広島

　開通直前の広島高速に傷－－。２６日の開通を控えた広島高速２号・３号線の溶接部計６０カ所で、最大２０センチもの傷があったことが２３日、判明した。広島高速道路公社は「安全性に問題はない」として予定通り開通する方針だが、安全性の根幹を損なう検査会社のずさんさに、施工業者らは困惑。検査データの改ざんも否定できないという。【樋口岳大、加藤小夜、矢追健介、寺岡俊】

　広島高速道路公社によると、３月２３日、県に「広島高速でずさんな検査があった」と指摘する匿名の電子メールが届いた。同公社が調査した結果、４月５日に２号のＪＲ山陽線との交差部分で、検査会社「関西エックス線」（西区）がデータを改ざんした疑いが発覚。３号でも同様の疑惑が明らかになった。

　関西エックス線が検査を請け負ったのは２号の３１４カ所、３号の２０４カ所。このうち２号１７カ所、３号４２カ所で、別個所とのデータの重複が見つかるなど、改ざんの疑いがあるという。検査は同社の男性検査技師（５１）が１人で担当していた。同公社などは、すべての個所を点検し、６０カ所の傷を特定した。傷は２５日までに補修を終える予定。

　３号を施工した三菱重工鉄構エンジニアリング（中区）の担当者は「できるだけ早く直したい。関西エックス線とは長い間の付き合いで、技術的にも信頼していた。非常に残念だ」と話した。

　２号の工事を受託したＪＲ西日本の宮本正文・広島工事所長は「すべての個所で再検査を行い、補修も完了した。再発防止に努める」とコメントした。

　２１日には国土交通省中国地方整備局が建設中の「呉港マリノ大橋」（仮称）でも、関西エックス線のデータ改ざんの疑いから２カ所の傷が見つかっている。

　関西エックス線によると、報告書を作成する際に照合用に残すはずの検査データが保存されていなかった。改ざんが疑われる個所でも、数値が正確か確認できないという。同社は「管理ミスを認めざるを得ない」と陳謝した。技師は勤務２９年のベテランという。