅が約四十戸ある。

 工場からは騒音や異臭も出るが、工場側は地域で魚釣り大会を開くなどして理解を求めてきた。工場で働く住民もおり、両者は良好な関係を続ける。

 昨年一月に事業者と住民で「検討会」を作り、アンケートや話し合いを基に提案をまとめた。他の工業地域でマンションの新住民と工場が騒音などをめぐってトラブルになったケースがあるため“先手”を打った形だ。

 提案では、大規模マンションを規制するため敷地面積五百平方メートル以上の共同住宅を制限した。高さも三十メートル以下とした。都市計画の中の地区計画に盛り込まれれば、規制が効力を発する。

 検討会の栗田秀樹会長(栗田化学研究所社長)は「アンケートでは八割が操業に伴う負担を受け入れている。この状態を守り『都市型工業地域』を目指したい」と話している。

(東京新聞)

 

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