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事業仕分け:第2弾 物質・材料研、統合検討 「結論ありき」批判も--2日目

 26日の事業仕分けでは、文部科学省所管の物質・材料研究機構(茨城県つくば市、NIMS)のナノテクノロジーなど3事業に対して「他法人でも同じ研究をしている」などと指摘が相次ぎ、他法人との統合を検討する、との結論が出された。あくまで「効率化」を求める仕分け人側の論理に、研究現場からは「研究では多様性が大事」と反発が出ている。

 「他法人と統合した場合、不都合はあるんですか」(仕分け人の亀井亜紀子参院議員)

 「材料研究は日本の強みであり(独立した組織でいることに)計り知れないメリットがある」「他法人に入ると埋没してしまう」(NIMS理事)

 NIMSはナノテクノロジーや半導体、人工骨などの生体材料、燃料電池など環境分野の材料研究に力を入れる。研究の独創性を示す指標として使われる、論文の被引用数(他者の論文で引用される回数)は、材料科学分野では中国科学院、独マックスプランク金属研究所に次ぐ世界3位(09年2月現在)だ。

 仕分けの後、文科省幹部は「結論ありき。NIMSの名は世界のブランドになっており、なくすのはすごい損失だ」と憤った。

 研究所内にも戸惑いが広がる。「科学技術では目標達成を目指す方法がいくつもあり、どれが成功するか分からない。いくつかの研究所が似たテーマを追求するのは無駄ではなく、効率化の名のもとに減らすのは問題だ」と西村睦(ちかし)・燃料電池材料センター長は話す。

 ナノテクノロジーの世界的権威、飯島澄男・名城大教授は、教授室でインターネット中継を見守った。「研究は競争相手がいないと独りよがりになってしまう。ナノテク分野を1カ所にまとめるのはよくない」と指摘する。【高木昭午、八田浩輔、須田桃子】

 ◇配偶者が秘書、雇用97人中6人 「管理体制に問題」--理研

 一方、理化学研究所の研究者が、配偶者を秘書として雇用していることが判明。仕分け人は「分かりにくい採用で、お手盛りだ」などと批判、「ガバナンス(管理体制)に大きな問題がある」との評価につながった。

 理研によると、理研が雇用する秘書97人中6人が研究者の配偶者。このうち「4人は理研に雇用された後結婚、2人は雇用前から結婚していた」という。秘書の年収は最高約600万円。理研側は指摘を受け、「今後は公募にしていきたい」と説明した。

 環境再生保全機構では、「エコカーフェア」など低公害車の普及啓発活動に対して「エコカー普及施策は他の省庁もやっている。機構が事業として有効としているのは、(大気汚染)被害者の声を受けて判断しているのか」などと疑問視する声が相次いだ。

 機構側は「インパクトが薄れているのは事実。しかし昨年は三十数万人が来場した」などと説明。しかし、仕分け人が「地域限定の事業。そこでわずかでもエコカーの台数は増えたのか」と反論。機構側は「資料として(エコカーが増えたという)そのような数字はない」などと防戦一方だった。

 国立科学博物館(東京都台東区)が所蔵する戦後唯一の純国産旅客機「YS11」の量産1号機も取り上げられた。1号機は98年のラストフライト後、維持管理費を年間約900万円かけて羽田空港の格納庫に保管されているが、一度も一般公開されていない。博物館側は日本の航空100周年を記念する今年秋の企画展に合わせ、羽田で1号機を一般公開するとした。【西川拓、江口一、井上俊樹】

毎日新聞 2010年4月27日 東京朝刊

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