司法書士　答練　（終了）

2007年06月02日

2007 Wセミナー 全国統一公開模試 第2回

今夜は書式だけ。
択一は午前23、午後29。くそ…。上手くいかない。

今週はほぼ100%午前科目しかやってないんだけどなあ。
軽く解説に目を通した限りだと刑法、商法あたりはやや難しいと思いましたが
民法の難易度は低いと思うので25問を下回っていい問題レベルだとは思えない。
今回もまた親族相続の検察官、家裁許可の可否の知識でミスってるし…。何回やってんだ。

午後はマイナー科目が相当に簡単だったので平均もかなり高くなる気がします。
ただ商登法はやや難だったかな。間違えた6問中4問が商登法でした。

今回の午後の解答スピードのアップは結構上手くいきました。40分でとりあえず。
ただし見直しでかなり解答を変えることになりました。5問くらい変えたかな？
書式が相当に簡単だったので見直し時間がかなり取れたので助かりました。
やっぱりLECとは同じように行きませんね。肢飛ばしは問題慣れしてないとやはり危険。

書式に関してはなんだかなーという印象。簡単すぎやしませんか？
書式対策はここのところ全くやってなくて答練・模試の問題を解いてるだけ。
それでも成績が安定しているというのは歓迎すべきでしょうが、なんか安心できない。
本試験の問題ってこんなに甘くないと思うんだけども。

ちなみに伊藤塾の模試第1回の総合成績表が出てます。
嬉しいことに成績優秀者に載ってるんですが、自分の数字の異常さが際立ってます。
択一午後が60点台で掲載されてるのは自分ただ1人。偏ってる…。

だからといって午前が得意というわけでは全然ないんですよね。
先週のLECは22問、今週のWセミナーは23問だし。
書式では安定してるのに択一はなんでこんなに不安定なんだろうか。

明日は伊藤塾第2回です。頑張ります。


[問36　不登法書式]
・抵当権設定、所有権保存、一部譲渡、優先の定め、利益相反

おそらく満点。


[問37　商登法書式]
・役員変更、募集株式の発行、譲渡制限廃止、単元株式数の設定

●監査役の任期
・旧商法特例法の小会社で株式譲渡制限がある会社で会社法施行前に資本金が1億を超えている場合
　→監査役は会社法施行と同時に退任する
　→会社法施行日は「平成18年5月1日」

10月1日にしてしまった。なんで迷わず10月にしてしまったんだろ…。
10月だったら去年の本試験のときにまだ施行されてないじゃん。

ただ間違えたのも仕方が無いところもある。
何度も見ているこの論点ですが、解答に反映できたのは今回が初めてだから。
今まで一度でもちゃんと書いたことがあればこんな日付ミスはしないでしょう。
つまり本番ではもうやらないわけです(笑

kkatsuki10 at 20:43｜Permalink│Comments(2)│この記事をクリップ！

2007年05月27日

2007 LEC 全国公開模擬試験 第2回[午後]

成績：30問/35問

午前と違ってかなり難易度が低い。ファイナル編で最も簡単だったと思います。

問2訴訟手続中断。合併による解散で中断しないという判断ミスで終わり。
簡単な問題だったとは思わないが合格者レベルなら取ってくる問題ではある。
問5中間確認の訴え。細かい。でも意外とこういう問題が正解率50%くらいだったりする…。
問13申請情報。かなり細かいマニアックな知識。
問14判決登記と農地法許可。今回最大の凡ミス。落とせない問題でした。
問23根抵当権の処分。「錯誤」による全部移転抹消でも設定者の承諾が必要。
全く逆で覚えていたので正解するのは不可能でした。

問14は極めてもったいないところですが、他の問題は仕方ないところ。
30問取れているときは取れる問題はほぼ拾っているというのが明らかですね。

肢を飛ばして30分で解答した後に見直しで答えを変えたのは問2のみ。
(間違えの解答から間違えの解答へ変えただけ)
結局問われている知識がクリアに分かれば時間もかからずミスも出ないってことですかね。


[問1　責問権の放棄・喪失]　○
●訴訟手続の中断中に裁判所が訴訟行為をした場合(民訴124)→責問権の放棄の対象となる(最判昭34.3.26)
●職務の執行から除斥されるべき裁判官がその職務を行った場合(民訴23)→責問権の放棄の対象とならない
　　理由：裁判官の除斥制度は訴訟制度自体の信用を維持し公正を保証する為の公益的な制度である
●本訴の請求又は防御方法と関連性のない請求を目的とする反訴の提起がされた場合(民訴146��)→責問権の放棄の対象となる
　　理由：請求又は防御の方法との関連性を要求する規定は当事者の利益保護を目的とする

[問2　訴訟手続の中断及び受継]　×
●当事者である法人の合併により消滅した場合は訴訟手続は中断する
→合併によって設立された法人又は合併後存続する法人が受継する(民訴124�記�)
　cf.合併・破産以外による解散の場合→清算手続が行われるので中断しない(大判大5.3.4)
●通常共同訴訟において共同訴訟人の１人に中断事由が生じた場合
　→他の共同訴訟人は新追行者の受継を申し立てることはできない(大判大5.12.22)
　理由：他の共同訴訟人との関係では訴訟手続が中断しない
●訴訟手続の受継の申立ては書面でしなければならない(民訴規51��)
●当事者が訴訟手続の受継の申立てをしない場合においても裁判所は職権で訴訟手続の続行を命ずることができる(民訴129)
　→続行を命ずる決定が当事者双方に告知されたときに中断は解消する
　→続行を命ずる決定は訴訟式に関する決定であり裁判所はいつでも取り消すことができる

法人の消滅＝清算なので中断しないと思い込んで、民訴124�記△旅臺擦両豺腓鮗最阿靴臣奮�でもう正解不可能。
書面性の要求がどうだったかという知識が曖昧だったのも致命的でそこがちゃんとしていれば
民訴124�記△鮖廚そ个垢海箸呂任�たかもしれない。

[問3　証明の対象]　 ○
●担当裁判官が所属する裁判所でした失踪宣告については証拠による証明を要しない

[問4　既判力の客観的範囲]　 ○

[問5　中間確認の訴え]　×
●中間確認の訴えは確認が他の裁判所の専属管轄に属するときは提起できない(民訴145�誼⊇�)
●地裁における中間確認の訴えは書面でしなければならない(民訴145、143��)　＊簡裁では口頭可
●中間確認の訴えは著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときでも提起することができる
　cf.訴えの変更、反訴は著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときはすることができない(民訴143�機�146�誼⊇�)
●中間確認の訴えにより追加された請求について弁論の分離及び一部判決はできない
　理由：先決関係にある法律関係の存否について追加的に確認を請求するものであるから審判の統一を要する
●中間確認の訴えは訴訟の進行中に争いとなっている法律関係の成立又は不成立の確認の為に提起できる(民訴145)
　→事実の真否を確認する為に提起することはできない

全肢が判断できず。なんとかなったかなと思えるのは書面性の論点くらい。ここまで踏み込まれたら無理。

[問6　担保権の実行としての競売等]　 ○
●担保権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨又は債権者が担保権によって担保される債権の弁済を受け
若しくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本の提出があったときは
不動産担保権の実行の手続を停止しなければならない(民執183�記�)
→担保権の実行としての不動産競売にかかる弁済猶予文書は公文書でなければならない
cf. 債権者が債務名義の成立後に弁済を受け又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した私文書を提出したときは
　 強制競売の実行の手続を停止しなければならない(民執39�記�)
理由：担保権実行としての競売では請求異議の訴えを予定していない(民執194は民執34を不準用)
●動産を目的とする担保権の実行としての競売の開始(民執190�記�)
　1.債権者が執行官に対し当該動産を提出した場合
　2.債権者が執行官に対し当該動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出した場合
　3.債権者が執行官に対し動産競売開始の許可決定書謄本を提出し及び債務者に対する送達がされた場合

[問7　処分禁止の仮処分]　 ○
●建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分命令の決定書又はこれに代わる調書には
保全すべき登記請求権及びこれを保全するための仮処分命令である旨を記載しなければならない(民保55�機�規22��)
●債権者は建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の執行として処分禁止の登記がされた後に
　建物を譲り受けた者に対しては本案の債務名義に基づき建物の収去及びその敷地の明渡しの強制執行ができる(民保64)
●建物収去土地明渡請求権を保全する為の建物の処分禁止の仮処分の効力は建物が現実に立っているその敷地部分と
　建物利用に必要不可欠な周辺部分にしか及ばない
　→一筆の土地につき建物の敷地の他に占有できる建物の処分禁止の仮処分の執行の効力は
一筆の土地全体については及ばない

[問8　司法書士法人]　 ○

[問9　供託物の払渡手続]　 ○
●裁判上の保証供託中に供託者が死亡した後に供託原因が消滅して担保取消決定が確定した場合
　→担保取消決定に相続人の氏名が連記されていても相続人から取戻請求をするときは
相続を証する書面の添付を要する(昭42.3.14-612、登研238-57)
●錯誤により債務額を超える額の供託をしたときは債務の同一性が認められる限り
本来の債務額の範囲で供託自体は有効である(福岡高判昭49.1.29)
　→超過額については錯誤を証する書面を添付して取戻しができる

[問10　執行供託]　 ○

[問11　払渡請求権の消滅時効]　 ○

[問12　判決による登記申請全般]　 ○

[問13　申請情報の内容]　×
●登記原因を「委任の終了」として抵当権移転登記を申請することができる(昭41.4.18-1126)
●設定の目的を「果樹所有」として地上権設定登記を申請することはできない
　理由：稲、果樹、桑、茶、野菜などのように耕作と見られる植物の所有は永小作権の目的となる(民270)
●通行地役権の内容を徒歩及び軽自動車による通行に限定した場合でも申請することができる(昭59.10.15-5157)

細かめの知識なので落としても仕方がない。昭和41年先例、昭和59年先例のどちらかを知らないと正解できない。
「果樹所有」が永小作権の目的だと論点喚起ができなかったのは問題。
「委任の終了」による抵当権移転ができるかは、「真正な登記名義の回復」による抵当権移転ができるか
というのと違う結論になるので注意が必要かも。

[問14　判決による登記申請と農地法所定の許可]　×
●農地について原告が農地法許可を得ることを条件に所有権移転登記をすべきことを命じる判決に基づき単独申請する場合
　→登記記録上の地目が宅地に変更されているときは農地法許可があったことを証する情報を提供することを要しない
　→登記記録上の地目が宅地に変更されているときは執行文の付与を受けなければならない(昭48.11.16-8527)
●農地について農地法許可を得ることを条件として所有権移転登記手続をする旨の調停調書に基づき単独申請する場合
　→農地法許可があったことを証する情報を提供することを要しない
　→調停調書に執行文の付与を請けて登記申請することを要する(昭40.6.19-1120)

両先例ともに基礎知識。これを間違えた自分が信じられない。
これまで何度もこの論点の問題をやってきましたがほとんど間違えたことないのに。

[問15　登記原因についての第三者の許可・承諾]　 ○
●未成年者の所有する土地について時効取得を原因とする所有権移転登記をする場合
　→親権者が同意したことを証する情報を提供することを要しない(登研529-162)
●財団法人の不動産の売却について監督官庁の承認を要する場合にこれに基づき所有権移転登記をする場合
　→監督官庁の承認を証する情報を提供することを要しない(昭34.1.8電回)

[問16　添付情報全般]　 ○
●宅地造成による不動産工事の先取特権保存の登記→土地の設計書の内容を証する情報の提供を要しない(昭56.1.26-656)
　cf.建物新築又は増築による不動産工事の先取特権保存の登記→建物の設計書の内容を証する情報の提供を要する

[問17　代理権の不消滅]　 ○
●公的個人認証における電子証明書は本人死亡により失効する
　→本人又は法定代理人の死亡により登記申請の代理権は消滅しないが有効な公的個人認証における電子証明書を提供できない
　→申請は取り下げざるを得ないものになる(登情515-7)
●本人を代理してその法定代理人が申請する場合に本人が死亡したときは
登記申請に関する法定代理人の代理権は消滅する(不登17参照)

[問18　仮処分の登記]　 ○

[問19　遺贈及び遺産分割による所有権移転登記]　 ○

[問20　前提としての相続登記の要否]　 ○

[問21　抵当権の変更・更正登記]　 ○

[問22　根抵当権の合意の登記]　 ○

[問23　根抵当権の処分に関する承諾]　×
●1番根抵当権者Aが2番抵当権者Bの承諾を得て極度額増額変更をしたが登記前にBが新たに3番抵当権を設定した場合
　→3番抵当権について改めてBの承諾を得ることを要しない
●根抵当権の元本確定前において全部譲渡による根抵当権移転登記後に「錯誤」を原因として抹消登記を申請する場合
　→根抵当権設定者の承諾を証する情報の提供を要する(登研369-82)
cf.根抵当権の全部譲渡の合意解除は実体上は全部譲渡と同じ性質を有するので
　　合意解除自体について民398の12�気砲茲訐瀋蠎圓両蟻�を要する

全部譲渡の抹消については「合意解除の場合は設定者の承諾を要するが錯誤の場合は不要」だと思ってました。
この問題は落としても仕方がないです。

[問24　仮登記された権利の処分]　 ○
●1号仮登記所有権を売買により移転した場合…不動産価格の10/1000
　cf.2号所有権移転請求権が移転した場合…1000円
●売買予約による所有権移転請求権仮登記がされた場合における売買予約上の権利の譲渡は債権譲渡であるが
　第三者に対抗するには仮登記の移転登記をすれば足り、債権譲渡の対抗要件を具備することを要しない(最判昭35.11.14)
　cf.買戻権が譲渡された場合→対抗要件は登記であり債権譲渡の対抗要件を具備することを要しない(大判大11.12.21)

[問25　用益権に関する登記]　 ○

[問26　建物のみに関する付記登記と抹消の要否]　 ○
●敷地権の表示を登記する前にされた抵当権設定登記で建物のみに関する付記登記がないものは
効力が敷地権に及んでいるといえる

[問27　権利能力なき社団の登記]　 ○
●権利能力なき社団の代表者名義でされた不動産について代表者が死亡したことにより相続人名義に移転登記がされた場合
　→相続開始後に新代表者が就任したときは相続登記を抹消した上で死亡した旧代表者の相続人全員を義務者として
　　「委任の終了」による所有権移転登記をしなければならない(登研518-116)
　→相続人名義から直接に新代表者名義への「委任の終了」による移転登記はできない

[問28　発起設立と募集設立の異同]　 ○

[問29　取得請求権付株式の登記]　 ○

[問30　単元株式数の登記]　 ○

[問31　解散の登記に伴う職権抹消]　 ○

[問32　合同会社の登記]　 ○
●持分会社が定款の定めに基づき社員の互選により代表社員を定めた場合
　→定款、互選を証する書面、代表社員の就任承諾書を添付しなければならない(平18-3.31-782)
　cf.定款により代表社員を定めた場合→定款　＊代表社員の就任承諾書の添付は要しない
　　代表社員が法人である場合→登記事項証明書、職務執行者の選任書、職務執行者の就任承諾書
　　業務執行社員を定めた場合→業務執行社員の就任承諾書の添付は要しない
●合同会社の資本金の額の減少の登記→債権者保護手続が終了したときに効力を生じる(会627��)
　1.退社する社員に対して持分の払戻をする場合
　2.社員に対して出資の払戻しをする場合
　3.損失の填補に当てる場合
　→資本金の額の減少についての業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面を添付する(平18-3.31-782)
　　総社員の同意書を添付することは要しない

[問33　外国会社の登記]　 ○
●外国会社の登録免許税
　→営業所の設置：9万　　営業所を設置していない場合の外国会社の登記：6万

[問34　会社分割の登記]　 ○

[問35　特例有限会社の通常の株式会社への移行]　 ○
●商号変更後の株式会社についての設立登記は定款変更決議をしたときから2週間以内にすることを要する(整備46)

kkatsuki10 at 18:58｜Permalink│Comments(5)│この記事をクリップ！

2007 LEC 全国公開模擬試験 第2回[午前]

成績：22問/35問

やはり難しかったと思う。ただ25問は最低ラインだろうとも思う。

問2内閣総理大臣。至って基本的な統治の条文問題。推論よりも条文問題の方が何倍も怖い。
問3地方公共団体。やや細かい判例知識もあるのでやや難。
問5民法法人。今年の民法法人の不正解率は極めて高い。まあ何もやってないからなんですが。
しかし当初はほとんど出題なかったのに最近は毎回出してきますね…。
問16詐害行為取消権。定番の推論。設問で折衷説が対象と読み取れず。
請求権説の肢ばかり探して頭を痛めていたので正解する余地なし。各学説の定義から確認必要。
問17弁済。一部代位弁済者が同順位で配当を受けられないというのがショック。
問18申込みと承諾。肢3がかなり難しい。これは無理。
問21家裁許可の横断問題。氏の変更の民791の理解が不足。
問22相続回復請求権。これも定番の推論。かなり難しくて毎回間違える。
司法書士試験において共同相続人間の相続回復請求権の推論は最高難易度レベルだと思う。
問26盗品等に関する罪。判例知識問題。個数だとかなり難しい。
このレベルまで刑法各論を完璧に答えられる人は一体どんな勉強をしてるのかと言いたくなる。
問27偽証罪。主観説･客観説の定番推論。「真実であると思った」場合の故意阻却が
主観説・客観説のどちらで問題となるのかという点の理解不足。
問32清算株式会社の監査役。個数の知識問題。かなり難易度高し。
問34公開・非公開の比較。株券と違って新株予約権証券の取扱いに差異が出ないという知識不足。
問35会計帳簿。完全な条文問題。計算が出るとしたら会計帳簿は問われる可能性あるでしょう。
これは取らないと。

問2、3、5、21、27、34、35あたりがまあ拾いどころでしょうか。
特に問2、5、35の3つは絶対正解の義務がある。
推論で難易度が高めのものが目立った印象。個数も拾いにくいものが多い。

過去に受講したLEC答練の中でも最も難易度が高かった気がしますね。



[問1　国民主権]　○

[問2　内閣総理大臣]　×
●内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決でこれを指名する(憲67��)　＊参議院議員からも指名できる
●国務大臣は内閣総理大臣が任命する(憲68��)　天皇は内閣総理大臣のした任命を認証する(憲7��)
　→国務大臣は内閣総理大臣の指名に基づいて天皇が任命するのではない
　cf.天皇は国会の指名に基いて内閣総理大臣を任命する(憲6��)
天皇は内閣の指名に基いて最高裁判所長官を任命する(憲6��)
●法律及び政令にはすべて主任の国務大臣が署名し内閣総理大臣が連署することを必要とする(憲74)

統治の条文問題で間違えるとものすごく腹が立ちます。
「国務大臣は総理の指名、天皇の任命」が誤りだと気がつかない自分が怖い。

[問3　地方公共団体の組織]　×
●地方公共団体の組織及び運営に関する事項は地方自治の本旨に基いて法律でこれを定める(憲92)
　→地方公共団体の組織に関する事項は法律で自由に定めることができるわけではない
●東京都の特別区は憲93�兇涼亙�公共団体に当たらない(最判昭38.3.27)

知らない知識なので落としても仕方がないところか。
「地方自治の本旨に基づいて」というのは頭に浮かんでいたが「自由に」という表現が誤っているのか微妙な気がした。
昭和38年判例についてはどこかで一度は見た記憶があるが結論を覚えていなかった。

[問4　制限行為能力者の相手方の保護]　 ○
●「BがAに対しB所有の建物を贈与するがAはBにその建物内にある部屋を無償で使用させる」
　→負担付贈与といえる
●未成年者が法定代理人の同意を得ずに金銭を借り受けて成年に達した後に強制執行を免れるために借金の一部を弁済した場合
　→追認したものとみなされる　理由：追認する趣旨ではないと表示した上でなければ異議を留めたとはいえない(民125��)

[問5　法人の消滅]　×
●社団法人は総社員の3/4以上の賛成がなければ解散の決議をすることができない(民69)　＊2/3以上ではない
●定款又は寄附行為で権利の帰属すべき者を指定せず又はその者を指定する方法を定めなかったときは
理事は主務官庁の許可を得てその法人の目的に類似する目的のためにその財産を処分することができる(民72��)
　＊裁判所の許可ではない
●法人がその債務につきその財産をもって完済することができなくなった場合には
裁判所は理事若しくは債権者の申立てにより又は職権で破産手続開始の決定をする(民70��)
　→民法法人は債務が完済できなくなっても当然には解散しない

基本的な条文知識だが民法法人はなー。正直ほとんど忘れてる気がします。
過去問の他に答練で出たときにほんの少し確認する程度。やろうと思ったままずっと何もやってない。

[問6　任意代理と法定代理]　 ○

[問7　消滅時効]　 ○
●債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効の起算点：本来の債務の履行を請求できるとき(最判平10.4.24)
　→AがBに不動産を売り渡した後にCにも二重に売却してCへの登記をした場合のAの履行不能に基づく
Bの損害賠償請求権の消滅時効はAの登記義務の履行期について定めがあればそのときから進行する
●第三者所有の農地売買に関する知事への許可申請協力請求権の消滅時効の起算点
　→売主が第三者から農地を取得したとき(最判昭55.2.29)　　＊売買契約が成立したときからではない

[問8　登記を対抗要件とする不動産物権変動]　 ○

[問9　占有権全般]　 ○

[問10　地上権と永小作権]　 ○

[問11　留置権と同時履行の抗弁権]　 ○

[問12　不動産質権]　 ○
●不動産質権者は管理の費用を支払いその他不動産に関する負担を負う(民357)
　→質権の目的となっている不動産の固定資産税は質権者が負担する
●不動産質権者が目的物の占有を取得する前にされた質権設定登記は
後に質権者が占有を取得しても遡って有効とならない(大判明42.11.8)
　→当事者が不動産質権設定の合意をして目的不動産の引渡をすることなくその旨の登記をした場合に
　　設定者が第三者に当該不動産を譲渡して登記をした後に当該不動産が質権者に引き渡されても質権者は対抗できない

[問13　抵当権の処分一般]　 ○

[問14　抵当権の侵害]　 ○

[問15　共同根抵当権]　 ○

[問16　詐害行為取消権の法的性質]　×
●詐害行為取消権の法的性質
・形成権説…詐害行為の取消を裁判所に請求する権利である（絶対的）
　　被告：債務者、受益者、転得者の全員
　　根拠：民424�機崋莨辰靴鮑枷十蠅棒禅瓩垢襪海箸�できる」の文言に適合する
批判：債権者が債務者に受益者又は転得者から逸出した財産を取り戻すには債権者代位によらなけれればならない
　　　　　受益者善意・転得者悪意の場合に受益者・転得者を相手に全部取り消すのは取引の安全を害する
・請求権説…逸失した財産の回復を裁判所に請求する権利である
　　被告：受益者又は転得者
　　批判：詐害行為はなされたがまだ履行していない場合や詐害行為が債務免除の場合のように
　　　　　取消のみを請求できれば目的を達しえる場面について説明がつかない
・折衷説…詐害行為の取消と逸失した財産の回復を裁判所に請求する権利である
　　被告：受益者又は転得者　＊債務者は被告にならない
　　根拠：責任財産の保全という詐害行為取消権の制度目的に適合している
・責任説…責任的無効という効果を伴う形成権の一種である

この推論は毎回間違えている。つまりは整理できていない。
今回は設問の見解が折衷説ではなく請求権説だと間違えて読み取っていた段階でもはや正解する余地がなかった。
[問17　弁済全般]　×
●登記手続に必要な一切の書類授受により代物弁済の効力を発生させる特約があり
　かつ現実にそのような書類に授受が合った場合にはその時点で代物弁済の効力が認められる(最判昭43.11.19)
●代位弁済によって全部の弁済を受けた債権者は債権に関する証書及び自己の占有する担保物を
代位者に交付しなければならない(民503��)　＊債務者に交付するのではない
●債権の一部に代位弁済があったときは代位者はその弁済をした価額に応じて債権者とともにその権利を行使する(民502��)
　ただし抵当権の実行による配当金の受領については債権者が優先する(最判昭60.5.23)
　理由：代位弁済制度の目的は債務者に対する求償権を確保することにあるが債務者との関係で確保すれば足り
　　　　債権者が本来有する固有の権利を侵害することはその目的を逸脱する

えー？一部代位弁済による抵当権一部移転登記で準共有になっても代位弁済者は同順位じゃない？
なんかかなり混乱…。昭和60年判例は共同抵当の物上保証の話だし。なんか根本的に間違ってるのか？

[問18　申込みと承諾]　×
●隔地者BがAの申込みに応じて承諾期間内に承諾の通知を発した場合
　→通知が期間内にAに到達しないときはBはAに履行を請求できない(民521��)
　→Bの承諾の通知が承諾期間の経過後に到達した場合でも通常の場合にはその期間内に到達すべき時に発送した
ものであることを知ることができるときはAは遅滞なくBに対してその延着の通知を発しなければならない(民522��)
　→Aが延着の通知を怠ったときは承諾の通知は承諾期間内に到達したものとみなす(民522��)
●隔地者に対する意思表示は表意者が通知を発した後に死亡し又は行為能力を喪失したときであっても
そのためにその効力を妨げられない(民97��)
ただし契約の申込みの意思表示について表意者が申込みの発信後その到達前に申込者が反対の意思を表示した場合
又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には申込みの効力は失われる(民525)
ex.Aの申込みの通知の到達後にAが死亡したが隔地者Bは死亡の事実を知りつつ承諾の通知を発信した場合
　　→Bの承諾の通知の発信時に契約が成立する(民525ではなく民97�兇慮饗Г�適用)
ex.Aの申込みの通知の発信後にAが死亡したが隔地者Bは死亡の事実を知りつつ承諾の通知を発信した場合
　　→Bが承諾の通知を発信しても契約は成立しない(民525が適用)

難しい。契約の意思表示でも民97�兇般�525について「発信後到達前」「到達後」で適用が異なるのは知らなかった。
この肢は問題なく民525が適用されるケースだと思ったので民521�兇涼亮韻鯡笋�肢については
原則どおりの知識を問うものだったんだけども更に踏み込んで民522�兇鯤垢い討い襪里世蹐Δ犯獣任靴拭�ダメでした。
申込みと承諾の論点では最上級に難しい問題なんじゃないかと思います。

[問19　寄託]　 ○
●寄託物の保管について費用を要するときは寄託者は受寄者の請求によりその前払をしなければならない(民665、649)
cf.委任事務を処理するについて費用を要するときは委任者は受任者の請求によりその前払をしなければならない(民649)
●受寄者は寄託者の承諾を得なければ寄託物を使用し又は第三者にこれを保管させることができない(民658�機�復寄託)
　→寄託者の承諾を得て受寄者が第三者に寄託物を保管させる場合は復代理の民105を準用する(民658��)
　→受寄者は寄託者の許諾を得て復寄託者を選任したときは
その選任及び監督について寄託者に対してその責任を負う(民105�機�658��)
　　＊受寄者は寄託者に対して復寄託者に保管させなければ生じなかったであろう損害についてまで責任を負わない
●受寄者は特約がなければ寄託者に対して報酬を請求することができない(有償寄託、民665、648��)
　受寄者は報酬を受けるべき場合には寄託事務を履行した後でなければこれを請求することができない
ただし期間によって報酬を定めたときはその期間を経過した後に請求することができる(民665、648�供�624��)
　→受寄物返還義務と報酬支払義務は同時履行の関係に立つ(大判明36.10.31)
　cf.受任者は報酬を受けるべき場合には委任事務を履行した後でなければこれを請求することができない(民648��)
　　→委任事務の履行と報酬支払は同時履行の関係に立たない
●当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても寄託者はいつでもその返還を請求することができる(民662)
　＊有償寄託であっても同様
●寄託物の返還はその保管をすべき場所でしなければならない(民664)　＊民484の特則
　→寄託物の返還期日に寄託者が返還を請求してきたときは受寄者は受寄者の保管している場所で返還する
　cf.弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において
その他の弁済は債権者の現在の住所においてそれぞれしなければならない(民484)

相当に細かく難しい問題でした。ほとんどまぐれの正解。
特に迷ったのは「受寄物返還義務と報酬支払義務は同時履行の関係に立つか？」と
「有償寄託において返還期日があっても無償寄託と同様にいつでも返還請求ができるか？」という部分。
前者については委任事務の履行と報酬支払が同時履行の関係でない場合と同様に考えるのか？
後者については消費貸借の返還時期の定めがある場合と同様に考えるのか？
考えても分からないので「どっちかというと有償寄託でも返還請求できそうな気がする」という勘で正解に。

[問20　配偶者のある者の養子縁組]　 ○

[問21　家庭裁判所の許可の要否]　×
●やむを得ない事由が消滅したときは父又は母は家庭裁判所の許可を得て親権又は管理権を回復することができる(民837��)
●子が父又は母と氏を異にする場合には子は家庭裁判所の許可を得てその父又は母の氏を称することができる(民791��)
　→嫡出でない子が父の認知を受けた場合に父の氏を称するには家裁の許可を要する
　cf.父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合
→子は父母の婚姻中に限り家裁の許可を得ないで父母の氏を称することができる(民791��)

基本的な知識問題。親権･管理権喪失では家裁許可が必要だが回復でも必要だったか思い出せず。
氏の変更については民791の1項2項のケースの差異が明確にしきれていない。
こういうのを落とすのが何よりも合格から遠ざかることになる…。
家裁許可の要否についても横断整理がしたい。けどそんな時間的余裕はもはやない…。

[問22　相続回復請求権]　×
●相続回復請求権の法的性質
・独立権利説…個々の財産の返還請求権とは別個独立の請求権とする
　　→個々の財産を各別に列挙する必要はなく返還請求の際に自分が個々の所有権等を有することを立証する必要はない
・集合権利説…個々の財産に対する個別の請求権の集合にすぎない
●相続回復請求権に関する各判例
・相続回復請求権の相手方は侵害の対象について自己に相続分があることを主張して真正相続人の相続権を争う
　表見相続人に限り、表見相続人から権利を取得した第三者には相続回復請求権を行使できない(大判大5.2.8)
・相続回復請求権の行使には相続財産をいちいち列挙せず包括的に行使することも
　個々の財産を指摘して個別的に行使することもできる(大判大8.3.28、大判明44.7.10)
・相続回復請求権は相続権を侵害された相続人のみに帰属する一身専属権である(最判昭32.9.19)
　→相続権を侵害された相続人が相続回復請求権を行使せずに死亡した場合は相続回復請求権は当然に消滅する
　＊相続人を承継した者は自己の相続権が侵害されたことを理由にして自己に固有の相続回復請求権を行使することができる
・相続人が未成年者、成年被後見人のときは法定代理人が相続回復請求権を代理行使できる(大判明34.9.26)
・相続回復請求権の行使方法に別段の制限はない→訴えによる必要はない(大判昭7.9.22)
●共同相続人の一部の者が他の相続人の相続分を侵害している場合
・共同相続人の一部の者が自己の相続持分を超える部分について超える部分の真正相続人の相続権を否定して占有管理して
真正相続人の相続権を侵害している場合につき善意無過失であれば相続回復請求権を行使することができる
しかし自ら相続人でないことに悪意又は有過失の場合には相続回復請求制度の対象とされずに
一般の財産侵害に関する諸制度が適用されるのでその侵害者は相続回復請求権の消滅時効を援用できない(最判昭53.12.20)
・遺産分割前に共同相続人の1人が自己の相続分を越える部分が他の相続人のものであることに悪意又は有過失で
他の共同相続人の相続権を侵害している場合は相続回復請求権の消滅時効を援用することはできない(最判平7.12.5)
　→相続人による侵害も無権利者による侵害も同視できるとするならば相続人に対しても相続回復請求権を行使できる
善意無過失ならば相続回復請求権の対象となるので被請求者の主観的事情により援用の可否が区別される
共有持分権による妨害排除請求ならば消滅時効にかからないことになるので侵害の回復は通常の共有権に基づく
妨害排除でなく相続回復請求の性質を有している
一般の物権侵害者ならば物権的請求権を行使するので悪意で自己の相続分として占有管理する者は
実質は一般の物権侵害者と異ならないと考えることになる
→共同相続人間で相続回復請求権を認めないと取得時効が成立しない限り相続財産の返還請求が認められ。
無権利者が相続権を侵害している場合には5年の消滅時効にかかるのと比べてバランスを欠く
　　共同相続人間で相続回復請求権を認めると5年の消滅時効にかかるので侵害している相続人を保護することになる
　　相続人の相続に対する期待よりも第三者の取引の安全を優先させるべきと考えれば5年の消滅時効を適用すべきなので
　　共同相続人間でも相続回復請求権を認めるべきと考えることになる
　　共同相続制度は相続人間の公平を図る為に認められたもので共同相続という状態が存在する限りは
　　その相続人間の公平の理念を達成すべきとするならば5年の短期消滅時効の適用を認めるべきではないので
　　共同相続人間での相続回復請求権の適用は認めるべきではないと考えることになる
　→相続回復請求権の法的性質を本権を有する者が行使できる個別の物権的請求権の集合と捉える集合権利説によると
　　物権的請求権が物権に対する円満な支配を妨害する全て者に対して主張できる権利である以上は
　　共同相続人間であろうとも相続回復請求権の行使を認めることになる
　　相続回復請求権の法的性質を個々の財産の返還請求権とは別個独立の請求権と捉える独立権利説によると
　　共同相続人間であれば相続回復請求権の行使を認めないと考えることができる

相続回復請求権についてはこれまで判例問題も推論問題も正解率が低い印象があり
今回の「共同相続人間での相続回復請求権の規定適用の有無」の推論は毎回手も足も出ずに間違えているので
本格的に整理をしてみた。これらのレジュメとかないし、自分でやるしかない。

[問23　包括遺贈と特定遺贈]　 ○
●遺贈義務者その他の利害関係人は特定受遺者に対し相当の期間を定めて
その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる(民987)　＊包括受遺者に対して催告はできない

[問24　遺留分]　 ○
●遺留分は被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から
債務の全額を控除してこれを算定する(民1030��)

[問25　事実の錯誤]　 ○

[問26　盗品等に関する罪]　×
●AはBが窃取した金銭を事情を知りながら無利息で借り受けた場合→盗品等無償譲受罪○
　理由：「無償で譲り受け」とは盗品を無償で自己の物として取得することをいう→消費貸借を含む(大判大6.4.27)
●BがCから窃取した物をAが売買のあっせんをしたものの未だにあっせんによる売買契約が成立していない場合
　→盗品等有償処分あっせん罪○　理由：媒介周旋する行為があれば足り、売買等が成立することを要しない(最判昭23.11.9)

個数でこのレベルまでの各論を問われるとかなり苦しい。個数にしなくてもいいと思うんだけど…。

[問27　偽証罪]　×
●偽証罪の「虚偽」の意義
　→主観説の根拠：人が記憶に反する証言をすること自体に裁判を誤らせる抽象的危険性がある
　　客観説の根拠：客観的真実に合致する限り裁判を誤らせない→真実であると思えば故意を阻却する
・証人が自己の記憶に合致し、かつ、真実であると思って証言したところ、実際には真実ではなかった場合
　→主観説：偽証罪は成立しない　理由：自己の記憶に合致すれば虚偽に当たらない
　　客観説：偽証罪は成立しない　理由：「真実であると思って」→故意を阻却する
・証人が自己の記憶に反するが、真実であると思って証言したところ、実際には真実であった場合
　→主観説：偽証罪は成立する　理由：記憶に反する以上、真実であると思っても虚偽に当たる
　　客観説：偽証罪は成立しない　理由：実際に真実であれば虚偽に当たらない

「真実であると思う」という故意がないことによる阻却が主観説ではなく客観説で問題となる点を誤解している。
つまりは「主観説では記憶に反していても真実だと思えば故意を阻却する」という勘違い。ココが理解すべき核心。
主観＝故意が問題になると思いがち。

[問28　自己株式]　 ○

[問29　募集株式の発行]　 ○

[問30　議決権行使の代理人資格の制限]　 ○
●議決権行使の代理人を株主に限るとする定款規定は有効である(有効説、最判昭43.11.1)
　上記定款規定は有効だが株主である会社の使用人が代理行使する場合、病気の株主が近親者により代位行使する場合など
非株主を代理人として認めるのが相当な場合にはその定款規定は効力が及ばない(制限的有効説、最判昭51.12.24)
　→制限的有効説によると株主総会の現場での定款規定の解釈が問題となり運用が正しく行われない可能性があり
　　会社がその判断を誤って入場させるべき代理人を入場させず、入場させるべきでない代理人を入場させた場合は
　　決議方法が定款違反で取消の訴えの対象となりうる
　→株主に議決権行使の機会を保証することと法的安定性を守ることは両立しがたいという見解は無効説の根拠となる

[問31　剰余金の配当]　 ○
●事業年度の途中で募集株式の発行がされた場合に当該株式には日割で剰余金を配当するとすることはできない(千問P514)
●配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して金銭分配請求権を与えないこととする場合
　→剰余金の配当に関する事項の決定は株主総会特別決議による(会454�検�309�境�)
　cf.現物配当でも株主に対して金銭分配請求権を与える場合は普通決議でよい

[問32　清算株式会社の監査役及び監査役会]　×
●清算株式会社が監査役の会計監査限定の定めを廃止した場合→監査役の任期は満了する(会480�記�)
　cf.清算株式会社が譲渡制限規定を廃止した場合→監査役の任期は満了しない(会480�供�336不準用)

個数だと厳しいだろうなというの肢が幾つかあるので正答率は相当低いかと思う。
清算会社の監査役に任期はない点は覚えていたのだが会計監査限定の定めを廃止による退任は適用があったかで迷う。
ちなみに実力養成編第10回で午後の問題で既にこの知識は問われてます。
昼休みに午後の予習でメモを確認してたら見つけて「あー間違えたか」と分かってしまい益々午前の出来が不安に。

[問33　合併全般]　 ○
●吸収合併においては吸収合併消滅株式会社の株主に対価を全く交付しないことも許される
●吸収合併の無効は吸収合併の効力が生じた日から6ヶ月以内に訴えをもってのみ主張できる(会828�記�)

[問34　公開会社と公開会社でない株式会社との比較]　×
●株式会社は証券発行新株予約権を発行した日以後遅滞なく新株予約権証券を発行しなければならない
株式会社は新株予約権者から請求がある時までは新株予約権証券を発行しないことができる(会288�記�)
　→公開会社、非公開会社を問わない

　cf.公開会社でない株券発行会社は株主から請求がある時までは株券を発行しないことができる(会215��)

株券と新株予約権証券で取扱いが違ったかどうかが思い出せず。

[問35　会計帳簿]　×
●会計帳簿の閲覧請求があった場合に請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み
又はこれに従事するものであるときは会社の利益を害する目的がなくても会社は請求を拒むことができる(会433�境�)
●株式会社は会計帳簿の閉鎖の時から10年間その会計帳簿及び事業に関する重要な資料を保存しなければならない(会432��)
●裁判所は申立てにより又は職権で訴訟の当事者に対し会計帳簿の全部又は一部の提出を命ずることができる(会434)
●親会社社員は権利を行使するため必要があるときは裁判所の許可を得て会計帳簿又はこれに関する資料について
閲覧請求をすることができる(会433��)　＊権利を行使するために必要があるときに限りいつでも請求できるのではない

親会社社員の閲覧請求の場合は裁判所許可がほぼ論点になるが「いつでも」はできないというところに注目した肢。
肢の文章が裁判所許可の要否は無視してるのでなんだか違和感はありました。備置期間が分からなかったのが良くない。

kkatsuki10 at 18:57｜Permalink│Comments(4)│この記事をクリップ！

2007年05月22日

2007 伊藤塾 全国公開模擬試験 第1回[午後]

成績：23問/35問

検討してみても難しい問題だったとはとても思えない。基本知識で充分に対応できる。
やっぱり時間不足が最大の原因だったと思う。
もし時間無制限というルールで落ち着いてやればあと6問くらいは拾えたと思う。
（問3、4、9、13、21、22あたり）
こういう試験後の検討で受ける印象もまた昨年の本試験とそっくりだ。

とかいいながらも時間内で正解できなけりゃ何の意味もないわけで。
正しい解答を導くのに時間が足りないってのは知識の精度が不足しているから。
どうしても時間制限を考えると読み方が雑になってしまうんだよなあ。
もうちょっと時間配分の仕方とか余裕持たないとダメかもしれない。

LECでは択一40分強で解いても1時間半をかけてもほとんど成績は一緒だったりします。
なんといっても問題に慣れてるし、問われる知識も良く繰り返すし、ツボが同じだから。
肢を飛ばしまくって40分で解いた後に、全肢検討してもほとんど解答を変えることがない。

しかし伊藤塾の今回だとそうはいかない。
肢を飛ばしていたのを検討しなおしたら凡ミスで2問解答を変更することになったし
更に気がついていない凡ミスが相当に多い。慣れってことかねえ…。

問3処分権主義。肢アの事例を読み間違えて肢エの初見知識との兼ね合いでミス。
今回のように肢ア×イ×ウ○エ△オ△という判断だったとしてウ○は確実で
組み合わせがアウ、ウエのどちらかだったとしたら肢アを読み返さずにウエで解答を選択し、
後でもう一度再検討必要のマークだけをつけておいて書式の後にやり直すという形を取る。
ところが肢アを単純な読みミスをしていて時間不足でこの問題を検討できなかった場合には
正に時間不足のせいで落とした問題と言えてしまうわけです。
肢アを読み返せば恐らく読みミスに気がつくことができただろうし。
しかしLECでやるときはもっと荒いやり方でも正解できてしまうのがほとんど。
つまりは肢ア×イ×ウ○まで検討して組み合わせがアウ、ウエだったら
肢エを検討すらせずにウエを選択していてもほとんど正解している。
こういう差が出るのが資格学校のヒッカケパターンとかに慣れているか否かという部分だろう。

問4判決の効力。これも問3と同じく肢アの読みミス。
問5請求の併合。肢アのヒッカケにはまる。これがすぐにヒッカケと気がつけるなら実力者。
問7競売の比較。基本知識の精度不足。午後マイナーの忘れやすい部分を突かれた。
とはいえこれももう一度ちゃんと読み直したら恐らく正解できていただろうと思う。
問8司法書士法人。激ムズ。
問9執行供託。またも事情届にやられる。
問12印鑑証明書。買戻特約のときに必要だったか否かの知識が即判断できてない。
これを判断するときは「住所証明情報は不要だったけど、印鑑証明書は必要だよね」みたいな
形で筋道を立てていかないと知識を導けない。
問13登記の効力。「1回しか使わない」というのを単純な数え間違い。
問18仮登記。かなり難しかった。
問21利害関係人。先順位抵当権者の同意があった場合の賃借権の賃料減額。
「賃料減額するということは家賃が減るから賃借人には有利で、賃貸人には不利。
賃貸人に不利ってことは減額により賃貸人の財産が減る。賃貸人の財産が減るってことは
その財産に抵当権を有している者にとっては不利だから、抵当権者の承諾が必要だ」
という筋道を立てないと正しい判断へ導くのができない。即断できないのが問題。
これも解いている段階ではそこまで考えない。他肢で判断できれば時間の無駄だから。
なのでこれも保留マークをつけておいて後でじっくり検討するのだが
今回のように時間が足りないとそれをすることができずに逢えなく落とすことになってしまう。
問22地上権賃借権。個数。これも一つ一つ丁寧に考える時間を設ければ解けているはず。
問29印鑑の提出。お手上げの難易度でした。

落としてもいいと思うのは問8、18、29の3問くらい。


以上のようにかなり荒い解き方をしているんだけども
もうちょっと時間を掛けてもいいのかなあとも思ったりもします。
ただ上で書いたようにLECではこれ以上に荒くてもほとんど影響がないんだよね…。
本試験でもLECと同じやり方をしたらマズいことになりそうな気がします。
もうちょっと解き方を考えてみる方がいいかもしれません。


[問1　管轄]　○
●Aの住所地の管轄が甲裁判所、Bの住所地の管轄が乙裁判所でAがBに対して貸金返還請求訴訟を提起する場合
　→Aは甲裁判所、乙裁判所のいずれかを任意に選択して訴えを提起できる　理由：Aの住所地は義務履行地

[問2　口頭弁論]　 ○
●訴訟手続の中断及び中止の制度は双方審尋主義の現れといえる　＊継続心理主義の現れではない
●決定で完結すべき事件での任意的口頭弁論は書面審理を補充する第2次的性質を有する　＊審尋を補充するものではない

[問3　処分権主義]　×
●貸金返還請求訴訟が提起された場合に弁済期未到来を理由として将来の給付を命じる判決をすることは処分権主義に反しない
　理由：請求の一部認容と同視できる　cf.将来の給付請求に現在の給付を命じる判決は処分権主義に反する
●300万もしくはこれと相違ない範囲内で裁判所が決定する額の立退料の支払と引換えに家屋の明渡を求める
　家屋明渡請求訴訟が提起された場合に400万の立退料の支払と引換えに明渡を命じる判決をすることは処分権主義に反しない
　理由：裁判所が相当と認める額まで立退料を増額して明渡を命じることも質的な一部認容として許される(最判昭46.11.25)

この2つの肢はおそらく初見の知識だったが他の3つは基本事項。
落としたのはその基本事項の肢を単に読み間違えして事例を勘違いしたが為のミス。
その肢と初見の知識の肢との2択で誤った。処分権主義の事例・判例問題は文章から確実に読み取らないと落とす。

[問4　判決の効力]　×
●一部であることを明示しないでされた一部請求訴訟において請求棄却が確定した後に
　原告が残部請求の訴えを提起したときは残部請求は前訴確定判決の既判力により遮断される
　cf.一部であることを明示しておこなった一部請求訴訟において請求棄却が確定した後に
　　 原告が残部請求の訴えを提起したときは残部請求は前訴の既判力に抵触しないが信義則上許されない(最判平10.6.12)
●被告から反対債権による相殺の抗弁が主張され、それが認められて請求棄却判決が確定した場合
　→相殺の抗弁についての既判力が及び範囲は訴求債権と対当額の部分に限られる(大判昭10.8.24)

これも事例の読み取りミス。てっきり平成10年判例の知識を問う肢だと思いきやその単純なヒッカケ。

[問5　請求の併合]　×
●法律上併合が禁止されているにもかかわらず二つの請求を併合して訴えが提起された場合
　→請求ごとの別個の訴えが提起されたものとして取り扱われる　＊職権で調査した上で却下するのではない
●動産の引渡請求とその将来の執行不能の場合の代償請求とを併合して訴えが提起された場合
　→裁判所は両請求について必ず判決をしなければならない
　理由：現在の給付の訴えと将来の給付の訴えで両者は両立する→単純併合に当たる(大判昭15.3.13)
　cf.所有権と占有権に基づき同一動産の引渡を請求する場合
→いずれかを認容すれば他の請求の審判は要しない　理由：選択的併合に当たる

昭和15年判例は全く知らないので保留せざるを得なかった肢。
併合禁止の2つ請求については却下ではなく別個の訴えというのは定番のヒッカケなのでここで気がつかないとアウト。

[問6　仮処分命令]　 ○

[問7　担保不動産競売と不動産強制競売]　×
●不動産強制競売開始決定に対しても担保不動産競売開始決定に対しても執行抗告はできない(民執45�掘�188)
　cf.強制管理、担保不動産収益執行の開始決定→執行抗告ができる(民執93�后�188)
●不動産強制競売において債権者が債務名義の成立後に弁済証書又は弁済猶予文書の提出があっても
　強制執行が停止するだけで執行処分は取り消されない(民執40�機�39�記�)
　cf.担保不動産競売において担保権の登記抹消の登記事項証明書の提出があれば執行処分が取り消される(民執183�境記�)

こういうのを落とすのが危険極まりない。定番の執行抗告か執行異議かという知識で落とすと話にならない。
弁済猶予文書の扱いについても過去問レベル。かなりまずい落とし方。

[問8　司法書士法人]　×
●司法書士法人が訴訟代理業務を受任し、その社員である司法書士がその業務に関与しなかった場合でも当該司法書士は
個人としてその訴訟の相手方の依頼を受けて本件訴訟以外の訴訟においてその相手方が提出すべき訴状を作成できない
理由：司法書士法人の社員は司法書士法人に対して競業避止義務を負う(司書42)
●司法書士法人が訴訟代理業務を受任し、その使用人である認定司法書士が業務に関与した場合は
当該司法書士はその依頼者が同意したときは個人としてその相手方の依頼を受けて
本件訴訟以外の訴訟においてその相手方が提出すべき訴状を作成できる
　理由：認定司法書士は司法書士法人の使用人の場合に司法書士法人が簡裁訴訟代理等関係業務を受任し自ら関与している
事件の相手方からの依頼による他の事件については裁判書類作成関係業務を行えない(司書22�鍬Ν�)
　　　ただし受任している事件の依頼者が同意した場合はこの限りでない(司書22�恵⊇�)
cf. 関与していない場合→依頼者が同意しなくてもよい

かなり難しい。文章量が長く、ヒッカケ部分を探す苦労もあって消費する時間も大きい。
業務の禁止の知識についてほぼ完璧な理解がないと恐らく解答するのは難しいだろうと思う。
「社員or使用人、業務に関与したorしていない、相手方の同意があるorない」あたりで生じる差異を
それぞれの事例で組み合わせていって完全な解答を導き出せないとならないが、自分には到底無理。
この手の問題は図表をいくら眺めていようと一向に解けるようにはならないのが恐ろしい。
正直これは完全に対応しようとすると時間が掛かりすぎるので捨てようかと思う。

[問9　執行供託]　×
●A市の甲社のB市にある乙営業所に勤務するC市に住む社員が債権者から給与債権の差押を受けた場合
　→甲社はB市の供託所に供託しなければならない　理由：給与債権は勤務地で支払うべき取立債権
●金銭債権に強制執行による差押の後に滞納処分による差押がされた場合
　→第三債務者が供託したときは執行裁判所に事情届をしなければならない　＊徴収職員に事情届をするのではない
　cf.滞納処分の後に差押の場合、仮差押と滞納処分の場合は徴収職員に事情届をする

瞬間的に会社＝本店所在地と判断してしまいましたが、そうじゃなくて取立債権の事例。
事情届についてもまだ苦手克服は遠い。整理してあるんだけども…。(1)(2)(3)

事情届の方で即断できれば、「あれ？解答がないぞ」と気がついて「あ、取立債権の話か」と気がつけたはず。

[問10　供託物払渡請求権]　 ○

[問11　供託物払渡手続]　 ○
●電子情報処理組織による供託金払渡請求は預貯金振込みの方法又は国庫金振替の方法によらなければならない(供託規43��)

[問12　印鑑に関する証明書]　×
●買戻特約の登記を抹消する場合…買戻権者の印鑑証明書の提供を要する(昭34.6.20-1131)
●仮登記権利者による仮登記の単独抹消申請…登記識別情報○　印鑑証明書○
cf.仮登記権利者による仮登記の単独申請…登記識別情報×　印鑑証明書×　仮登記義務者の承諾書○
共同申請による仮登記の申請…登記識別情報×　印鑑証明書○
共同申請による仮登記の抹消申請…登記識別情報○　印鑑証明書○

先日買戻特約の抹消で印鑑証明書が要するかの確認をしたばかりでしたがもう忘れてます。
仮登記の添付書類についてはまだ整理しきれず。覚えたと思ったらすぐにまた忘れる部分。

[問13　登記の効力]　×
穴埋めの数の数えミス。

[問14　登記識別情報]　 ○

[問15　所有権保存登記]　 ○

[問16　登録免許税]　 ○
●登録免許税の過誤納…登記を受けた日から5年を経過したときは還付を請求できない(昭55.6.6-3249)

[問17　本人確認情報]　 ○
●不正登記防止申出に基づき不正登記防止申出書類つづり込み帳の目録に本人確認の調査を要する旨を記載した場合
→申出の日から3ヶ月以内に登記の申請があった場合は登記官は申請権限の有無を調査しなければならない(不登24��)

[問18　仮登記]　 ×
●1番　所有権保存　A
　2番　所有権移転仮登記　B
　3番　所有権移転　年月日売買　C
　4番　処分禁止仮処分　B
　5番　所有権移転　年月日売買　D
　6番　所有権移転請求権仮登記　E
　　付記1号　6番所有権移転請求権の移転　F
　　付記2号　6番所有権移転請求権の移転請求権仮登記　G
　　付記3号　6番所有権移転請求権の移転請求権仮登記　H
・6番付記2号の本登記を申請する場合→6番付記3号は職権抹消されるのでHは利害関係人に当たる
・2番の本登記を申請するに当たり仮処分に遅れる登記を単独抹消しない場合
　→D、F、G、HのみならずCも利害関係人に当たる　理由：CからDへ移転する前に仮処分の登記がされている

仮処分による失効による抹消をしないときは現在の所有権者でないCも利害関係人になるとは全く知らず。

[問19　根抵当権の登記]　 ○

[問20　登記申請人]　 ○

[問21　登記上の利害関係を有する第三者]　×
●賃借権が優先する旨の同意を与えた先順位抵当権者は
賃借権者に有利な変更登記について利害関係人に該当する(平15.12.25-3817)
　ex.賃借権について賃料の減額による変更→賃借人に有利な登記＝設定者に不利な登記
　　→同意を与えた総先順位抵当権者は利害関係人に当たる
●1番　抵当権設定　A
　　付記1号　1番抵当権の２番抵当権への順位譲渡
　2番　抵当権設定　B
　3番　抵当権設定　C
・2番抵当権者Bが3番抵当権者Cに対して順位放棄をする場合→Aは利害関係人に当たらない　　理由：相対効

優先する旨の同意の場合の賃料減額については恐らく択一で4、5回目。
最初の1回目で誤っただけでその後は全部正解していたはずですが、今回久しぶりに失敗した…。
順位譲渡の相対効すら抜け落ちたのには…まいった。

[問22　地上権・賃借権に関する登記]　×
●地上権設定登記には必ず地上権設定の目的を申請情報の内容としなければならない(不登78��)
　→借地権の場合にのみ設定の目的を登記するのではない　cf.賃借権→借地権の場合のみ

「竹木所有」とか「ゴルフ場所有」とか「霊園所有」とかの論点があるのに
借地権じゃない地上権では目的は登記事項じゃないと思ってしまった。
これは恐らく賃借権の場合との比較が足りていないが為に賃借権と同じだと思い込んでしまったんだろう。

[問23　抵当権の登記]　 ○
●金銭消費貸借上の債務について債務の弁済方法を変更するとともに新たに抵当権を設定する旨の契約がされた場合
　→当初の債権発生原因の日を原因日付に「年月日金銭消費貸借年月日設定」として抵当権設定登記ができる
新たな設定契約締結日を原因日付に「年月日債務弁済契約年月日設定」として抵当権設定登記はできない(昭40.4.14-851)
●利息の発生する日付を繰り上げる抵当権変更登記をする場合
　→必ずしも後順位抵当権者の承諾情報を提供することを要しない　理由：主登記でできる

[問24　審査請求]　 ○
●審査請求人は裁決があるまではいつでも書面で審査請求を取り下げることができる(行政不服39�記�)
　→口頭で取り下げることはできない
●申請権限を有しない者の申請による登記が誤って受理された場合→審査請求をすることができない
　理由：審査請求ができるのは登記官が職権抹消できる場合に限る(不登25�ぁ�71��)

[問25　相続に関する登記]　 ○

[問26　抵当権抹消登記]　 ○

[問27　前提としての元本確定登記の要否]　 ○

[問28　商業登記総論]　 ○

[問29　印鑑の提出及び電子証明書]　×
●印鑑の廃止は印鑑提出者が当該印鑑を押印した届出書を提出してできる
ただし印鑑カードを提示するときは押印を要しない(商登規9��)
代理人により印鑑の廃止の届出をすることができ、代理権限証明情報を添付しなければならない(商登9の6��)
　→ただし印鑑カードの提示をもって代理権限証明情報の添付に代えることができる(平11.4.2-667)
●印鑑提出者であっても電子証明書の発行を請求できない場合(商登12の2�誼⊇顱�規33の3)
　1.代表権又は代理権の範囲又は制限に関する定めがあるとき
　2.未成年者登記簿、後見人登記簿又は支配人登記簿に登記された者であるとき
　3.管財人等の職務を行うべき者として指名された者であるとき
　→未成年者登記簿に登記されたものは印鑑を提出しているときでも電子証明書の発行を請求できない

難しい。今回一番苦しかったと思う。平成11年先例は全くの初見。
未成年者の登記では電子証明書ダメというのも知らず。全くもってお手上げだった問題。

[問30　役員の変更に関する登記]　 ○
●取締役、会計参与及び監査役が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた取締役、会計参与及び監査役の員数を
欠くこととなるときに備えて定款に定めがなくとも補欠の取締役、会計参与及び監査役を選任することができる(会329��)
　→補欠役員の就任登記には選任にかかる株主総会議事録の添付を要する　　＊定款の添付は要しない

[問31　解散及び清算に関する登記]　 ○
●清算開始時に委員会設置会社の清算会社では監査委員以外の取締役が法定清算人に就任し、監査委員が監査役となる(会478��)
　→解散時に取締役だった全員が清算人となるのではない

[問32　組織再編に関する登記]　 ○
●吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社が種類株式発行会社でない場合において消滅会社又は完全子会社の株主に
対して交付する合併対価等の全部又は一部が持分等であるときは消滅会社又は完全子会社の総株主の同意を要する(会783��)
　cf. 吸収分割株式会社が種類株式発行会社でない場合において承継会社の株主に対して交付する合併対価等の
全部又は一部が持分等であるときは消滅会社の総株主の同意を要せず特別決議で足りる

[問33　募集株式の登記]　 ○

[問34　特例有限会社に関する登記]　 ○

[問35　株式会社と合同会社の登記]　 ○
●株式会社の資本金の額の減少は効力発生日に効力を生じる(会449�梱　�447�記�)
　→効力発生日までに債権者保護手続が終了していないときは効力を生じない(会449��)
　cf.合同会社の資本金の額の減少→債権者保護手続が終了した日に効力を生じる(会627��)　＊効力発生日は定めない

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2007 伊藤塾 全国公開模擬試験 第1回[午前]

成績：31問/35問

検討してみたら31問はややラッキーだったかなという印象。
確信を持てる肢から上手いこと組み合わせと問題論点に恵まれたところがあります。
それでも債権編までは難易度は低いとは思う。

問21内縁。判例知識を踏み込んで聞かれたので厳しかった。
問26没収。お手上げ。
問30株主総会決議の瑕疵。これも判例知識が細かくてお手上げ。
問32設立に関する責任。擬似発起人の責任は募集設立のみとは知らず。個数だし仕方ない。

間違えた4問は今回の自分にはほぼノーチャンスでした。
100%の力を発揮して31問が限界だったと思います。
7割程度の自信の問題は結構多かったですがことごとく拾えたので運が良かったです。



[問1　憲法第20条]　○

[問2　国会の議決権]　 ○
●両議院で可決された法律案でも法律として成立しない場合がある
　→地方自治特別法は住民投票においてその過半数の同意を要する(憲95)

[問3　表現の自由に対する規制]　 ○

[問4　通謀虚偽表示]　 ○
●AがBと通謀虚偽表示により建物をBに売却し、Bが悪意のCに転売してCが登記を経由した場合
　→その後にAがEに二重譲渡したときはEはCに建物の所有権を主張できる
　理由：悪意者は民94�兇梁荵絢圓謀�たらない→無権利者なので登記を備えても民177の第三者に当たらない(最判昭34.2.12)

[問5　取消権の期間の制限]　 ○

[問6　代理行為]　 ○
●BがAの代理人としてCから動産を購入するに当たり、BとCが通謀虚偽表示により契約をした場合
　→Aがその事実を知らなかったとしてもCはAに無効を主張することができる
　理由：意思表示の効力が意思の不存在の場合にはその事実の有無は代理人について決する(民101��)
　　　　→無効の効果は本人に帰属するので相手方は本人に無効を主張できる[9-2-オ]
　　　　→本人の善意悪意を問わず民94�兇梁荵絢圓謀�たらない(大判昭16.8.30)
　cf.代理人Bと相手方Cとの間の通謀虚偽表示が本人Aを欺くことを目的としたものである場合
　　→本人Aが相手方の真意を知り又は知ることができた場合でない限り代理行為は有効
　　→CはAに無効を主張することができない(大判昭14.12.6、民93但書類推適用)

[問7　時効の援用権者]　 ○

[問8　不動産物権変動と登記]　 ○
●AがBの土地を時効取得したがその登記の前にBがCに抵当権を設定して登記をした場合
　→AはCの抵当権設定登記の後に更に取得時効に必要な期間の占有を続けても
Cに対して抵当権設定登記時を起算点とする再度の取得時効の完成による抵当権の消滅を主張できない(最判平15.10.31)
　理由：所有権の時効取得と抵当権設定は両立する→Aは抵当権付所有権を取得したことになる
　　　　→起算点を後にずらして再度取得時効の感性を主張して援用することはできない
　cf.時効完成後に登記がされる前に第三者が所有権移転登記を経由した場合
　　→更に時効取得に必要な期間占有を継続すれば登記がされたときを起算点として取得時効を主張できる(最判昭36.7.20)
●法定相続分より少ない相続分を指定された相続人が遺産中の不動産に法定相続分による共有登記がされたことを利用して
　その持分を第三者の譲渡して移転登記をしても指定相続分を上回る部分については譲受人は対抗できない(最判昭38.2.22)

[問9　中間省略登記]　 ○

[問10　公示の原則と公信の原則]　 ○

[問11　占有権]　 ○
●本件訴訟の敗訴者が起訴のときより悪意の占有者とみなされることだけを理由に
　占有者に故意･過失があるとして不法行為が成立するとすることはできない(最判昭32.1.31)

[問12　共有]　 ○

[問13　抵当権と不動産質権]　 ○
●質権は元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって
生じた損害の賠償を担保する(民346)　cf.抵当権…満期となった最後の二年分についてのみ(民375��)

[問14　留置権の効力]　 ○

[問15　抵当権消滅請求と根抵当権消滅請求]　 ○
●根抵当権消滅請求…「現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるとき」に請求できる(民398の22��)
　cf.根抵当権減額請求…「現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び
債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額」に減額請求できる(民398の21��)

[問16　買戻代金債権への物上代位]　 ○

[問17　債権譲渡]　 ○

[問18　弁済による代位]　 ○

[問19　同時履行の抗弁権]　 ○
●同時履行の抗弁権を有する債務者の債務が履行期を徒過した場合に相手方である債権者が反対債務の履行を提供して
債務者がその履行をしないときは債権者は契約の解除をすることができ、損害賠償の請求をすることもできる
　理由：同時履行の抗弁権を有していれば自己の債務について履行期を徒過しても履行遅滞の責任を負わない(大判大6.3.7)
　　　　→債権者は反対債務を履行して相手方の同時履行の抗弁権を消滅させておかなければならない
　　　　履行遅滞により解除権を行使した者は損害賠償を請求することを妨げない(民545��)
　　　　→債権者は反対債務の履行を提供しておけば債務者は履行遅滞になり解除に加えて損害賠償請求ができる

[問20　不当利得]　 ○
●債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において債権者が善意で証書を滅失させ若しくは損傷し、
担保を放棄し又は時効によってその債権を失ったときはその弁済をした者は返還の請求をすることができない(民707��)
　→他人の債務を自己の債務と誤信して弁済した者は債権者が時効により債権を失ったときは返還請求ができない
●債務者は弁済期にない債務の弁済として給付をしたときはその給付したものの返還を請求することができないが
債務者が錯誤によってその給付をしたときは債権者はこれによって得た利益を返還しなければならない(民706)

[問21　内縁]　×
●内縁当事者が共有する不動産を使って共同事業を営んでいたがその後に一方当事者が死亡した場合
　→他方当事者が当該不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認される
→死亡当事者の相続人は死亡後に不動産を独占的に使用して事業を継続している他方当事者に対して
　　賃料相当額を不当利得として請求することはできない(最判平10.2.26)
●建物賃借人の内縁の妻は賃借人が死亡した場合に相続人の賃借権を援用して居住の権利を主張することができるが
　内縁配偶者は相続人とともに賃借人になるわけではないので賃貸人に対し賃料支払義務を負わない(最判昭42.2.21)

しっかり判例を覚えこんでいないと難しい。
平成10年判例については内縁配偶者が単独で使用できるという点までは抑えているが
その内縁配偶者が不当利得の責任があるかどうかまでは踏み込んでいなかった。
また昭和42年判例については内縁配偶者が居住権を主張できるのに賃料を払わなくてよいという
死亡配偶者の相続人は居住できないのに賃料を支払う義務があるということになってしまうので
結論についてきっちりと知らないで推測で判断するととても正解できない問題になっている。

[問22　普通養子縁組]　 ○
●父母が共同親権者でで父母の双方が親権を行うことができる場合
　→子が15歳未満で縁組の代諾をするときは父母が共同で代諾をすることを要する[63-19-2]　＊一方のみでは足りない

[問23　遺言]　 ○
●負担付遺贈において受遺者が遺贈の放棄をしたときは負担の利益を受けるべき者は自ら受遺者となることができる(民1002��)
●特別方式による遺言は遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から
6ヶ月間生存するときはその効力を生じない(民983)

[問24　遺産分割]　 ○
●被相続人は遺言で遺産の分割の方法を定めることを第三者に委託することができる(民908)
　→委託される第三者は共同相続人以外の第三者でなければならない

[問25　因果関係]　 ○

[問26　没収]　×
●債権その他の無形の財産権ないし利益は没収の対象とならない
　→犯罪の報酬が犯人の口座に振り込まれた場合でもその預金債権を没収できない
●偽造罪における偽造文書、偽造通貨、偽造有価証券…犯罪生成物件に当たる(大判明42.6.11)　＊犯罪組成物件ではない
　cf.偽造文書行使罪における偽造文書…犯罪組成物件に当たる
●犯罪組成物件を除いて拘留又は科料のみに当たる罪については特別の規定がなければ没収を科することができない(刑20)
●犯人が心神喪失を理由に無罪判決を受けた場合は没収することはできない　理由：付加刑(刑9)　cf.犯罪が免除された場合
●犯人以外の者に属する物であっても犯罪の後にその者が情を知って取得したものであるときは没収することができる(刑19��)

完敗。全肢について確信が持てるものが1つもなかった。
中でも致命的な判断ミスだったのが心神喪失により無罪の場合に没収できるかという点。
てっきり「罪は成立するが免除されたにすぎない場合」のヒッカケパターンだと思ってしまった。

[問27　強盗の罪]　 ○
●窃盗目的で住居に侵入して家人に発見されたので暴行を加えて反抗を抑圧し家人が気がつかない間に財物を奪った場合
　→強盗罪○　事後強盗罪×　
　理由：反抗を抑圧された者から財物を奪取したときは奪取行為が被害者の知らない間にされても強取といえる(最判昭23.12.24)
●強盗目的で所持金がないのを知りながらタクシーに乗り目的地に到着後に運転手を脅して支払わずに逃走した場合
　→強盗利得罪○　理由：強盗利得罪は相手方の処分行為や意思表示がなくても成立する(最判昭32.9.13)
●窃盗目的で電気メーターを通さずにコードを引いて電子レンジを使用中に検針員に発見されたので
　内密にするよう頼んだが断られ証拠にコードを持ち去ろうとしたので証拠隠滅の為に検針員を殺害した場合→強盗殺人罪○
　理由：窃盗犯が証拠隠滅の為に暴行をした場合は事後強盗罪が成立し
強盗犯に殺意がある場合には強盗殺人罪が適用される(最判昭32.8.1)

[問28　商号]　 ○

[問29　持分会社の社員の退社]　 ○
●持分会社がある社員の終身の間持分会社が存続することを定款で定めた場合
　→各社員はやむを得ない事由があるときに6ヶ月前までに予告をして事業年度の終了の時において退社できるのではない
理由：持分会社がある社員の終身の間持分会社が存続することを定款で定めた場合
→各社員は6ヶ月前までに持分会社に退社の予告をして事業年度の終了の時において退社できる(会606��)
ただし各社員はやむを得ない事由があるときはいつでも退社することができる(会606��)

[問30　株主総会の決議の瑕疵]　×
●株主総会決議の日から3ヶ月以内に決議取消事由に基づいて決議取消の訴えが提起された場合
　→提起から3ヶ月経過後は他の取消事由を追加することができない(最判昭51.12.24)
　cf.決議無効確認の訴えにおいて決議無効原因として主張された瑕疵が決議取消事由に該当し、しかもその訴訟が
決議取消の訴えの原告適格･出訴期間等の要件を満たしているときは例え決議取消の主張が出訴期間経過後に
されたとしても決議無効確認の訴えの提起時から決議取消の訴えが提起されていたものと同様に扱われる(最判昭54.11.16)
●適法な取締役会決議に基づかないで代表取締役が招集した株主総会において決議された場合
　→決議取消の訴えの対象となる　理由：招集の手続が法令又は定款違反(会831�記�)　＊決議不存在確認の訴えの対象ではない
　cf.代表権を有しない取締役が適法な決定または決議に基づかないで招集した株主総会において決議された場合
　　→決議不存在確認の訴えの対象となる(最判昭45.8.20)　理由：決議の内容が法令違反
●決議について特別の利害関係を有する株主が議決権を行使したために著しく不当な決議がされた場合
　→決議取消の訴えの対象となる(会831�記�)
　cf.特別の利害関係を有する株主が議決権を行使したために決議が成立しなかった場合は決議取消の訴えを提起できない
●株主総会決議の取消を主張するには訴えによることを要する(会831�誼貊�)　理由：形成訴訟
　cf.株主総会決議の無効や決議不存在の主張は必ずしも訴えによることを要しない　理由：確認訴訟

難しい。お手上げでした。会社法の判例知識問題はかなりつらい。しかも訴訟関係だし。
余り無理に抑えなくても良いかなと思うところ。

[問31　株式の発行と新株予約権の発行]　 ○

[問32　株式会社の設立に関する責任]　×
●募集設立において募集の広告その他当該募集に関する書面又は電磁的記録に自己の氏名又は名称及び株式会社の設立を
賛助する旨を記載し又は記録することを承諾した者は発起人とみなして発起人と同一の責任を負う(会103��)
　→発起設立においては擬似発起人は責任を負わない

擬似発起人の責任は募集設立に限るというのは全く頭になかった。
発起設立と募集設立との差異でも問われかねないところなので結構重要論点かも。

[問33　利益供与の禁止]　 ○
●株主の権利行使に関して利益供与をした取締役は供与額に相当する額の支払義務を負う(無過失責任、会120��)
●会社から違法な利益供与を受けた者があるときは株主は責任追及等の訴えにより利益の返還を請求できる(会847��)
　cf.子会社の受供与者に対する返還請求は責任追及等の訴えの対象とならない

[問34　自己株式]　 ○

[問35　役員等の比較]　 ○
●会計参与を累積投票により選任することはできない(会342参照)
●選任、解任又は辞任について取締役は株主総会において意見を述べることができない(会345�記賢校仮�)
●補欠の取締役、会計参与を選任することができる(会329��)
●種類株主総会により会計参与を選任することができる旨を定款に定めることができない(会108�記�参照)

取締役、会計参与、監査役、会計監査人のうち3つに当てはまるものというもの。かなりまぐれな正解。
累積投票については会計参与が分からなかったが監査役、会計監査人が明らかに×。2つは当てはまらない。
選任等についての意見陳述は会計参与、監査役、会計監査人が明らかに○だが取締役が8割の自信で3つのみと判断。
補欠については監査役○、会計監査人×は確かだが取締役と会計参与が自信なし。
どっちも○かどっちも×だろうが旧法では認められてたしダメな理由がないので恐らく○だろうとした。
役員選任権付種類株式については会計監査人×、取締役と監査役は○。会計参与が全く分からず。
補欠か役員選任権付種類株式の両方○か、どちらか一方のみが○。これ以上は絞れずに勘で正解に。

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