中村「あー、すごいな」吉田の強さ初体感…吉田秀彦引退興行「ＡＳＴＲＡ」

　◆吉田秀彦引退興行「ＡＳＴＲＡ」　○中村和裕（判定　３―０）吉田秀彦●（２５日、日本武道館）　バルセロナ五輪柔道７８キロ級金メダリストの吉田秀彦（４０）＝吉田道場＝が総合格闘家生活にピリオドを打った。無差別級ワンマッチで道場の一番弟子でもある中村和裕（３１）と対戦したが、相手のスピードある動きについていけず３回０―３の判定負け。思わぬ黒星での締めくくりにも「悔いはありません」と涙。今後は柔道家として後進の指導、底辺の拡大に取り組む。

　中村は、鬼神の表情で吉田に容赦ないパンチを浴びせ、４０歳の体に無数のアザを刻んだ。吉田が「来い」と自らの右ほおを張ると、中村も同じ行動で応じた。「自分がいけない部分を引き出してもらった。戦いながら『あー、すごいな』と思っていた」。師匠の強さを初めて“体感”した。

　試合後は、吉田から「すごいプレッシャーの中、よくやった」と声を掛けられた。８年間背中を追いかけてきた師匠から、バトンを託された瞬間だった。「ＡＳＴＲＡ」の今後については「全くの白紙」（主催するジェイロック・國保尊弘社長）だが、中村は「吉田さんと同じことはできないが、できる範囲で引っ張っていきたい。死ぬまで総合格闘技にかかわっていく」。吉田の“後継者”として戦い続ける覚悟を決めた。