現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. その他・話題
  5. 記事

YS11、しまいっ放し11年 維持費は年900万円

2010年4月27日5時29分

印刷印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:国立科学博物館が所有するYS11機。同館に展示スペースがなく、11年間、格納庫に置かれたままになっている=東京・羽田空港、国立科学博物館提供国立科学博物館が所有するYS11機。同館に展示スペースがなく、11年間、格納庫に置かれたままになっている=東京・羽田空港、国立科学博物館提供

写真:国立科学博物館の入場者数を示す説明者たち=26日午後、東京都中央区、水野義則撮影国立科学博物館の入場者数を示す説明者たち=26日午後、東京都中央区、水野義則撮影

 戦後初の国産旅客機として製造された「YS11」。国立科学博物館が所有する量産第1号機が一般の目に触れないまま、11年間も羽田空港の格納庫に置かれていることが26日の事業仕分けで取り上げられた。大きすぎて東京・上野の同博物館には入らないが、一方で維持費に年間約900万円かかっているという。追及を受けた博物館側は、とりあえずの措置として、秋にある羽田空港の航空イベントでの公開を検討すると答えた。

 YS11は全長26メートル、全幅32メートル、重さ15トン。官民挙げての開発で量産機は1964年に初飛行を果たし、戦後の復興の象徴とも言われた。国立科学博物館の所有機は空港の灯火や誘導設備を上空から点検する検査機として旧運輸省が使っていたもので、98年12月に引退。航空ファンらから保存を求める声が上がり、将来の一般展示を想定して同博物館に譲渡された。

 「当時は航空宇宙博物館の構想が民間などにあった」(同博物館)というが、話は進まず、当面の措置のはずだった羽田の格納庫への保管は結局11年に及んだ。機体は年数回の整備で、今でもエンジンが動く状態に保たれているが、整備費と格納庫の賃料を合わせると年間約900万円になるという。

 26日の事業仕分けでは、「多くの人に見てもらえる努力をしてきたのか」との蓮舫参院議員の指摘に、博物館側は「企画会議は開いてこなかった。努力不足は認めざるをえない」(近藤信司館長)。それでも機体を手放せという目立った声はなく、仕分け人側は、一過性のイベントだけでなく、多くの人に見てもらえるよう知恵を絞ることを求めて終わった。(青池学)

関連トピックス

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内