高木マニア堂

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139:そのネーミングセンスに学べ!~追悼・川内康範氏

ノンセクション2010年04月26日 09:00 | フォルダ : テレビ

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 <2008年4月=東スポ携帯サイトより>


 月光仮面やレインボーマンの原作者である作家・川内康範氏が亡くなった。月光仮面が放送開始(昭和33年)
して、ちょうど半世紀の訃報。88歳だった。

 昨年からの「おふくろさん騒動」
余波で、やはりニュースやワイドショー等の扱いは、森進一との確執を中心に
クローズアップ。若い年齢層には「森進一を
憎む、耳毛のおじいちゃん」
といった川内康範像が染み付いてしまっ
ている。

 いかん。絶対にいかん。

 当コーナーでこそ、様々な特撮作品の原作者としての康範センセイの魅力を再検
証せねばなるまい。

 康範センセイの原作による特撮作品は「月光仮面」
(昭和33年・KR=現TBS系)、
「七色仮面」(昭和34年・NET=現
テレビ朝日系)、「アラーの使者」
(昭和35年・NET系)、
「レインボーマン」(昭和47年・NE
T系)、「ダイヤモンド・アイ」(昭
和48年・NET系)、「コンドールマン」
(昭和50年・NET系)など実に数多い。

 これらの作品に一貫するのは、地球上に「欧米」という概念が存在しないが如
く、徹底したアジア臭に満ち溢れている
ことだ。タカアンドトシの「欧米か?」のツッコミも、康範ワールドの前では
無力だ。

 国内のネオン広告の草分けである宣弘社とのタッグで、日本初のフィルム撮影
による連続テレビ映画「月光仮面」をスタートさせたのも「貴重な外貨(ドル)
を使って外国産テレビ映画を輸入する必要はない」という、康範センセイの考えがき
っかけだった。

 とにかく悪人もヒーローも日本を中心にアジア、もしくは中近東系だ。「世界
征服」を謳う悪の組織も、ほとんどアジア圏内で活動を進める。主人公がヒーロ
ーとなるための修行を積むのもインドだったりする。

 そして康範ワールドの魅力が、もっとも伝わってくるのが、その独自のセンス
を駆使した妖しいネーミングだ。

 月光仮面の登場人物から「サタンの爪」「マリンのおたき」とその子分の
「ハンチングの由」
第2部のタイトル「バラダイ王国の秘宝」
ってのも怪しい臭いがプンプンする。悪の組織
「幽霊党」の党首が
「竹林賢法(たけばやしけんぽう)
って名前なのも凄い。七色仮面からは「コブラ仮面」「さそりの万吉」、最終シリ
ーズのタイトル「日本は狙われている」なんてのも、グッとくる。

「アノクタラサンミャクサンボダイ(阿耨多羅三
藐三菩提)」
と 般若心経の一節を変身の呪文としたレインボーマンか
らは悪の組織「死ね死ね団」とか、偽
札を使って日本の経済破綻を狙った新興宗教団体
「御多福会」なんてのも存在。また登場
人物も「レスキ(レスリング・キ○ガイの
略)の正造」だとか
「ヤッパの鉄」なんて素敵すぎる。

 時価数十億円のダイヤモンド「アラビヤの王」
の精である「ダイヤモンド・アイ」が悪人の正体を暴くのに使う必殺
技(?)は「外道照身霊波光線」だし、
その醜き心を改心させるのは「怨霊逃散洗礼光線」と、これまた凄まじい。

「コンドールマン」に変身する三矢一心が所属していた平和活動組織は
「世界の旗」、怪人たちも
「ゼニクレージー」「バーベQ」などと
楽しい。

 ただ恐怖の紅蜥蜴団と戦う「アラー
の使者」のみはスポンサー(カバヤ食品)の関係で、
カバヤン王国、ココナツ殿下だの
マミイ王子などが登場するため、ネー
ミングにおける康範テイストは、やや薄らいでいる。

 本のタイトル、建物や施設名、映画やテレビ番組のタイトル。そしてタレント
や格闘家の名前までカタカナ、またはアルファベットを羅列しただけの
能なしネーミング”が流行る昨今こそ、
皆、康範センセイの妖しく秀逸なネーミングセンスに教えを乞うべきだった。

 出身地・函館市街にある月光仮面像(写真=モデルはアニメ版)や、居住した
青森県三沢市の公会堂前に、居住20年を記念して建立された月光仮面の石碑(写
真)には、康範作品全般に通ずるテーマ
「憎むな 殺すな 赦しましょう」の言
葉が記される。

 合掌。

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