阪神−中日 1回表1死二、三塁、ブランコが先制の左越え7号3ランを放つ=甲子園球場で (小嶋明彦撮影)
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◆中日8−5阪神
音、軌道、その一発の価値。すべてがブランコの欲求を満たした。「あんな当たり、天からの授かり物としか思えない。一生懸命やってきてよかった」。敵地を静まり返らせた特大アーチに主砲は酔いしれた。
プレーボール直後の1回1死二、三塁。高めに甘く入ってきた阪神・安藤のスライダーを、怪力ドミニカンは完ぺきに仕留めた。
心地よい快音を響かせた打球は、広い甲子園の左翼スタンド中段へ。打った本人が目を丸くするほどの7号先制3ランで、幸先よく先発・山内を援護した。
「井端、森野がチャンスをつくってくれた。“絶対に打点を挙げる”って集中したよ。外野フライでもいいとリラックスして打席に入ったのがよかったのかな。バットの芯でとらえられた」
前日(24日)、同じドミニカ出身で来日1年目のセサルが新天地の野球に苦しみ、2軍落ちとなった。一方のブランコも昨季は開幕当初に不振で悩んでいたものの、一度も1軍からも4番からも外されることなくシーズンを終えている。2人に違いはあるのか。ドミニカ勢のコーチ役を務めるデラロサが言う。
「能力は2人とも高い。違いは練習の差だと思う。ブランコはナイターが終わってからでも平気で2時間くらい練習することがある。その姿勢を、セサルにはもっと見習ってほしい」
練習はうそをつかないからこそ、ブランコは一発にとどまらず今季4度目の猛打賞。「体調も打撃も、きょうが今年最高の試合だった。これをキープしたい」と機嫌よく甲子園を後にした。この男が“練習の虫”である限り、不動の4番として君臨する。 (安藤友美)
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