戦時中に新潟県の建設現場に強制連行されて重労働を強いられた中国人5人の遺族と、施工業者の西松建設(東京都港区)の裁判外での和解が26日、東京簡裁で成立した。西松側が責任を認めて謝罪し、5人を含む全被害者183人分の解決金計1億2800万円を中国の民間団体に信託して基金とする内容。
西松建設は09年、広島に連行された360人とも和解、今回の和解でほぼ全面的な解決となった。中国人を強制連行したとされる当時の35企業の中で初めてで、被害者側代理人は「他の企業や国も学んでほしい」と話した。
5人を含む183人は1944~45年、新潟県六日町(現南魚沼市)の信濃川工事事務所で水力発電所の建設工事に強制的に従事させられた。一部が同社などに損害賠償を求めて提訴し07年に最高裁で敗訴が確定したが、その後、両者が話し合いを進めていた。和解は裁判外で当事者の話し合いがついた場合に合意内容を調書にまとめる「即決和解」で、遺族5人が代表して応じた。
毎日新聞 2010年4月26日 19時17分