弊社新入社員研修について


 4月11日にテレビ放映されました弊社新入社員研修について、たくさんのご意見、ご感想を寄せていただき、ありがとうございました。
 今回のTV放映について、誤解を受けやすかったこともあり、以下、新入社員研修についての当社の考え方をご説明申し上げます。

 

 ご承知のとおり、飲食業を就職先として志す若者は決して多いとは言えないのが現状です。そのような業界において、当社の経営方針、業態、店舗運営に共感し、将来店長やオーナーとしての独立を目指して応募してきた若者を、何故一見時代に逆行するかのようにも見える研修を敢て実施するのでしょうか。
 当社が目指す企業としての在り方は、「“餃子の王将”という店舗を各地に展開することを通じて、その一店一店が地域に溶け込み、地元のお客様にとって、いつまでもなくてはならない中華食堂であり続けること」にあります。
 そのためには、当社は全店を画一化することではなく、一店一店が地元に根付いた特長を持たなければならないと考えております。従って、各店の従業員には、どのようにして常に地元のお客様に喜んでいただけるかを自ら考え、自ら実践していくことが求められます。地元に末永く必要とされる店であり続けるためには、調理技術を高め、メニューを工夫し、イベントを企画するなど、一人一人が持てる力を存分に発揮することで、自らの存在意義を発見し、やりがいを見い出し、併せて同じ目的の下で働く職場の仲間達と共に、一人では何も出来ない、仲間と力を合わせて初めて目的が達成されるチームワークの大切さを知ります。言われたことだけをしていればいいという受身の姿勢では、いつまでもお客様に愛される店作りはできません。また、それではやり甲斐も生まれません。
 このような職場で生き甲斐を見つけるには、まずは与えられた職場において、将来の応用を可能にするための基本を知ること、そして、一定のルールに従って初めてチームの仲間に加われることを知り、初めて自分の存在意義を知ることが第一歩となります。
 そのために、今年も入社した高校、短大、大学卒業生合計250名の新入社員たちに、このような職場の仲間に加わって、やり甲斐と自分の存在意義を見い出させるために、放映されたような形の新人研修を行いました。
 職場で必要とされ、また、自分の存在意義を確立していくためには、これまで個性や個人の自由が大切だという名目の下で放任されてきた、自己中心的(我儘)な行動は許されないことを先ずは教えなければなりません。人として、また、チームの一員として個性を発揮するには、それなりの基本を知ることと、ルールを守るだけでなく、当たり前のことを当たり前にすること、即ち挨拶や礼儀、マナー、仲間への気配りを当然社会人として身に付けなければなりません。
 現代の若者は、家庭や学校で、こうした躾をされる機会が少なく、叱られることさえなかった人も多く、ややもすると、個人の自由という名目で我儘を通すことが黙認されてきました。こうした若者を受け入れるにあたって、通り一遍の無難な研修だけでは、学生気分から脱却させることはできません。
 そこで、新入社員研修の第一歩は、先ずは社訓にある、「企業の在り方、働く者としての心構え」をしっかり覚えてもらうことを通じて、「社会人としての自覚」と、「働くことの意味」を知り、更に、「ルールの大切さ、仲間への配慮、礼儀、チームワークの大切さ」をしっかり知ることから始まります。
今の若者には3つのことが欠けています。1つ目は「汗をかかないこと」、2つ目は「涙を流さないこと」、そして3つ目は「感謝を知らないこと」です。
 新入社員研修を通じて、一番彼らに教えたいことは「感謝を知ること」です。感謝は感激と感動がなければ生まれてきません。仲間と一緒にチームで行動し、社是、マナーを頭に叩き込むという研修を通じて、何かに甘えたり、何かから逃げようとしてきた自分の弱さに向き合い、仲間に励まされながら持てる力を出し切って殻を破れた時、感激し、涙を流し、チームの仲間と一緒に感動を分け合うこと、そして、仲間に支えられての自分であることを知り、感謝を知ることが、この研修の本当の意味、目的であります。
 テレビの放映では、一面的な表現しかされず、研修の真意が十分には伝わりませんでしたが、組織の中で自分の個性を発揮できる人材となるための第一歩の研修として、毎年工夫を重ねて、今回のような研修を実施してまいりました。現に、今までこの研修を乗り越えた多勢の新入社員が、全国の店舗でそれぞれの個性を発揮しながら、自店を“地元でなくてはならない店、いつまでも愛される店”にするために、生き生きと働いております。
 厳しい研修であることは重々承知しておりますが、これを乗り切ることで、感謝を知り、少しでも夢に向かって歩める自信を持つことができるものと考えております。
 以上、ご理解頂きたく、お願い申し上げます。

 

 最後に、研修後のエピソードを紹介させていただきます。
それは、番組内で取り上げられた、母子家庭で育った清水君にまつわるエピソードです。
 研修を終えた後、心配して配属先の店舗を訪ねてこられた清水君のお母様が、そこで元気に働く清水君の姿と、「父親代わりになって清水君を一人前に育て上げます」という店長の言葉に、涙を流して喜んでおられたということです。


株式会社王将フードサービス