哨戒艦沈没:韓国軍、「機雷の可能性」排除

 今回発表された、合同調査団による切断面の肉眼調査結果では、これまで「第3の可能性」として取りざたされてきた「北朝鮮、あるいは韓国軍が以前敷設した機雷により爆発した可能性」を事実上、排除している。機雷による偶発的な事故の可能性は薄く、魚雷のように意図的な攻撃だった可能性のほうがはるかに高いということだ。

 第一に考えられるのは、韓国戦争(朝鮮戦争)時に南北双方により敷設された浮遊・係留機雷だ。だが、これは直接触れて爆発する接触方式。この方式だと、船体と内部に爆発の痕跡が残るほか、犠牲者にやけどの跡があるはずだ。しかし、これまでそうした状況は確認されていない。また、接触方式の機雷は命中率が低く、多数敷設しなければならないが、韓国軍の掃海艦がこれまでの捜索で一つも発見していないため、こうした可能性は低いと見られている。

 第二に考えられるのは、韓国軍が1970年代に敷設、一部流失した可能性があると言われている感応型機雷だ。磁気・音響・圧力など、艦艇から発せられる信号の特性に感応する機雷は非接触爆発を引き起こすため、信ぴょう性があるように思える。だが、感応型機雷は敷設されている海中のその場で反応し、爆発する。「天安」が沈没した海上は水深45メートル。ところが、調査団は25日、「(『天安』沈没は)近距離にあった外部の爆発によるもの」という結論を出している。「近距離」という言葉について、具体的な数値を提示することには慎重な姿勢を示しているが、おおむね「10メートル以内」という見方が強まっている。感応型機雷が海底45メートルで爆発し、完全なバブルジェットが生じたなら、「天安」のように左右非対称に無残にちぎれたような切断面にはならないという説明だ。また、国防部は過去に敷設された感応型機雷が爆発した可能性そのものについて、「すべて除去できてはいないが、電気に反応するため、電源がなければ爆発しない」と否定的だ。

 別の機雷の可能性としては、自ら航行し、打撃を与える自航式「カプセル型」機雷がある。水中に潜み、艦艇が通過すると魚雷のように発射される武器だ。一部には北朝鮮保有説を主張する声もあるが、軍当局は「全く根拠がない」と一蹴(いっしゅう)している。軍関係者は「最先端技術を要するため、軍事先進国でも実戦配備する国は珍しい。北朝鮮にはまだないと思う」と話す。また、もし北朝鮮がこうした最先端の機雷を韓国側海域に敷設していたとしたら、これは偶発的な事故ではなく、意図的な攻撃ということになる。

 機雷説に関し、当初、軍が「可能性は低い」と見たのは、沈没したのが軍艦よりも漁船のほうが多く行き来する海域だからだ。このため、漁船ではなく軍艦が偶然通りかかり、機雷に当たる確率は非常に低い。軍関係者は「北朝鮮がこうした『偶然の偶然』を狙い、危険を冒してまで同海域に機雷を敷設したという可能性はない」と言い切った。また、金泰栄(キム・テヨン)国防部長官も「機雷はさまざまな要素が重なって初めて機能するため、可能性は低い」と話している。

24日、切断面が網で覆われたまま、バージ船に引き揚げられた哨戒艦「天安」の船首部分。25日に平沢海軍基地に移送された。/ペンニョン島=イ・ドクフン記者

李衛裁(イ・ウィジェ)記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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