公の施設(指定管理者施設)のあり方の見直し(案)に寄せられた意見と県の考え方


「意見1:総合運動公園関係」

1.えひめ国体の会場としての施設整備について

(1)開会式会場について
 本年開催される千葉国体では、既存の陸上競技場の耐震補強等に15億円程度の費用をかけて国体に使用されるほか3万席のうち2万席が芝生席でもあり、開会式は国体史上初、千葉マリンスタジアムにおいて開催される予定。
 『えひめ国体開会式会場のグランドデザイン』でも坊っちゃんスタジアムが挙げられ検討された結果断念されたが、千葉マリンで可能であれば坊っちゃんスタジアムでも開催できると考える。
 全国にその存在を発信すべき坊っちゃんスタジアムで開会式を行い、陸上競技場への投資を抑えるという選択肢があるのではないか。
 天然芝への対応やフルカラービジョンについても解決策はあると考える。
 渋滞の発生、駐車場の絶対数不足については、鉄道2路線に加え、車でのアクセスも(一部でも)外環状道路完成により大幅に優位に立つ中央公園のほうが問題なく開催できるのではと考える。更に、もうひとつの要件とされている雨天時の代替施設も同施設内の武道館で満たされると考える。
 まだ開催まで月日があり、先行事例を踏まえて再度検討してはどうか。

(2)陸上競技のための改修について
 現陸上競技場はすでに一種公認であり、国体だけのためのレーン増設などが必要かどうかなど、議論の余地があるのではないかと考える。特にレーン数については、過去の例や前出の千葉では8レーンのまま国体が開催される予定であることなどから現状の8レーンのままで開催可能ではないかと考える。
 この他にも、跳躍競技や投てき競技などのために補助競技場も含めて改修が検討されているものと推察するが、国体後、国体に匹敵する要件が求められる大会の招致の頻度は低いと考えるのが妥当と思われるので、『国体改革』の「施設の弾力運用」の方針に基づき1回の国体のためだけに改修が必要な項目はできるだけ最小限にするべく再度検討してほしい。

(3)芝生の貼替え、改修工事中のJリーグの開催
 国体への改修のなかに含まれていると思われる「芝生の完全貼り替え」をシーズンオフの3か月間だけで完了するのは難しいと思われ、仮に無理に行ったとしても芝の根付きが悪く、代替となる競技場が県外にしかないことも懸念される問題。
 またスタンドの改修はJリーグ開催期間中も含め、部分ごとに閉鎖しながら時間をかけて行うことが予想されるが、工事を行いながら、本当に支障なく開催できるものかも不安。また、当初案より縮小された規模の改修では、Jリーグの基準を十分に満たせないと思われ、将来さらなる投資が必要になる可能性があるものと考える。
 これらの点からも、陸上競技場への改修はひとまず施設維持のために必須なものに留めるべきと考えるがどうか。

2.Jリーグ愛媛FCの試合会場として−立地環境・アクセスの問題
 国体へ向けての改修工事は、将来もJリーグの会場として使い続けるために必要な項目が含まれているものと推察する。特にバックスタンドについては最も観戦に適さない構造となっていることから、その改修は長年待ち望んだものであったが、過去4年の経験をもとに考察すると、その改修工事の費用対効果は非常に限定的と思わざるをえないものであり、この点からも総合運動公園陸上競技場の改修には再考が必要ではと考える。

(1)スタジアム周辺人口と来場者数の相関
 昇格から4シーズンにわたって、平均来場者数は横ばいのままである原因を検証したところ、愛媛の場合、遠くからの来場者の比率が高く、逆に見ればスタジアムの足元には十分な背景人口がいないということでもあると考える。
 頻繁に来場していただけるファンを増やすには、観戦のためにチケット料金以外の費用と時間のかからないスタジアム周辺に相当数の人口があることが肝要と考える。
 総合運動公園の場合、中心街からの距離でみると他にも遠いスタジアムはあるが、自転車での来場が難しい標高差、アクセス道路が十分でないことから発生する終了後の渋滞などを総合的に考えるとワーストに分類されることは間違いない。
 J2リーグの下位クラブ、および今後J2リーグ昇格を目指している大半のクラブはこのような国体のために建設されたスタジアムをホームスタジアムとしているが、恒常的に集客をできる立地にないものが大半で、同様に厳しい状況に置かれている。
 昇格争いしたクラブは来場者数が多いことから「クラブが成績を上げるのが先決」という見方もあると思うが、逆に、「入場料収入が安定しているからこそスポンサー収入も安定し、チーム力も向上する」という見方もあるべきと考える。

3.国体へむけての改修計画を再考いただきたい理由

(1)愛媛FCの現状と今後
 現状J2基準を満たすスタジアムがなく苦労している地域があることを思えば、ネーミングライツまで適用され、現行のJ2規準を最低限満たしているスタジアムがあることは非常にありがたいことだが、現在の立地・アクセスでは来場者数の大幅増は難しいと考えざるを得ず、クラブの発展は難しいと思われる。
 クラブの経営規模が伸び悩むと、早晩始まる下位リーグ、JFLとの入れ替え制度により、降格の危機にさらされる可能性があり、一度分配金やスポンサーを失うと次にJリーグに這い上がることが非常に難しくなることが予想される。また降格せずとも、クラブ数増加などによる分配金の低減も予想される。昨今の経済情勢もあり、スポンサー企業の新規獲得や広告料の増額が難しいなか、来場者数を大きく増やし、経営の基盤となり得る水準の入場料収入を安定してあげることが、愛媛唯一の全国区プロスポーツクラブを維持する上で必須と考える。

(2)愛媛FCの存在意義・価値
 愛媛FCの経済効果は2006年に年間12億円余りという試算がなされ、さらに愛媛とミカンを全国に発信している効果は計り知れないものがあるはず。
 例を挙げると、直近では高速道路料金1,000円の恩恵もあり、岡山から千人近いサポーターが来場したが、相当な人数が前泊し観光した模様でもあるし、少しさかのぼれば札幌から500人近いサポーターが来松し、試合の終わった夜、数多くの方々が道後を散策していたこともある。陸上競技場に適用されているネーミングライツは同様な他県の施設の例と比較してもそん色ない金額であり、これも愛媛FCによる全国への情報発信があってこそ実現しているもの。

(3)国体へ向けての改修への疑問と再考余地
 しかるに上述の通り、現在の立地・アクセス環境では来場者数の大幅な増加は見込めないと想定せざるを得ないため、本来、待望されていた陸上競技場の改修を行っていただくべきものかどうか大きな疑問を抱くにいたった。
 他県の例では国体開催の3〜4年前に改修、建築工事が行われることが多いことから、今少し再考の時間をとっていただくことはできないものかと考える次第。(代替競技場がないため、実際に使用しながら部分工事を繰り返す必要があることは理解しているが、あと1年〜2年は待っていただけるのでは、と素人ながら考える。)

(4)新球技場について
 一方で、私どもの夢である、立地・アクセスに優れた場所に新球技場を開設することには、まだ各自治体や県民の皆様の多くのご支持が得られる状況でないことは理解している。私どもは、愛媛FCの存在意義・価値を草の根から訴え、サポートの輪を大きく広げていくことで、一人でも多くの方の賛同を得られるよう努力しなければならない。
 また、愛媛FC自身にも最大限頑張っていただく必要もある。
 新球技場の候補地や開設に向けてのさまざまなアイデアについても考えているところが数多くあるが、ひとまずは国体へ向けての改修を再考いただき、できれば費用を削減していただく間に、県民の理解を得るための活動のなかで提案していきたいと考えている。

「意見1に対する県の考え方」

 今回特に御意見をいただきました「陸上競技場の改修」につきましては、愛媛国体に向けた県総合運動公園全体の改修を進めていく中で、既存施設を最大限に活用し、国体基準はもとより、Jリーグ基準にも配慮した改修を行うことを基本方針として定め、これまで関係団体の意見を取り入れながら検討を重ねた結果、この度、県総合運動公園改修の基本設計をとりまとめ、去る3月24日(水)に開催された、各種スポーツ団体や教育、経済、行政など各方面の代表者等で構成される「第72回国民体育大会愛媛県準備委員会 第5回常任委員会」におきまして、この基本設計の内容を御報告したところであります。
 したがいまして、県といたしましては、現在の陸上競技場を「国体のメイン会場」として、更には「Jリーグ(J1)基準に沿った愛媛FCのホームスタジアム」として、今後、基本設計に沿い本格的な整備改修に取り組んでいくこととしております。
 なお、御提言いただきました「新しい球技場」を建設する計画にはなっておりませんが、御指摘いただいた立地条件等様々な課題につきましては、少しずつでも関係者をはじめ皆様方とともに解決していきながら、本県プロスポーツの振興に努めていきたいと考えておりますので、御理解いただきますとともに、引き続き皆様方の御支援・御協力をいただきますようお願いいたします。

「意見2:県民文化会館関係」

 県文内のパスポートセンター移転後に舞台芸術発表室(多目的室)が計画されていることは、地域の文化振興には願ってもないことで、地域の人たちが使いやすいスペースとなることを願う。
 この際、稼働率の低い、リハーサル室や別館も併せて地域舞台創造の稽古や発表の場として利用できるよう更に見直し検討されることを望む。
 利用時間については、舞台芸術の稽古は基本的に3時間位が一般的であり、仕事を終えて19時半頃から始めても、終わりは22時半で、本番が近づくともっと遅くなる。時間制限無し、そしてできれば自主的にそのスペースが管理できる形が望ましいのだが、このような声も配慮した時間設定を検討いただきたい。
 また、利用料金は出来るだけ安価に設定し、地域の創造文化の育成促進に寄与していただくとともに、併せて、文化庁や地域創造などの支援制度も一層活用されて、各種文化振興事業を計画されることを希望する。
 愛媛県がこれからの時代を見据え、文化振興による地域活性化策も検討されることを希望する。

「意見2に対する県の考え方」

 当県民文化会館につきましては、中心市街地からも近く、道後地域に隣接しているなど恵まれた立地条件にあり、利用者の立場に立ったサービスの提供に努めているところでございます。
 御意見にあります、リハーサル室や別館につきましても、現在、種々の文化活動の練習、発表の場として使用いただいており、さらに周知を図ってまいりたいと考えております。
 また、利用時間につきましては、原則9時から22時としておりますが、あらかじめお申し込みいただければ、これ以外の時間の利用も可能として御案内しておりまして、今後とも可能な限りの弾力的な運用に努めたいと考えております。ただし、別館につきましては、住宅が隣接しており、地域住民の生活に影響するため、時間延長は対応できかねます。
 なお、利用料金については、公の施設である以上、できるだけ低料金でのサービス提供は基本としつつも、厳しい財政状況の中でサービスを維持していくために、適正な利用料金について検討したいと考えております。
 今後とも、国の制度をはじめ、あらゆる支援策を活用しながら、広く県民の文化振興の拠点としていきたいと考えておりますので、引き続き積極的な利用をお願いいたします。

 

パブリックコメントのホームページへ

愛媛県庁ホームページへ

〒790-8570
松山市一番町四丁目4−2
愛媛県総務部新行政推進局
行政システム改革課経営改革係
TEL(089)912-2263
FAX(089)912-2237
gyouseisys@pref.ehime.jp