【香港=伊藤宏】キャンベル米国務次官補は25日、朝日新聞との単独会見に応じ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について「日本政府から、いくつかの期待が持てる要素を含んだ真剣な提案があった。次の段階に進む土台になる」と述べた。同県名護市辺野古沿岸部を軸とした現行案に修正を加えた上で、訓練の一部を県外へ移転する案だとみられる。
27日からの訪日を前に、アジア歴訪で最初の訪問地の香港に向かう途中、米シカゴでインタビューに応じた。キャンベル氏は交渉が進展しているとの受け止めを示し、26日にワシントンである日米間の実務者協議で、米国もこの「真剣な提案」を具体的に検討するとの認識を示した。
普天間移設問題をめぐっては、日本側が具体的に検討する実務者協議の開催を求めていたが、米側は「検討に値する提案を受け取っていない」などと難色を示してきた。今回、米政府が受けた打診をキャンベル氏が「提案」と位置づけ、実務者協議の開催に応じたことは、日米間のやりとりに一定の進展があったことを示している。
キャンベル氏は具体的な提案の内容については明らかにしなかったが、複数の日米関係筋によると、(1)現行案を基本に、環境面などに配慮した修正を加える(2)在沖縄海兵隊の訓練施設の一部を沖縄県外に移設する――ことなどが柱になっているという。こうした提案を踏まえ、岡田克也外相とルース米駐日大使が23日に会談した際、日米間の実務者協議を開催し、日本側の提案をさらに詳細に検討することで合意したという。
キャンベル氏は日本側の提案について「真剣な公式協議を行うに当たり、土台となるものだ」と評価。「提案には期待が持てる内容が含まれており、我々は日本側の提案を聞く機会を持つことを望んでいる。日米の責任ある当局者の間で協議が行われるのは期待できる兆候だ」と述べた。